パートナーとセックスをしているときに、相手を気遣って“イッたフリ”をしたことはありませんか?

本記事では、セックス中に「オーガズムを感じるフリ」をし続ける、ある女性の想いを<コスモポリタン イギリス版>からお届けします。


語り:フランシスさん、29歳(仮名)

イッたフリをしてしまう私

私は今まで、何度もオーガズムを感じるフリをしてきました。イッていないのに「イッた」と嘘をついてきたんです。オーラルセックスではオーガズムを感じたことはありますが、挿入時に感じたことは一度もありません。

イケなければ相手からのプレッシャーを感じますし、それに相手がパニックに陥っている瞬間を見ることもあります。そして彼らは、「自分は相手を満足させられなかった」と気づき、そこからより激しくより速い動きでセックスをしてくるでしょう。だから私たちがイク演技をすれば、彼らを悲しませずに済むんです。

女性たちは多くの場合、セックス中にどうやって演技をしようかと考えなければならない瞬間があります。そしてイッたフリをした後には、安堵感に包まれ、まるでゲームに勝ったかのように自尊心が満たされている様子が、私の体の隅々まで伝わってきます。そして私たちは、「あぁ、これが今の私の人生か」と思ってしまうんです。

男性が抱えるプレッシャーを考えて…

そう感じてしまうのは、どうすれば私をイカせることができるかを説明するよりも、イッたフリをする方がはるかに簡単だと感じることがあるからです。

女性をオーガズムに導くことが、男性にとっての大きなプレッシャーとなっているため、もし相手を批判してしまえば、いわゆる“男性らしさ”やプライドをけなされたと感じる人もいるでしょう。

そして彼らが私たちを満たせていないと気付けば、かなり落ち込むはずです。しかし女性も、“相手のプライドを傷つけてはいけない”というプレッシャーがあるんです。そして私は、100%そのプレッシャーを感じ続けてしまう罠にはまってしまいました…。

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Maria Maglionico / EyeEm//Getty Images

年上男性との交際が”演技”を定着させた

10年ほど前に約4年間、10歳年上の男性と付き合っていました。今思うと当時の私は、「彼のために“何かしなければいけない」という大きなプレッシャーを感じていたんです。

年上ということもあって、私が思っていることをあまり言えず、“経験豊富な年上男性”というフィルターをかけていました。“手がかかるワガママなガールフレンド”として見られないようにと、とにかく私は必死だったんです。

さらにセックスに慣れていると思われたかった私は、年齢差のせいでそうなってしまったのか、彼との交際が私にオーガズムを感じるフリをさせるようになり、だんだんと定着していきました。

2年前から付き合ってる現在の彼氏に対しても、90%の確率でイッたフリをしています。それでも私たちの性生活は素晴らしく、不満は一切ありません。彼の気持ちを傷つけてしまうので真実は言えないけれど、彼のことをよく知ってるからこそ、きっと難しい会話になると思います。

イッたフリをやめてみると…

私は1年ほど前に、ピルを飲むのをやめてみました。すると精神面や体、髪、肌など、かなり変化していると気づいたんです。これが自分のホルモンをコントロールしたいと思ったことと関係があるのかは分かりませんが、この半年でイッたフリをするのをやめようと無意識のうちに決めていたんだと思います。

ある夜、私はいつもよりオーガズムを感じるのに時間がかかっていました。なぜなら、この日はオーガズムを感じるフリをしないと決めていたから。彼は、「あれ、いつもよりイクのに時間がかかっているよね?」と聞いてきました。

そのとき彼は、いつもと何かが違うと感じたはずですし、間違いなく彼には不安があったと思います。それ以来、彼は挿入よりもオーラルセックスを重点的にしてくれるようになったんです。素晴らしい変化だと思いませんか?

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Maria Maglionico / EyeEm//Getty Images

染みついた男性優位のセックス

もし男性が逆の立場だったら、オーガズムを感じるフリを継続的にするとは思いません。映画の中で描かれる“セックスの終わり”は、男性がイッたとき。けれど私はイケなくても、性生活に不満を感じることはありません。でも男性にとっては、オーガズムを感じられないと満足できず、欲求不満のままベッドで眠ることになってしまいます。

また女性は、パートナーに嘘をつくというだけでなく、女性同士でさえも互いに嘘をついているということに気づきました。セックスについて話せる友達がいますが、オーガズムを感じるフリをする女性について、いつも冗談を言っています。けれどもし「イッたフリをしているか」と聞いたとしたら、彼女たちは身構えてしまうはず

そしてもし自分が演技をしているとなれば、満足のいく関係が築けていないということになってしまう…実際には様々なプレッシャーがあるんです。友人3人は、酔った勢いでの会話で「私もそうなんだ」と認めてくれました。

完全に演技をやめるのは難しい

フェミニストとして、私たちは嘘をついていることを申し訳なく思っています。だってイッたフリをしているのに、友達には「そんなことはやめなよ」って説教をしているから。

けれどオーガズムを感じるフリをやめるのは、単純なものではありません。これは私たちが、長年にわたって内面化してきた男性優位社会の影響だと感じています。だから私は、イッたフリを完全にやめることなんてできないのです――。


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: ARISA ISHIMOTO
COSMOPOLITAN UK