私たちそれぞれが違った人間のように、女性器も二つと同じものがないほどに個性的なもの。出産生理性行為…と、人生や生活と切っては切り離せない存在であり、複雑な器官だからこその知られざる秘密もたくさん。

本記事では、女性器にまつわる素朴な疑問を解消すべく、医学博士のシーリーン・ラカーニさんに取材を敢行。女性器のサイズやポテンシャルなどについて、詳しく解説します。


【INDEX】


平均的な深さはおよそ7センチ

ここでヴァギナは「膣」部分のことを言います。意外に浅い、と思った人もいるのでは? これは人差し指ぐらいの長さですが、ペニスのある人とセックスした経験があれば、あるいはディルドを使ったことがあるなら、ヴァギナの中ってもっと深いはず、と思うのでは?

これは、ヴァギナが基本的に弾力のあるチューブ状のものであり、セクシーな気分になったときに伸びるからなのだそう。ペニスを受け入れるべく拡大するということですね。まさに自然の驚異!

「人それぞれ、ヴァギナの形もサイズも違うんです。深さも人によります。平均的な深さは7~8センチ、でもそれが刺激により伸びていく。伸縮自在ですから、どんなサイズのペニスでも受け入れられるんです」

”完璧”な女性器など存在しない

「まったく同じ女性器というのはこの世には存在しません。外陰部の正しい形なんてないのです。つまり“パーフェクト”な外見の女性器なんてないのです」と、ラカーニ博士。

「これまで多くの患者さんに接してきて言えるのは、陰唇と呼ばれる、ひだの部分も人それぞれだということ。しかも同じ人のひだでも、左右で同一ではない。目や耳、胸が左右で微妙に違うように、陰唇も全く同じはないし、左右対称ということもないのです」

アンダーヘアは本来あるべきもの

「デリケートゾーンの処理は個人の自由。とはいえ、アンダーヘアには大切な場所を保護するという目的があるのは忘れないでほしいです」と話す、ラカーニ博士。

「どこにどのくらいの毛が生えるかは、人それぞれ遺伝的にプログラミングされているもの。アンダーヘアも例外ではありません。成長してその役目を果たすと、休止状態へと移り、やがて抜け落ちるのです」

タンポンの使い時には注意が必要

生理の終わりが近づいて、経血が少なくなったころにタンポンを抜くと、なんだかドライな感触がある――こんな経験がある人はいませんか? それは体からのシグナルかも。

「経血が少ない時に、吸収力の高いタンポンを使ってしまうと、ヴァギナの粘膜をドライにし、外すときに傷を作ってしまう恐れがあるんです。経血が少ない時期には、軽い吸収力のタンポンを使うのがベストです」

タンポンが行方不明になることは…ありえる

ヴァギナに入れたタンポンが行方不明、ということはあり得るのだそう。でもすぐに医療機関に相談すれば大丈夫。

「タンポンに限らずどんな異物でも、ヴァギナの中で内壁上部と子宮頸部との間にはさまって、自分でどこにあるかわからなくなる可能性はあります。その場合は医療機関で取り除いてもらう必要があります」

トキシックショック症候群という怖い反応が起こらないとも限りませんから、タンポンを外すのを忘れないよう気をつけてくださいね」とのこと。

セックス中にも濡れ続けている

ヴァギナが濡れるのは、セックスの始めに“セクシャルな気分になったとき”だけに限らないそう。

「興奮するとヴァギナの奥から体液が出て、潤滑剤の役目を果たします。それに加えて、ヴァギナの入り口には両側に腺(ちなみにバルトリン腺と言います)があって、オーガズムの直前、少量の液体を分泌するのです」

年齢と共に外見に変化が!

体のほかの部分と同じように、女性器も年齢とともに外見が変化するそう。

「ホルモンレベルの変化もこれに影響します。大陰唇(外側の唇)のボリュームが減り、コラーゲンやエラスチンが減少することで、ヴァギナの組織も薄くなっていきます。また、潤滑液も減っていき、やがてはセックスで痛みを感じるようになるかもしれません。また、感染症や尿失禁も起こしやすくなります」

ただし、こうした変化に対処する効果的治療はたくさんあるんだそう。

「たとえばHRT療法(ホルモン補充療法)やPRP療法(自己多血小板血漿注入療法)、ヒアルロン酸注射、ラジオ波治療などがあります」

とはいえ、時の流れにまかせて、自然な老いを受け入れたとしても何ら問題はありません。

伸縮性がとても高い

出産時には赤ちゃんが通る、と考えれば当たり前のこと! ただし興味深いことに、出産しても、その後のヴァギナが変わったまま、ということはないそう。

「ヴァギナはすばらしく柔軟性のある器官。ペニスでも赤ちゃんでも通れるさまざまな大きさに対応し、その後は収縮して通常の形にもどるのです」

セックスによって一時的に伸びることも

セックスをたくさんしたり、ペニスの大きい人とセックスしたり、大き目のディルドを使ったりして“大きく”ならないかと心配したことがある人、いますよね。その答えは実は「はい」のようです。少なくとも一時的には。

「特に大きなペニスのパートナーとセックスしたり、大きなセックストイを使ったりする女性は、次の性行為に備えてヴァギナが大きさを変えるんです。一番大きな違いは、パートナーを変えたときに、摩擦が少なく感じることでしょうか。ただ、ヴァギナの壁のエラスチンとコラーゲンへの影響が大きいのは、やはり加齢と出産です」

ただし、そのままではなく戻る

ここまで読んできた人なら想像がつくとは思いますが、ヴァギナというのはとても回復力があるもの。一時的に変化したとしても、やがては本来の大きさに戻るようです。

「セックスだけでヴァギナが大きくなって元に戻らないというのは、まずあり得ません。ですが、ごくまれに、ヴァギナが伸びきってしまうことはなくても、セックスの後でひりひりしたり、小さなすり傷を経験する場合もあります。これは皮膚が引っ張られすぎたために起こること。あまり心配は要りませんが、セックスのたびにこのようなことが起きて不快な場合は、かかりつけのドクターか、この分野の医療専門家に相談してみても良いでしょう」

香りの強いせっけんで洗うのはNG!?

そうなんです、きれいにしたい気持ちはわかりますが…。

「ヴァギナをきれいにするのに、香り入りの洗浄剤や石鹸を使うといいと言う人もいますが、これは良くない傾向ですね。ヴァギナには自浄作用というものがあるので、わざわざ洗わなくても大丈夫。香料入りの製品で洗い過ぎることは、ヴァギナの健康を守るバクテリアの繊細なバランスを壊してしまうことになりかねません。そして感染症にかかりやすくなったりします。一番多いのが、細菌性膣炎です」

自分の性器について何であれ気にかかることがあるのなら、放置せず、かかりつけの医師か医療専門家を訪ねるようにしてくださいね。

この翻訳は、抄訳です。

Translation:Sasaki Noriko (Office Miyazaki Inc.)

COSMOPOLITAN UK