イギリスだけでも、「ひどい生理痛」に悩まされている女性は数百万人にのぼるという。そして、その半数以上が、「生理の苦しみは真剣に受け止められていない」と訴えている。

イギリスの慈善団体、ウェルビーイング・オブ・ウィメン(Wellbeing of Women、WoW)は、この問題が女性・少女たちに及ぼす悪影響への意識を高めるため、「Just a period(ジャスト・ア・ピリオド、ただの生理)」キャンペーンを通じた活動を行っている。

経血量をおよそ54%まで減らすことができるトラネキサム酸の投与など、いくつかの効果的な治療法があるにもかかわらず、生理に伴う症状が重いこと、痛みがひどいことが「医療においても“よくあること”と片づけられる」ことに、医療関係者らも警鐘を鳴らしている。

過多月経、激しい痛み、生理不順などは、治療を必要とする子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群など、婦人科疾患を持つ人に一般的な症状でもある。だが、女性たちには適切な医療が十分に提供されていない。

WoWが実施を委託した調査によると、質問に回答した3000人の女性・少女のうち、「治療やサポートへのアクセスに問題がある」とした人は、56%にのぼった。また、「心配なことを伝えても、医師らが真剣に受け止めてくれないと感じる」と答えた人は、51%だった。

また、診察を受けたという58%の女性のうち、症状をコントロールするための治療を受けたのは42%、情報やアドバイスを受けたのは39%だった。

early teenage girl with stomachache at doctors office
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私たちの多くがすでに知っているとおり、ひどい生理痛の影響は、身体的なものにとどまらない。この調査でも、およそ10人に9人が、うつや不安、気分のムラなど、生理によるメンタルヘルスの問題を経験していることがわかっている。

WoWのキャンペーンに参加するタニアさんは、自身の(子宮内膜症と腺筋症)症状について、次のように語っている。

「生理中は嘔吐し、動くことができません。お腹を抱えて、泣いて(大泣きして)います。背中から足にかけて、刺すような痛みが走ります。直腸も痛いので、座ることもできません。口の中に金属味を感じ、嗅覚が敏感になります」

また、WoWの理事を務めるインペリアル・カレッジ・ロンドン医学部のレスリー・レーガン教授は調査結果について、こうコメントしている。

「女性・少女たちはあまりにも長い間、見過ごされてきました。学校や仕事に行かれない、世話や介護ができないなど、日常生活に支障をきたすような生理の症状に苦しむ人がいるのは、受け入れられないことです。こうした症状はいずれも、回避可能なメンタルヘルスの問題につながり得るものです」

「このように日常生活に支障が出る場合、それは、“はねつける”べきことではなく、注意を向け、サポートすることを必要とする婦人科系の問題があることを示していると考えられます」

「ジャスト・ア・ピリオド・キャンペーンを通じて、私たちは医療において長年続いてきた女性の健康に関する先入観や軽視、偏見の問題に取り組んでいきます」

sick woman at the hospital
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また、女性・平等委員会の委員長を務めるイギリス国会議員、与党・保守党所属のキャロライン・ノークス議員は、次のように述べている。

「(ひどい生理痛とそれに伴う症状は)女性と少女たちの健康に影響を及ぼしています。仕事や学校、スポーツ、日常生活に支障を来たしています」

「子宮内膜症の患者はイギリスだけでも約150万人とされ、それによる経済的損失は、およそ82億ポンド(約1兆4900億円)にのぼっています」「今こそ、変化のときです。議会の調査とジャスト・ア・ピリオド・キャンペーンを通じて、女性と少女たちのニーズを訴え続けていきます」

From COSMOPOLITAN UK