パンにのせたり、料理の隠し味としても使用され、その香ばしい味が病みつきになってしまう「ピーナッツバター」。手軽に食べられることからついつい食べすぎてしまいがちだけど、実際のところピーナッツバターが健康に良いのか疑問に思うこともあるかもしれません。

本記事では、「ピーナッツバター」がもたらす健康効果や適切な摂取量を解説します。


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ピーナッツバターの栄養素

ピーナッツバターの原料であるピーナッツは、植物学的には木の実ではなくマメ科。アメリカ合衆国農務省(USDA)によると、塩入りの滑らかなピーナッツバター大さじ2杯には、以下のものがおおよそ含まれているそう。

ピーナッツバター大さじ2杯(204kcal)

  • 脂質:16グラム
  • ナトリウム:137ミリグラム
  • 炭水化物:7グラム
  • 食物繊維:2グラム
  • 糖質:3グラム
  • タンパク質:7グラム

医療品卸売販売担当者兼管理栄養士で公認栄養学者であるジェシカ・ジン氏は、ピーナッツバターの栄養価についてこのように説明。

「ピーナッツバターは他のナッツバターと比較すると、微量栄養素が異なりますが、一般的に栄養価はほとんど同じです」
spoonful of peanut butter
Brian Hagiwara//Getty Images

また製品ブランドによっては、他のナッツバターよりも栄養価が高い可能性も。医療品卸売販売担当者で登録栄養士のローレン・ハリス=ピンカス氏によると、ピーナッツバターは特にタンパク質やビタミン、そしてミネラル分の栄養価がやや高いのだとか。

さらに登録栄養士のウェスレー・デルブリッジ氏曰く、砂糖やナトリウムの摂取量を制限したい場合は、購入する製品容器を見て成分リストチェックしたり、ローストしたピーナッツから作られた自然派のピーナッツバターを選ぶといいそう。

「甘みのない自然派のピーナッツバターが食べづらい場合は、甘いピーナッツバターと半分ずつ使用してみるのもおすすめです」

ピーナッツバターの魅力

ピーナッツバターは良質な脂質や食物繊維、そしてタンパク質が豊富に含まれるだけでなく、常温で保存でき賞味期限も長いとウェスレー氏は説明。食事にも取り入れやすく、子どもたちも好んで食べてくれます。

 
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ダイエット中にもぴったり

またジェシカ氏によると、高カロリーであることが食事に満腹感を与えてくれるのだとか。そして脂肪とタンパク質が含まれているため、食後の満足感も得ることができ、減量中の人にも最適な食品なのだそう。

加えて、ピーナッツバターは炭水化物量も少なくグリセミック指数も低く、血糖値への影響が非常に少ないと報告されているとのこと。

低価格で手に入る

さらにピーナッツバターは、他のナッツバターよりも安価であるとローレン氏。

「代用品としてアーモンドバターを使用する人もいますが、ピーナッツバターよりも高価です。ですが、さまざまな食品を摂取することは健康上に大きなメリットをもたらすので、色々なナッツバターと混ぜるのもおすすめです」

環境にもやさしい

そんな健康面でたくさんのメリットがあるピーナッツバターは、環境にも良いと言われているのだとか。

ローレン氏によると、ピーナッツバターは他のナッツバターよりもはるかに持続可能な食品だそうで、たとえばアーモンド1オンス(約28.35グラム)には80ガロン(約304リットル)の水が必要になるのに対し、ピーナッツ1オンスにはたった5ガロン(約19リットル)未満の水しか必要ないそう!さらに、二酸化炭素排出量も最も少ないという。

ピーナッツバター摂取のリスク

ピーナッツや他の豆類の多くが摂取リスクがあると言われる主な理由は、「豆類にレクチンが含まれているからである」とウェスレー氏。レクチンは炭水化物と結合するタンパク質で、ほとんどの植物に含まれているものだそう。

またハーバード公衆衛生大学院は、流行している食事療法はレクチンを肥満や慢性炎症、そして自己免疫疾患と結びつけていると解説。これらのレクチンは、マメ科の植物を保護するように作られており、一部のビタミン吸収を防ぎ、時には胃の不快感を引き起こしてしまうため「反栄養素」と言われることも。

さらに、ピーナッツにはフィチン酸が含まれていることがあり、これらが亜鉛や鉄などのミネラルと結合して吸収を悪くする場合があると、ジェシカ氏は説明します。

woman eating toast for breakfast
LightFieldStudios//Getty Images

しかしウェスリー氏曰く、これらのリスクは豆類の推奨摂取量(ピーナッツバターなら大さじ2杯)をはるかに超えた場合にのみ当てはまるそうで、適量摂取なら問題はないといいます。

「ピーナッツバターの推奨される分量はかなり少ないので、消化や栄養の吸収に大きな影響を与えることはありません。しかし、豆類を食べるとお腹を壊してしまう人は、摂取を避けるという手もあります」

ピーナッツバターの適切な摂取量

それでは、ピーナッツバターの適切な摂取量はどのくらいなのでしょうか?

ジェシカ氏によると、ピーナッツバターの食事または軽食に推奨される1食分の量は、大さじ2杯程度。またピーナッツバターは、豊富なカロリーと脂肪が含まれているので、過剰に摂取してしまうと体重が増える可能性も。そのため、軽量スプーンなどを使って正しい量を確認することがおすすめです。

最後にウェスリー氏は、「健康に悪影響を及ぼす食べ物ではなく、あくまでも不健康な部分もあると私は解釈しています」と語り、以下のようにコメント。

「バランスの良い食生活を心掛けているのであれば、ピーナッツバターを毎日摂取しても問題はないでしょう」

満腹感や満足感も与えてくれるピーナッツバター。適切な摂取量を守り、正しく食事に取り入れましょう。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: ARISA ISHIMOTO
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