赤ちゃんのハイハイに見られる「四足歩行」は、幼児の身体の発達において重要な役割を果たします。大人にとっても効果的な運動法なため、欧米では昨今、四足歩行トレーニングに注目が集まっているそう。
本記事では「四足歩行トレーニング」の身体的なメリットや注意点、トレーニング方法をお届けします。
【INDEX】
- 「四足歩行トレーニング」のメリット
体幹を含む全身運動
有酸素運動
体の可動域が広がる
脳機能を発達させる
協調運動とマインドフルネスの練習に - 「四足歩行」トレーニング前の注意点
手首のストレッチを欠かさずに
無理はしないでアレンジを
「四足歩行トレーニング」のメリット
体幹を含む全身運動
四つん這いの体勢を維持するには脚、腕、その他多くの安定筋を使います。フィットネスコーチのマイク・フィッチさんによると、四足歩行中に休憩できる筋肉は少なく、ほとんどの筋肉がアクティブになる必要があるのだとか。
「四足歩行で体勢を安定させたり歩行の速度を調整する動作をするには、ほとんどすべての筋肉が機能する必要があります。そのため、全身運動となるのです」
また、理学療法士のジャルロ・イラノさんは、四足歩行の動作はバイシクルクランチやローテーションチョップのような腹筋運動と同じように体幹に働きかけると言います。
「四つん這いになることで、自然と体幹が使われるのです」
有酸素運動
有酸素運動と言えばランニングや水泳などを思い浮かぶはず。その点でいうと、四足歩行は、他に比べて心拍数が上がるスピードは遅いものの、効果的な有酸素運動になるそう。
「体の多くの筋肉を同時に使う動作をするとき、より多くの酸素を必要とします。つまり、四つん這いの動きをすることで、酸素を供給するための血液を全身に送るため心拍数が上がります」
体の可動域が広がる
運動が習慣でなかったり、一日中デスクワークをすることで腰や膝が硬くなっているときなどに必要なのが、体の可動域を広げること。
「American Council on Exercise(ACE)」によると、「可動域」とは腕や脚などを自由に動かせる関節可動域のことを指します。これは筋肉を受動的に伸ばす能力である「柔軟性」とは違い、自らの力で動かせる範囲で体をコントロールする能力を意味します。
四足歩行は特に肩と腰の可動域を広げるのに効果的で、2020年の調査によると、週に1時間の四足歩行トレーニングを16週間行った対象者の、肩と股関節の可動性が大幅に向上したという結果も。
脳機能を発達させる
幼児期における「ハイハイ」は、記憶力や空間認識などの認知プロセスの脳神経回路の発達を促します。同様に、大人の脳機能も発達させることがわかっています。
2015年に行われた研究では、週に60分の四足歩行トレーニングが脳にどのような影響を与えるかを調査。4週間の経過を観察したところ、対象者の認知的柔軟性、つまり環境の変化に応じて行動を適応させる能力が大幅に向上したことを発見。
また、認知的柔軟性は問題解決能力や視点転換、集中力にも重要だと、研究者は明らかにしています。
マインドフルネスの練習に
フィッチさんによると、「手と足が対となる動きは、左脳と右脳の相互作用を整理するのに役立つ」としながら、協調運動が神経回路の繋がりを強化させると説明します。
四足歩行のような慣れていない協調運動をすることは高い集中力が求められ、身体感覚に意識を向けることでマインドフルネスの鍛錬になります。
また、多数の感覚受容器がある手のひらと足裏が地面に触れ、温度や質感を感じ脳に情報を送ることで、“今”に集中する練習になるとのこと。
「四足歩行」トレーニング前の注意
手首のストレッチを欠かさずに
普段の生活において、手首はあまり動かさないエリア。四足歩行トレーニングでは手首に重心がかかるので、ストレッチをしておかないと痛めてしまうことも。
トレーニング前には、30秒間手首を回す準備運動を行いましょう。
無理はせずにアレンジを
四足歩行トレーニングは、全身と心臓に負荷がかかる運動であるため、慣れないうちに長時間行うことはお勧めできないのだとか。そのため最初は、休憩を取り入れながら20秒間ずつトレーニングを行ってみましょう。
また、手足の筋肉に多くの負荷がかかっていると感じたら、肘や膝の曲がり加減を調整したり、ヨガブロックを持ちながら行うと負荷が軽減されるのでおすすめです。
※この翻訳は抄訳です。
Translation: ARI
PREVENTION