スーパーフードとして注目を集め、今では認知度が高まっているキヌア。でも、実際に日常的に食べたり、自炊に取り入れたりしている人はまだ少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、カナダで応用人間栄養学学士号を取得し、ヴィーガン生活を発信しているYukaさんがキヌアについて徹底解説。栄養や健康効果、メリットなどについてまとめていきます。お家で気軽に取り入れられるように、自炊に取り入れるコツもご紹介するので、まだキヌアを調理したことがないという方も必見です。


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キヌアとは

キヌアはその見た目から、一般に穀物として扱われていますが、厳密にいうと穀物ではありません。ホウレン草と同じヒユ科アカザ属のの植物で、アワやキビなどと同様に雑穀の一種で「擬穀物」と言われます。

キヌアは、ペルーやボリビアといったアンデス山脈一帯が原産で、ペルーでは紀元前5000年には栽培されていたという記録が残る非常に長い歴史のある食品です。

環境適応力が非常に高く、痩せた土地をはじめ、高地や低地、干ばつや高塩分濃度の土地など悪条件の環境でも生産でき、たくさんの実を付けることから世界の貧困対策としても非常に期待されています。

また、キヌアを食べると長生きし、病気の回復も早まると言われ、古代インカでは「母なる穀物」として親しまれてきました。

近年の健康ブームにのって、キヌアがスーパーフードとして注目を集めるようになりましたが、その火付け役はNASA。1993年にキヌアの高い栄養価をNASAが「21世紀の主要食」と評価し、宇宙食として採用されたのを皮切りに、2013年には国連が「2013年を国際キヌア年とする」と宣言し、キヌアは飢餓問題・栄養失調・貧困問題の撲滅に多大なる役割を果たすことができると発信しました。

以来、キヌアは世界でも日本でも急激に広まり、スーパーフードとして食生活に取り入れる人が増えてきました。

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kasia2003//Getty Images

キヌアの栄養

雑穀に分類されるキヌアは、小麦やお米などのイネ科の主穀と比べ、タンパク質・ビタミンB群・ミネラル・脂質・食物繊維が特に豊富です。

カロリーは未調理のキヌア100gで368kcalと、白米とほぼ同じカロリー数なのに対し、たんぱく質が白米の約2倍、ビタミンB1が約5倍、ビタミンB2が約6倍も含まれ、白米に不足しがちな栄養素がたくさん含まれています。

キヌアに豊富に含まれるタンパク質は筋肉を作るもとになるだけでなく、肌や髪、爪を健康的な状態に保ったり、体内のホルモンや酵素、免疫物質、赤血球などを作り、体の調子を正常に保つのになくてはならない栄養素。

一般的に植物性の食材には必須アミノ酸がバランスよく含まれていることが少ないのですが、キヌアは9種類の必須アミノ酸をバランスよく含む貴重な植物性食材です。

そのため、菜食生活をしていながらできるだけタンパク質を取りたいと思っている方は主食として取り入れるのにとてもおすすめです。

また、食物繊維も玄米と比較しても2倍以上含まれていたり、鉄分やカリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラル、ビタミンB群なども、玄米をはじめとする他の穀物と比べて豊富に含まれているため、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足しがちな現代人にぴったりな食材です。

キヌアの健康効果

キヌアにはタンパク質やミネラルだけでなく、他にも栄養素がや有効成分も豊富。さまざまな健康効果を期待できます。

骨粗鬆症予防

キヌアに豊富に含まれるカルシウムは健康な骨や歯を保つのに大切役割を果たし、骨粗しょう症予防などに効果があります。

また、キヌアには大豆のイソフラボンと同様の「植物性エストロゲン」が含まれていて、女性が更年期のエストロゲン(女性ホルモン)の減少によって起こる骨粗しょう症のリスク上昇を抑える効果が期待できます。

むくみ予防

キヌアに含まれるカリウムは、体の水分量を調整してくれる働きがあり、むくみ解消に欠かせない栄養素です。

また、小麦に豊富に含まれるタンパク質のグルテンは、むくみの原因になることもありますが、キヌアにはグルテンが含まれていないため、むくみにくい主食として取り入れるのにもおすすめです。

貧血予防

鉄分は全身に酸素を運ぶ赤血球として不可欠な栄養素であり、貧血を防ぐためにしっかりと取らないといけない栄養素ですが、キヌアは他の穀類と比べ鉄分を豊富に含み、貧血予防におすすめな穀類です。

また、キヌアが他に豊富に含む葉酸も赤血球を作るのを手助けする働きがあり貧血を予防するのに有効です。

太りにくい体作り

キヌアに豊富に含まれている食物繊維には、腸内の環境を整えることで便秘を解消したり、代謝アップに繋がり巡りのいい太りにくい体づくりに役立ってくれます

また、食物繊維を摂取することで糖やコレステロールの吸収速度を緩めることができ、食後の血糖値上昇を緩やかにしてくれるため、エネルギーが脂肪として体内に蓄積されにくくなるだけでなく、食べた後の満腹感が長続きします。

実際に食後の血糖値の上昇度を表す値のGI値を見てみると、キヌアのGI値は白米のGI値88の半分程度とかなり低く、低GIに分類されます。

そしてキヌアに多く含まれるビタミンB群は、糖質を燃やしてエネルギーに変える働きがあります。特にビタミンB2は、脂質を分解してエネルギーに変換する働きがあり、効率よく摂取することでダイエット効果が期待できます。

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キヌアのおすすめの食べ方&レシピ

栄養価が高く、色々な健康効果もあるキヌア。できることなら普段の自炊にも取り入れてみたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今まで使ったことがない食材となると構えてしまいがちですが、実はキヌアの調理はとっても簡単です。

キヌアの基本の下ごしらえ

  1. キヌアをよく水で洗ったら、しっかりと水気を切る
  2. キヌアの2倍の量の水(キヌア1カップだったら水2カップ)、塩をひとつまみ程度をお鍋に加えて、蓋をして強火にかける
  3. 沸騰したら弱火にし、10~15分茹でる
  4. キヌアが半透明になり、輪のように見える白いひげが出てきたら茹で上がりのサイン! 柔らかく仕上げたい場合は、蓋をしたまま10分蒸らして完成。硬めの食感がいい場合は、蒸らさずに水気を切って完成です。

おいしく仕上げるコツとしては、初めに水で洗うときによく洗うこと。キヌアの種子はサポニンという苦味のある成分でおおわれているため、水でよく洗いながすのがとても大切です。サポニンには泡立つ性質があるので、泡が出なくなるまで水で洗い流せばOKです。

キヌアを使ったレシピ

茹でたキヌアはそのまま主食として食べてもいいですし、サラダに振りかけてみたり、キヌアが主役のデリ風キヌアサラダにしたり、他の食材と炒めてチャーハンやピラフ風を作るのも美味しく取り入れる方法です。他にもスープに加えたり、パスタソースに加えてみたり、ハンバーグの種に加えるのも、栄養をよりしっかり取りたい方におすすめです。

また、事前に茹でなくても、ご飯を炊くときに一緒に入れて炊いたり、スープを作るときに他の食材を茹でる時点で一緒に入れて茹でてしまうこともできるので、思っている以上に気軽に取り入れやすいです。

スーパーフードとして有名なキヌア。具体的にどんな栄養素が含まれていてどんな健康のメリットがあるのかはあまり知らなかったという方も多かったのではないでしょうか。

不足しがちなタンパク質や食物繊維、ミネラルの摂取源として、日常生活に取り入れてみてくださいね。