先月の生理は通常通りだったのに、今月だけなぜか経血量も少ないし生理痛も軽い…という経験はありませんか?

経血量や生理痛、PMSなどの症状は個人差があるだけでなく、同じ人でも外的環境や心身の状態などの内的要因でも変わるもの。でも、あまりにも普段と違う様子だった場合には、心配になってしまいますよね。

そこで本記事では、産婦人科医らの解説とともに生理がいつもより軽くなった時に考えられる理由をお届けします。


【INDEX】


「軽い生理」ってどんな状態?

生理の周期や重さは人それぞれのため、「軽い生理」を定義することは難しいもの。一般的には、生理中の経血量が30~35ミリリットル以下だと、「軽い」と考えられると婦人科医のシュリ―・ダッタ医師

「月経カップを使っていない限り、経血量を測ることは難しいですが、毎回記録しておくなど、自分の月経の傾向を把握しておくのが大切です」

ここからは、普段よりも軽い生理だったときに考えられる理由をリストアップして解説します。

ストレスを感じている

忙しい生活を送る人たちにとって、ストレスは避けて通れないもの。ただし、タティアナ・ラパ医師によると、課題の締め切りや大勢の前でのプレゼンテーションなど、日常生活で感じる小さなストレスの繰り返しが生理に与える影響は少ないよう。

一方で、生理に最も影響を与えるのは、人との別れや仕事での大失敗など、大きなストレスが生じる出来事を経験したときとのこと。

「過剰なストレスは、分泌されるべきホルモンを抑えることがあります。その結果、月経が軽くなってしまうことがあるのです」

体重の増減が激しい

体脂肪と体重の増減は生理に直接的な影響がある、と話すラパ医師。特に重度の低体重である場合にはホルモンバランスが崩れやすくなるため、生理も正常ではなくなることも。

「低体重だとホルモンが生成されにくくなることもあるため、月経が軽くなったり、不規則になります」

妊娠のしるし

生理がこなくなると、妊娠を疑う人は多いと思います。しかし中には、妊娠しても経血が少ない「軽いパターンの生理」が続く女性もいると、ニューヨークにある不妊治療クリニックの医長で不妊治療の専門家であるジャネット・チェ博士は説明します。

実際チェ博士の元を訪れる患者のなかにも、妊活中に生理がきたけれどそれが軽かったので出先でお酒を飲んだ後に、妊娠していることがわかったというケースがあったのだとか。

生理がきても経血が異常に少ない場合や子宮からの不正出血は、受精卵が子宮の内膜以外の場所に着床する子宮外妊娠の場合も。疑わしい場合は妊娠検査を受けましょう。

年齢による影響/閉経(更年期)初期の兆候

年齢を重ねるにつれて、生理の周期を含めて、身体に様々な変化が生まれます。30代半ばから40代前半にかけて、卵巣機能にも変化が現れるようになるとのこと。その症状の一つとして、生理が以前よりも軽くなることも。

「30歳半ばを過ぎると、卵子の数と女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンの分泌量が、徐々に減っていきます。50代に差しかかると、大半の女性が閉経を迎えるため、それに向けて月経の重さも変化していきます」

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経血量が少ないという場合、チェ博士はまず患者の年齢をチェックするそう。それは基本的には、閉経が近いサインと考えられるから。

「20〜30代前半で超厚型の生理用ナプキンを使わなければならなかった人でも、30代後半になるとそれほど厚いものは必要がなくなる人もいます」

ピルによる影響

生理が軽くなる最も一般的な理由が、経口避妊薬(ピル)を服用していること。生理の症状が重い「月経困難症」を緩和してくれるという理由から、避妊目的以外で服用する人も。

「ピルは排卵を抑えるホルモンの薬です。排卵が起こらないと子宮内膜が増殖されないため、月経量が少なくなったり、生理痛が軽くなったりします」

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経口避妊薬のほかにも、避妊パッチやリング(ミレーナ)、IUD(子宮内避妊用具)などのホルモン剤を使った避妊薬があります。それらを使用してから生理の周期がはっきりしなかったり、経血が少量または薄くなっても心配することはないのだそう。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による影響

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」は、若い女性によく見られる排卵障害の一つ。卵子の元となる卵胞の発育が遅れて排卵しなくなるため、生理の周期が長くなったり無月経を引き起こしたりすることもあると、ラパ医師。

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子宮または子宮頸部の手術を受けた

ダッタ医師によると、婦人科系の病気で子宮または子宮頸部の手術を受けた直後は、生理中の経血量に変化があるとのこと。

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中でも「まれなケースですが、頸管狭窄症(けいかんきょうさくしょう)は子宮頸部が狭い、または完全に塞がっている場合に起こります」と生殖内分泌学専門医であるリナ・アコピアンズ博士

過去に受けた子宮頸部の病変の切除や、重い生理のための子宮内膜切除などの、子宮や子宮頸部の手術後に起こりやすいとのこと。

※子宮の下から3分の1、膣につながる部分

頸管狭窄症は、閉経期前後のエストロゲンのレベル低下によっても起きると考えられているそう。結果として血液が子宮内に滞留したり、ゆっくりとしか流れ出てこない状態に。

運動のしすぎ

運動のしすぎも生理に影響を与える要因の一つ。「毎日のように激しい運動をしてしまうと身体に負担を与え生理不順の原因になる」と、ダッタ医師は警告しています。

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甲状腺機能亢(こう)進症の疑い

「甲状腺機能亢進症の場合、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって、心臓、血圧、筋肉などに深刻な問題を起こすことがあります。異常に生理が軽いことや、生理がまったくこなくなることも甲状腺機能亢進症の症状です」

こういった症状がみられたら医師に相談を。

子宮内に傷がある

一般的な子宮頸管拡張と子宮内掻爬(そうは)術の処置を受けた場合、ほとんどの場合は合併症も起こさずに治癒します。

ただし、時として大きな傷ができてしまい、子宮内膜が癒着するアッシャーマン症候群という症状を引き起こしてしまうことがあるのだとか。

出産中や出産後の大量出血の影響

大量の血液が失われると体の酸素が奪われ、脳下垂体を損傷し、機能の低下を招くシーハン症候群という症状につながるおそれが。

そうなると生理の周期をコントロールするものを含め、脳下垂体がつくるホルモンが極端に減少します。このホルモンは月経周期に影響を与えるだけでなく、甲状腺といったほかの体の部分にも影響をおよぼすのだそう。

ただし、「これはめったにないことです」とアコピアンズ博士。かかりつけの医師がこの症状に思い当った場合は、より専門的な診断と治療のために、内分泌専門医を紹介されるかもしれません。


これまで紹介してきたことは、あくまで一般的に考えられる理由。いつもより経血が少ないからといって、必ずしも不安になることはありません。けれど、急な生理不順などが心配な場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。

変化があったら放っておかずに婦人科医の診察を受けること。生理がいつもと違うということに気づいたら、数カ月は月経周期や経血量などに気を配ることが大切です。

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: ARI, 西山 佑(Office Miyazaki Inc.)
COSMOPOLITAN UK / PREVENTION