「こんなセックスをしてみたい！ 」という性的なファンタジー（sexual fantasy）をもつことは、とても一般的なこと。お気に入りのポルノサイトでいつも検索する特定の言葉や、ふと妄想するプレイなどはありませんか？
でも実際のところ、ほとんどの人はそんな性的ファンタジーを実際に行動にうつしたことがないのだそう。その理由や、いざ実践したいと思ったときに安全に行動にうつすためのヒントをご紹介します。
リアルでは実践されない傾向に
マスターベーションのときに考えていることと、実際にセックスでする行為は大きく違うことがよくあります。
どうしてそのシナリオに興奮するのか、どこからそのファンタジーが来ているのか、自分でも不思議なことだってあります。そしてその“理想のシナリオ”をいざ現実でしようとすると、やっぱり怖く感じたり、なぜ魅力的に思っていたのかもわからなくなってしまうことも。
これは、全く珍しいことではありません。2014年に発表された調査によれば、対象の女性の56.6%が、3人以上でのセックスを妄想したことがあると答えたそう。しかし2017年に行われた別の調査では、実際に（ジェンダー混合の）3人でセックスをした経験のある女性はわずか8％という結果に。
市場調査会社YouGovによれば、普段見ているポルノが現実のセックスライフに反映されていると答えたのは男性で11%、女性で8%のみだったそう。
「日常的なものからもっと非現実的なものまで、性的な空想を繰り広げるというのは一般的なことです」とセックストイブランド「ジェ・ジュエ」専属カウンセラーで性科学者のネス・クーパーさんは言います。
性的ファンタジーが生まれる要因は？
自分がなぜあるシナリオやシチュエーションに性的に興奮するのか、その理由がわかる人は少ないでしょう。そもそもそれを探求する必要もないですし、したいと思わなくても大丈夫。
クーパーさんは、性的に興奮するようになる要因をこのように説明します。
「世代的な影響や、家族関係、今までに見てきた人間関係や恋愛などによって形成される性的ファンタジーもあります」
しかし、トラウマと関連している場合もあるそう。クーパーさんによれば「トラウマを対処し、落ち着かせるための脳の機能」の可能性もあり、その場合は、メンタルヘルスの専門家や信頼している人とトラウマを整理すると良いかもしれません。
多くの人にとって、性的ファンタジーのインスピレーションはポルノから来ています。ただしポルノを参考にすると、自分のセックス観に非現実的な期待や基準をもたらすことになることも多いので、注意が必要です。
「なぜそのようなポルノを検索しているのか考えてみても良いでしょう。検索の前から、無意識に想像していた可能性もあります」
空想を繰り広げることの意義とは？
マスターベーションをしているときに空想が役立つことはもちろん、パートナーとのセックスライフにおいても、性的ファンタジーは興奮材料の足しとなり得ます。
設定や役になりきる性的ロールプレイや“わい談”において、性的ファンタジーのシナリオに足を踏み入れながらも、現実味をキープすることができます。キンクやフェチに基づく行為を「プレイ」と呼ぶのは、あくまでもいつでも中断ができるものだからで、現実ではないということを知っているということになります。
きちんと安全に行えばこのようなプレイは、精神的にも良い影響があるそう。クーパーさんは以下のように説明します。
「性的ファンタジーは、日頃のストレスを忘れさせることができます。自分のとてもパーソナルなところまでさらけ出し、外の世界とはできるだけ切り離されたセクシュアルな経験を楽しむことできます」
ファンタジーがファンタジーである「理由」
性的ファンタジーを現実で行うかどうかは自由ですが、（性的合意やセーファーセックスを守ったうえで）同じ嗜好をもつ人とつながって、性的ファンタジーを実現しようと考える人がもっといても不思議ではないはず。
しかし、ファンタジーがファンタジーでしかないのには理由があるよう。実際のところ、現実が“空想世界”に勝てるケースは少ないのでしょう。
「恥じらいやタブーが、ファンタジーを実践する際の障害になっていることもあります」とクーパーさん。より珍しい嗜好であるほど、その可能性は高いです。 多くの人、特に女性にとってセックスは、スラット・シェイミング（性的な経験の多い人や性的に開放的な人を非難すること）と関連して、“恥”がつきものになってしまっています。
でも、（安全であれば）セックスや性的ファンタジーに恥ずかしいものなんてありません。とはいえパーソナルなものと感じたりして、オープンに話すことに抵抗があるのも自然なこと。パートナーがいても秘密にするべきだと自分で決めるのも良いのです。
また、現実世界で実践に至らない理由はほかにも。一緒に楽しめそうな人がいない、安全性が確保できないなどです。安全第一で考えることが大切で、自分や周りからのプレッシャーを感じる必要はありません。実現しなくても、性的ファンタジーにはほかにもさまざまな意味があることを忘れないでください。
「実際のセックスライフと性的ファンタジーはかけ離れていることが多いです。すべてのファンタジーを実践しようとする必要はありません。そして、気づかないうちにも、ファンタジーは常に変わりつづけるものです」（クーパーさん）
性的ファンタジーを持つメリット
もし性的ファンタジーを実践する心のゆとりと安全な場があり、したいという気持ちもあるのであれば、ファンタジーを実践にうつすのはとてもエキサイティングで楽しい経験になることは間違いありません。自分の性的な面をより探求することにつながります。
もしパートナー（たち）がいるのであれば、一緒にそのファンタジーを形にすることで、絆が深まることも。クーパーさんによればカップルでそのような行為をすると、離れている時の関係をより良いものにして、一緒にいる時の距離を近づけてくれるそう。お互いに性的な欲求を満たしあうことができるという、幸福感も得られます。
安全に実践するための3ステップ
- 時間をとって慎重にコミュニケーションをとろう
一緒にする相手が長く交際しているパートナーでも、最近知り合った人でも、いきなり始めないようにしましょう。慎重に、何を求めているのか、相手もそれをしたいのかをきちんと話すようにしましょう。
「もしパートナーがまた、あなたの性的ファンタジーに馴染みがない場合、実践する前にきちんと考える時間をあげましょう。セックスをする時のみ、そのような話をするのではなく、冷静な時に時間を作って話しましょう」（クーパーさん）
- じっくり準備して、スタートはゆっくり
もしあなたの性的ファンタジーが普段のセックスライフとかなり違うものなのであれば、ゆっくりと始めましょう。どうやってやるのかリサーチをして、急がないことが重要です。
「最初はトーンダウンさせて、徐々にレベルアップするように普段からアドバイスをしています。ベッドの上の数時間で全てを体験することは難しいです」（クーパーさん）
「小さな一歩」を、忘れないようにしましょう。
- 性的同意とアフターケアを優先しよう
性的ファンタジーを実践に移すには、あなた以外にもう一人（以上）いる場合がほとんどです。相手のことも思いやる気持ちを第一に、新しいプレイに挑戦する場合はセーフワード（中断の合図）を設定し、いつでも（遠慮なく）やめられるようにしましょう。
また挑戦的な行為がおわったあとの「アフターケア」も大切です。特に思い通りにいかなかったことがあるなら、“報告会”として、感想を伝え合うことは実際のセックスと同じくらい重要だということを忘れないで。
「性的ファンタジーを現実で実践するととても強烈な体験になったりして、今までに感じたことのない感情が押し寄せる場合も。その後、感情の“ダウン”がある可能性も考慮するようにしましょう」（クーパーさん）
割り切って楽しもう
あなたが妄想しているその性的なファンタジーの大切さは、実践をしているかどうかで測れるようなものではありません。想像と潜在意識的な思考は素晴らしい脳の働きですが、パーソナルなもの。思い描いたものが、必ずしもリアルな世界でも同じようになるとは限りません。
もしファンタジーを現実化したいと思うのであれば、安全性を確保し、オープンマインドな心得で、パートナ（たち）ときちんとコミュニケーションをとって楽しみましょう。
※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: 佐立武士
COSMOPOLITAN UK
