ロイヤルファミリーは毎年、公務に必要な費用として、国庫から「王室助成金」を受け取っています。その算出方法を“より良いもの”にするため、見直しが行われたそう。

これにより、王室の収入はより“適切なレベル”になるとされています。しかし、それでもロイヤルファミリーが受け取る金額はこの先数年にわたって、大幅に増加する見込みとなります。

財務省が発表した声明によると、王室所有の不動産を管理するクラウン・エステートがあげる年間の利益のうち、現在は25%となっている助成金の割合が、2024~25年度から12%に削減。

王室助成金の金額は法律により、「減額できない」ものと定められていることから、利益に占める割合を引き下げることにしたと言います。

王室助成金の額は、クラウン・エステートの2年前の利益から算出。2024~25年度の助成金は利益の12%に削減されたとしても、8630万ポンド(約157億円)となります。

また、2022~23年度のクラウン・エステートの利益は10億4000万ポンド(約1890億円)と見込まれており、割合が12%でも、2025~26年度の助成金は1億2400万ポンド(約225億円)を超え、前年度から約3800万ポンド(約69億円)の増額に。

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この変更は、大幅な利益の増加を受けて行われたもの。クラウン・エステートは洋上風力発電所との間で結んだリース契約により、予想以上に多額の収入を得ることになりました。

チャールズ国王は2023年1月、会計担当者を通じて政府に対し、クラウン・エステートの利益の増加分は、“国民のために使用する”との考えを伝えていました。

しかし、<インディペンデント>紙はこれについて、抜け目のない「PR活動」だと報じています。イギリス国内では「生活費危機(物価の急激な上昇)」が続いたこともあり、エリザベス女王が亡くなった後、王室の支出に関する議論が高まっています。

王室の廃止を訴える活動家らは、君主制の国ではなくなれば、ランカスター公領が国王に、コーンウォール公領が皇太子にもたらしている収入が、どちらも「公共のものになる」と主張。

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クラウン・エステートはそのポートフォリオに広大な土地を所有。それらはかつての君主たちが管理・運営してきたもので、そこから得られる利益は、公共サービスのために使用されてきました。

しかし、国王ジョージ3世は1760年、収益の管理を国庫に任せ、王室は毎年そのなかから一定の金額を受け取る制度を導入。その後もそのシステムは、修正を加えられながら、維持されてきました。

ちなみに、バッキンガム宮殿では現在、10年をかけた改修工事が行われており、2017年に工事が始まる以前の王室助成金は、クラウン・エステートの利益の15%となっていました。

From TOWN&COUNTRY

From: Harper's BAZAAR JP