生理のある人にとって、生理用品は最低限なくてはならないもの。世界中で「生理の貧困」が問題視されているなか、 アメリカ・テキサス州が生理用品への課税を撤廃し、注目を集めている。

“タンポン税”を撤廃

2023年9月1日(現地時間)、生理用品にかかる売上税(日本でいう消費税)、通称“タンポン税”を撤廃したアメリカ・テキサス州。


※「Sales Tax(売上税)」とは、物やサービスを購入する際に課せられるアメリカの税金のこと。売上税は連邦政府ではなく、州政府が管轄する。

Good Morning America>によると、タンポンやナプキン、月経カップなどの生理用品だけでなく、オムツや哺乳瓶、マタニティウェア、搾乳器などのファミリーケア用品に対する課税も撤廃したとのこと。

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Helena Lopes / 500px//Getty Images

テキサス州ではこれまで、生理用品は贅沢品として分類されており、6.25%の課税をしていた。しかしコンタクトレンズや市販薬などは必要品目に分類され、非課税で販売されているため、タンポン税に反対する人々は、「生理用品への課税は生理がある人に対する差別である」と主張してきたと<The New York Times>は報じている。

生理用品は“オプション”ではない

生理用品は、生理がある人にとって最低限なくてはならないものであり、決して贅沢品・嗜好品ではないはず。<Nasdaq>によると、テキサス州におけるタンポン税撤廃の取り組みは、複数の州議会議員が同案への支持を表明した2022年からスタートしていたという。

テキサス州の上院財政委員会のジョーン・ハフマン氏は、2022年8月のリリースでこのように語った。

「上院財政委員長として、この取り組みを私の最優先事項のひとつにできることを誇りに思います。女性なら、これらの生理用品が“オプション”ではないと誰もが知っている。私たちの健康と福祉のために必要不可欠なものであり、非課税にするべきなのです」

解決すべき「生理の貧困」

Forbes>によると、アメリカの大手生理用品ブランド「Kotex」が2021年に実施した調査では、生理がある人の2人に5人以上が、経済的に苦しい状況にいたときに生理用品の購入に苦労した経験があると明らかに。さらに、この結果は2018年に行ったときと比べて、増加していたという。

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Lucy Lambriex//Getty Images

そしてこれは日本でも例外ではない。2022年11月から活動は一時休止となっているものの、生理用品の負担軽減を目指す日本生まれの任意団体「#みんなの生理」は、2021年に高校生や大学生らを対象にした調査を実施。

そこでは、生理用品を買うのに苦労した経験や金銭的な理由で生理用品をほかのもので代用したことが過去一年にあるかどうかなどを聞いている。なかでも一番「経験がある」と答えた人が多かったのは、「生理用品を交換する頻度を減らした」と答えた37.0%だった。