普段、コーヒーを飲むのが習慣だという人も多いはず。実は、ランニング前にコーヒーを飲むことで、さまざまなメリットがあるそう。

今回は<ランナーズ・ワールド>から、ランニング前のコーヒーのメリットやデメリット、注意点をお届けします。自分に合った取り入れ方を探してみて。

ランニング前にコーヒーを飲むメリット

パフォーマンスの向上

ランニング前にコーヒーを飲むメリットの多くは、カフェイン入りのコーヒーにだけ当てはまるとニューヨークを拠点とするスポーツ栄養士のアミティ・ルイさんは話します。

ワークアウトにおける代謝について研究する<International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism>に掲載された報告によると、長距離走に関しては特に、カフェインが疲労や痛みを減らし、持久力、注意力、集中力を高めるとしています。

また2021年に掲載された論文によれば、カフェインの効果が最も表れるのは、有酸素運動において。ただし、スプリントや筋力、筋持久力(繰り返しの負荷を何回続けられるかというある特定の筋肉の持久力)を使った運動においても、「わずかな、あるいはほどほどの、カフェインによるメリットが見られる」としています。

便通を促す

コーヒーのもう一つのメリットは、便意をもよおさせること。コーヒーは反射作用を引き起こし、便通を促します。

ただし、これはコーヒーのメリットでもあり、デメリットにもなるもの。ランニングの前に用を足せれば役立つけれど、ランニングの途中で便意をもよおした場合は、むしろマイナスになりかねません。

身体の炎症反応の緩和

さらに別のコーヒーのメリットは、抗酸化物質が含まれていること。抗酸化物質は誰にとっても必要なものではあるものの、アスリートにとっては特に有益。

スポーツ栄養学を専門とする登録栄養士のレイチェル・ガルガーノさんは、抗酸化物質は運動による身体の炎症反応を緩和する働きがあると説明します。

普段、コーヒーを飲むのが習慣だという人も多いはず。実は、ランニング前にコーヒーを飲むことで、さまざまなメリットがあるそう。 今回は<ランナーズ・ワールド>から、ランニング前のコーヒーのメリットやデメリット、注意点をお届けします。
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ランニング前にコーヒーを飲むデメリット

筋肉の動きを鈍らせる

ランニング前に飲むコーヒーに関しては、多ければいいというものではないそう。個々人のカフェイン耐性によって、コーヒーの飲みすぎは不安や心拍数の異常のリスクを高めるほか、筋肉の動きを鈍らせることにもなります。

睡眠の妨げ

さらに、遅い時間にコーヒーを飲みすぎると、睡眠が妨げられることも。ルイさんによると、カフェインの血中濃度が半減するまでにかかる時間は、平均して5時間ほど。

たとえば、ランニングの前の午後3時に200ミリグラムのカフェインが入ったコーヒーを1杯飲んだとすると、午後8時の時点でそのうちの100ミリグラムのカフェインは残っているということ。カフェインに対する耐性によっては、寝つきが悪くなったり、夜中に起きてしまったりといった場合もあります。

コーヒーの適量や飲む時間の決め方

遺伝やどれだけ長くコーヒーを飲んできたか、毎日平均してどれくらい飲んでいるかなどによって、それぞれのカフェイン耐性が異なるため、一律に適量は言えません。

とはいえ、パフォーマンスを上げるために一般的に推奨される用量は、体重1キログラム当たり3〜6ミリグラム。たとえば、68キログラムの人なら、カフェイン200〜400ミリグラムということになり、これはコーヒー2〜5杯という計算。もしカフェインに敏感なら、適切な量の範囲のなかでも少なめに抑えるのがベターです。

カフェインの摂りすぎに注意!

アメリカ食品医薬品局によると、カフェインの過剰摂取によって胃の不調や不眠、不安、頻拍をはじめとした副作用が引き起こされる可能性があると言います。

ルイさんは、ランニング前のコーヒーの適量については、基本的に試行錯誤しながら調整するようにアドバイス。またガルガーノさんは、カフェイン耐性があまりないと感じる人は、コーヒーをランニング前のルーティーンに含めないように推奨します。

もしカフェインへの耐性があるようなら、ガルガーノさんのおすすめは、ランニングの30〜60分前に飲むこと。ランニング前のコーヒーのタイミングを調整することで、「一番エネルギーが欲しいときに一押ししてもらえる」と言います。

また、コーヒーにたっぷりと砂糖を入れる人は、ランニング開始の30分前までに飲み、あまり時間を空けないようにすると◎。砂糖は素早くエネルギーになるため、運動にとってメリットとなる高い血糖値を活かすためには、時間をおかない方がいいでしょう。

長時間走るタイプなら、ランニングの最中にカフェインを摂るのがおすすめ。その場合は、カフェイン入りのゼリーなどもいいそう。

普段、コーヒーを飲むのが習慣だという人も多いはず。実は、ランニング前にコーヒーを飲むことで、さまざまなメリットがあるそう。 今回は<ランナーズ・ワールド>から、ランニング前のコーヒーのメリットやデメリット、注意点をお届けします。
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まとめ

どのようなかたちでコーヒーを飲むにせよ、どちらの専門家もおすすめするのは、運動に必要なエネルギーとなる食べ物と一緒に摂取すること。

ルイさんは、「コーヒー自体にはほとんどカロリーがないので、エネルギーにはなりません」と言います。ガルガーノさんのアドバイスは、「消化しやすい炭水化物の軽食を、ランニング開始までの30〜45分以内に食べる」こと。ランニング前の軽食としては、バナナとハチミツや、バナナとピーナッツバターをのせたトーストなどをおすすめしています。

カフェインの耐性なども含め、自分に合ったコーヒーとの付き合い方を模索してみて。

※この翻訳は、抄訳です。
Translation:mayuko akimoto
Runner’s World US