生理が毎月規則正しくくることは、健康状態が良好である印の一つ。ただ、“時計仕掛け”のように、キッチリと正しい周期で生理がくるという人は少ないかもしれません。

また、周期が規則的でないからといって必ずしもそれが「異常」であるとは限りません。ただし、体調不良のサインが隠れているケースがあるのも事実。そこで本記事では、「生理周期がバラバラになる14の理由」を、 医師のジュリエット・マクグラタン博士が解説!

1.自然な現象

    生理が不順であっても、その人にとっては問題がないという場合もあります。月経周期の平均の長さは28日ですが、規則正しく4週間毎に出血する人はほとんどいないはずです。

    21日〜40日の間隔であれば、正常の周期と考えていいでしょう。3週間の周期の翌月が5週間の周期になった場合、これを不順と思うかもしれませんが、過度に心配をすることはありません。

    2.思春期の生理不順

    生理の周期は、排卵によって左右されるもの。受精・着床がなく妊娠しなければ、子宮内膜が剝がれ落ち、生理が始まります。しかし初潮がきたばかりの頃は、生理の周期が排卵とリンクしないことも。

    無排卵周期症(無月経)はしばしば不規則に起こるもので、次の生理が来るまでに長い(もしくは短い)ギャップがあることもありますが、10代の頃にはよくあるものです。次第に排卵のサイクルが整い、一定のパターンに落ち着くでしょう。

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    Megan Madden / Refinery29 for Getty Images//Getty Images

    3.閉経期を迎えたから

    排卵せずに生理が起こる無月経周期症は、閉経期に起きることがあります。45〜55歳ごろになると、生理がこない、もしくは逆に頻繫にくるようになったりして、周期が不安定になったり、人によっては出血がひどくなる場合もあります。

    その後、生理が完全に止まるまで、間隔は次第に長くなっていきます。最後の生理から1年が経過すれば、閉経を迎えたといえるでしょう。

    4.妊娠による不規則な出血

    通常、妊娠中は完全に生理が止まります。しかし少数ですが、妊娠早期に不規則な出血がある場合も。生理が不順で妊娠している可能性がある場合は、妊娠検査を受けることをおすすめします。

    また、出産後に卵巣が元の状態に戻り、次に排卵するまでには数カ月かかる場合があるので、生理が不順になることが予想されます。その間に排卵があれば、妊娠期間終了後初めての生理がくる前に、妊娠する可能性もあるということです。

    流産や中絶を経験した場合も生理不順になります。この場合の出血は通常3週間程度でおさまるものですが、出血が続いたり、出血に異臭や変色が見られる場合は、すぐ医師に相談をしましょう。

    5.母乳がメインの育児

    夜間の母乳も含めてほぼ母乳だけで赤ちゃんを育てている場合は、おそらく排卵はなく、生理もこないと考えられます。これは無月経といわれ、出産の間隔を空けるために起こる自然な現象です。

    赤ちゃんが離乳食を摂るようになると、母乳を与える間隔が空くようになり、生理が再開する要因につながります。再開時は生理不順が起こることもありますが、数カ月もしないうちに妊娠前のパターンに戻ると考えられます。

    6.ホルモン剤による避妊

    ホルモン剤による避妊を始めたばかりの頃に、不規則な出血があるのは珍しいことではありません。

    ほとんどの場合は2~3カ月もすれば落ち着きますが、なかには不規則な出血が続くリスクのある避妊法も。これには、プロゲステロンのみを配合した避妊薬のほか、避妊注射やインプラント、ミニピル、および子宮内システム(IUS:ミレーナ)などがあげられます。※日本ではピルやIUSなどのみ選択肢があります。詳しくはこちらから

    出血するのは、その避妊方法に効果がないというわけではありません。出血が落ち着くまでに時間を要する場合もあるので、問題があれば医師に相談しましょう。エストロゲンとプロゲステロンの両方を配合した避妊薬を使用する場合、生理をうまくコントロールできる場合が多いものの、出血が続くようであればやはり医師の診断を受けましょう。

    7.ストレスによるホルモンバランスの乱れ

    ストレスを感じると体内のホルモンバランスが崩れ、生理が止まったり不順になることがあります。

    このメカニズムについては完全には分かっていませんが、「ストレスホルモン」として知られるコルチゾールが、排卵と生理をコントロールする女性ホルモンのバランスを妨げていると考えられています。

    いったんストレスが緩和されれば、生理は正常な状態に戻るでしょう。適度な運動や瞑想など、ストレスにどう向き合うかを学ぶことが大切です。

    8.体重の変化

    肥満だけでなく、極端なストレスによる急激な体重の減少も、生理不順や不規則な出血のリスクを高める原因の一つと言われています。

    急激な体重の減少が起きた場合、生理の頻度が減ったり、人によっては完全に生理が止まってしまうことさえあります。この理由は、身体が減らされたカロリーを「主要な目的」に備えて蓄えようとし、生殖機能が中断されて生理不順が起きると考えられます。

    9.運動のし過ぎ

    激しいレベルで頻繁に運動すると、体のエネルギーが大幅に消費されます。こうした運動に耐えられる十分なカロリーを摂っていないと、身体の本質的な機能が優先され、生理期間が短くなったり止まったりすることがあります。

    生理が6カ月間完全にないことを無月経と言いますが、骨密度の低下につながったり、骨粗鬆症のリスクを高めるなど身体に甚大な影響を与えてしまいかねないため、直ちに医師の診断を受けることが重要です。運動量が減少しカロリー摂取量が増えれば、いずれ生理は通常のリズムに戻ると考えられます。

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    bymuratdeniz//Getty Images

    10.多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群

    多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、生理不順の一般的な原因と言えます。次の3つの条件のうち2つ以上が当てはまる場合、多嚢胞性卵巣症候群であると考えられるでしょう。

    1. 生理不順である、または生理がない
    2. 超音波スキャンをすると、卵巣に複数の拡大した卵胞がある
    3. 血液検査で示された男性ホルモンの数値が高い。または過剰な毛髪の成長、ヒゲが生える、にきびや男性型脱毛症などの兆候が見られる

    多嚢胞性卵巣症候群になると、妊娠しにくくなる可能性があるとも指摘されています。もし生理が不順で妊娠を望んでいる場合は、かかりつけ医に相談し、専門医を紹介してもらいましょう。

    11.甲状腺の疾患

    甲状腺は喉仏の下にある、代謝をコントロールしている内臓。この臓器に異常が起こる甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症などを患うと、生理周期に影響が出ます。

    個人差はありますが、一般的に甲状腺機能亢進症になると生理がなくなるか少なくなり、甲状腺機能低下症になると生理不順になったり生理が重くなったりすると言われています。甲状腺の治療をすれば、生理の状態も回復していくでしょう。

    12.子宮内膜症

    子宮内膜症とは、子宮内膜の組織が卵管内や卵巣、腸など子宮以外の場所にできてしまい、増殖やはく離を繰り返す病気のこと。この疾患を抱える女性は、生理不順や胃痙攣に苦しむ場合があります。

    多量な出血がある場合も多く、痛みを伴うことも。ほかに、腹痛や性交時の不快感があり、妊娠にも影響する可能性も考えられます。子宮内膜症は完治が難しいとされる疾患ですが、治療により症状を緩和することは可能です。

    13.子宮筋腫

    子宮筋腫は子宮内、または子宮上で成長する筋組織からなる良性の腫瘍です。子宮筋腫になると、生理時の出血が通常よりも重く長引きます。不正出血が生じる場合も多く、通常の生理と混同して生理不順だと勘違いするほど出血が多いケースも

    子宮筋腫は妊娠可能な時期に多く見られ、閉経すると縮小します。場合によっては、薬や手術で治療することも。

    14.卵巣嚢胞

    卵巣嚢胞は、卵巣内または卵巣上で成長する嚢(のう)のこと。さまざまなタイプがありますが一般的にはほとんど健康に影響はなく、自然に消えるもの。

    卵巣嚢胞があると生理周期が不規則になり、生理の頻度が増える場合が多く、膨満感や腹痛、便秘などの症状を引き起こす原因となります。嚢胞は通常超音波スキャンで確認されることが多く、必要に応じて精密検査を実施する場合も。

    生理周期を記録する

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    Ashley Armitage / Refinery29 for Getty Images//Getty Images

    自分の生理の周期に注意を払うことは、いつ生理が始まるかを把握できるだけでなく、健康のための良い指標となります。生理に異変が起きた場合には、スムーズな原因究明につながるでしょう。

    生理が乱れている原因は、ストレスや食事を減らし過ぎていることにあるかもしれませんが、病状の兆候ということも考えられます。月経周期の管理に便利なアプリも多くありますが、カレンダーや日記に生理のあった日を丸で囲むだけでもサイクルの記録が可能です。

    生理不順を医師に相談するべき?

    生理が不順であってもすぐさま焦る必要はないですが、次のような症状が見られる場合は、医師に相談するべきでしょう。

    • 日々の生活が困難になるほど生理が重い
    • 生理と生理の間にも出血する(不正出血がある)
    • 生理不順による不妊の疑い
    • 生理が突然不順になった(45歳以下の場合)
    • 生理が頻繁にあったり、間隔が空いたりする

    ※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
    Translation: 西山 佑(Office Miyazaki Inc.)
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