アメリカの連邦最高裁は6月、人工妊娠中絶を女性の「憲法で認められた権利である」と認めた「ロー対ウェイド」判決を覆しました。
連邦最高裁の判断を受け、アメリカでは現在、「中絶を合法とするか、あるいは禁止とするか」は各州のリーダーたちの決断に委ねられています。そのため、任期2年のすべての連邦議会下院議員と、改選議席の上院議員、一部の州知事を新たに選出する中間選挙の投票日が近付くなか、中絶を巡る問題は最大の争点のひとつに。
一部の州では選挙と同時に、中絶に関する住民投票も行われることになっています。以下、どの州で投票が行われ、有権者たちには何が問われるのかについてをご紹介。
住民投票を行う州で問われるのは?
「AP通信」によると、カリフォルニア、ミシガン、バーモントの3州では、州憲法を改正し、「中絶の権利を認める」とすべきかどうかが問われます。カリフォルニアとミシガンの両州で現在のところ認められているのは、胎児が子宮外で生存可能になる前までの中絶。一方、ミシガン州には、時期に関する規定はありません。
またケンタッキー州は、中絶を「合憲としない」とするよう州憲法を改正すべきかどうかが問われます。長年にわたって中絶に関する規制の強化を目指してきたこの州で、こうした形で住民の意思が問われるのは、驚くことではないといえそう。
モンタナ州では医療従事者に対し、中絶を希望した女性の子宮から取り出された後も生存していた胎児に医療を提供するよう義務付けるべきかどうかが住民に問われます。共和党が多数派の同州議会は2021年、中絶を制限するための数多くの法律を制定したものの、医療従事者を対象とするこの法律は、いまのところ成立していません。
中絶に関する各州の現状は?
連邦最高裁が議論を引き起こす判断を示した後、少なくとも次の13州では、中絶がほぼ全面的に禁止に。
- ウィスコンシン
- ウエストバージニア
- テキサス
- テネシー
- サウスダコタ
- オクラホマ
- ミズーリ
- ミシシッピ
- ルイジアナ
- ケンタッキー
- アイダホ
- アーカンソー
- アラバマ
次の州では、中絶を制限する法律の施行を阻止するため、多くの活動家たちが訴訟を起こしています。
- ワイオミング
- サウスカロライナ
- オハイオ
- モンタナ
- ミシガン
- ノースダコタ
- アイオワ
- インディアナ
また、ノースカロライナとユタ、フロリダ、アリゾナの各州では、中絶が認められる期間が限定されています(州によって異なり、妊娠15~20週を過ぎた段階での中絶が禁止)。ジョージア州では、まだ妊娠に気付かないことが多い6週目を過ぎると、中絶が禁止に。
いっぽう首都ワシントンのほか以下の各州は、制限付きで中絶を認めています。
- バージニア
- ペンシルべニア
- ロードアイランド
- ニューハンプシャー
- ネバダ
- ネブラスカ
- カンザス
- デラウェア
- コロラド
さらに次に挙げる各州は、中絶を法律で認めています。
- ワシントン
- バーモント
- オレゴン
- ニューヨーク
- ニューメキシコ
- ニュージャージー
- ミネソタ
- マサチューセッツ
- メリーランド
- メイン
- イリノイ
- ハワイ
- コネティカット
- カリフォルニア
- アラスカ
中間選挙の投票は、現地時間の11月8日(火)に行われる予定です。