思い立って久しぶりにランニングをしてみたら、終わった後に気分が悪くなったり、吐き気を催してしまった…という経験はありませんか? これは、普段から運動をしていないことの反動や“頑張った証”ではないと言います。

そこで本記事では、ランニング関連の情報を網羅するメディア<ランナーズワールド>から、「走った後に気持ち悪くなった時の考えられる原因と対処法」を専門家の解説を交えてお届けします。

※この記事は、診断の代わりとなるものではありません。症状について不安がある場合には、必ず医師または資格を有する医療従事者の助言を仰いでください。


消化不良

走っている時には、胃やその他の臓器ではなく、肺や心臓、筋肉などに集中的に血液が送られます。そのため、胃は普段のように栄養を消化するための血液を得られず、消化不良に陥り、気持ち悪くなってしまうことも。エネルギー消費量の高い運動をすることや、その直後にエネルギー摂取をすることで消化不良を起こしてしまうことも。

高温多湿な屋外で走るときも、体を冷やそうとして血液が皮膚に向かうために同じような反応が起こることもあります。

生理学者・スポーツ栄養士のカーウィン・シャープ博士は、このケースの対処法について次のように解説。

「まずは、自分の体が消化しきれる食べものの量を知ることが重要です。日常的な運動の時から試してみましょう。特に、エネルギーゼリーや他の糖分の多い食べ物を摂取する場合は、消化を助けるために水と一緒に取り込むようにしましょう」

糖分は、ワークアウト中でなくとも分解に時間がかかるため、一度にスポーツドリンクやゼリーを飲み過ぎると、消化不良を起こす可能性もあります。

また、脱水状態に陥ると消化がさらに遅れるため、小まめな水分補給が重要に。

「水分補給は胃腸を健康に保ち、ワークアウト後の吐き気を予防するためのカギとなります。ただし、飲みすぎるとかえって気持ち悪くなることもあるので注意が必要です」

胃への圧迫

「負荷の高いランニングをする場合には、腹腔内が圧迫され、胃の圧迫に繋がることもあります」と、シャープさん。

ランニング中に普段よりも体幹を使い激しく呼吸することで、胃の内容物が食道に逆流してしまうケースも。特に、逆流性食道炎や胃食道逆流症に悩む人は、食道の括約筋(食道と胃の間の筋肉)が弱まっていることによって、緩むべきではないときに緩んでしまうのだとか。

予防策としては、走る前に食べすぎたり飲みすぎたりしないこと。人によって“適量”には差があるため、自分に合った量を見極めることが大切です。

逆流性食道炎や胃食道逆流症に悩んでいる場合には、食事療法や投薬による治療なども選択肢にあるため、医療機関に相談するようにしましょう。

woman with hands on hips resting after exercise
The Good Brigade//Getty Images

ランニングの前に酸性の食品を摂取している

ランニング前には、柑橘類(オレンジ、ベリー類、グレープフルーツなど)、プロセスチーズ、ソーダやオレンジジュースなどの高酸性の食品は避けましょう。

「酸性の食品や飲みものは、胃の中をさらに酸性に傾けます。そのため、胃の内容物を小腸に送る時間が遅くなり、嘔吐のリスクも高まります」と、シャープさん。

高脂肪、高タンパク質、あるいは高繊維の食品も、胃が消化するのに時間がかかるため、ワークアウト前には禁物。食べ物が胃の中に長くとどまるので、ランニング中にも残り続け、胃もたれ、吐き気につながる可能性があるのだとか。

特にハードな運動をするときには、2時間前には食事をしないように心がけて。どうしても何か食べなくてはならない場合には、消化の良いものを少量とるようにしましょう。

走った後に急に立ち止まる

急に走るのを止めることも、胃に負担をかける原因になります。激しい運動からの急激な変化に胃がついていけないため、通常の状態に戻ると同時に不調を引き起こすからなのだとか。

急に立ち止まるよりも、歩き続けたり、ジョギングをしたりして、体が元の状態に戻るための準備期間を与え、胃への負担を避けましょう。走り終えた直後にスポーツドリンクを一気飲みしたり、食べ物にかぶりついたりするのも我慢して。水を少しずつ飲み、歩き続け、体が静止状態に戻るのを待ってあげましょう。

脱水症状

医学博士のウィリアム・ロバーツさんによると、特に汗をかきやすい人の場合には脱水症状から気持ちが悪くなることもあると言います。

「人は、ランニング中に体重の4%以上の体液を失う(体重減少が4%を超える)と、胃腸が水分を正しく吸収することをやめるため、体調が著しく悪くなってしまいます」と、ロバートさん。(※編集部注:熱中症の観点からは体重減少率は2%を超えると危険性が高まります。|参考:厚生労働省HP


ランニング後の吐き気を予防するには、走る前の飲食に気をつけ、ランニング中には小まめな水分補給が不可欠。それでも良くならない場合には、自己判断はせず医療機関に相談するようにしましょう。

※この翻訳は、抄訳です。
Translation:mayuko akimoto
RUNNER'S WORLD