性教育やセックスポジティブ、セクシャルウェルネスにまつわるコンテンツを、SNSで明るく発信している、“コンドームの妖精”なっちゃん。

今回は、「コンドームの妖精」を名乗るまでの道のりや、本格的に活動を始めてから、印象的だった反応、思い描く理想の社会について伺いました。

コンドームの妖精 なっちゃん

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アフリカでの性体験から“爆誕”した、コンドームの妖精なっちゃん。性教育やセックスポジティブ、セクシャルウェルネスにまつわるコンテンツを、愛を乗せて、明るくお届け中。

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――セクシャルウェルネスについて興味を持ったきっかけを教えてください。

大学生のときに1年間休学して、アフリカのウガンダでボランティアをした経験がきっかけです。

ウガンダはHIVの感染率が高く、国連合同エイズ計画(UNAIDS)や世界保健機関(WHO)を筆頭に、国際機関や国際 NGO が問題解決に向けて、避妊具(コンドーム)の使用を啓発しています。

そのため、コンドームの使用を促す大きな看板が街中にあったり、ナイトクラブのトイレでコンドームが無料配布されていたりと、日常生活のなかでコンドームを目にする機会が多かったのが印象的でしたね。それほど、性行為でのHIV感染が深刻な問題であることを肌で感じました。

そんなウガンダで、私自身、コンドームを使用することの重要性を身をもって痛感する出来事があって。自分の衝動や欲求に素直になることは決して悪いことではありませんが、自分で自分を守ってあげられなかった、大切にできなかったという悔しさが残りました。

その日を境に、自分を守る手段の一つでもある「コンドーム」に強く関心を持つようになったんです。色々と調べていくうちに、コンドームは避妊や性感染症予防になるだけでなく、奥深くてワクワクする、楽しいものでもあると気づきましたね。

また、ウガンダでセクシャルウェルネスについて若い女性に指導しているおばあちゃんと出会ったのも、性をタブー視していた部分が変わったきっかけになりました。

――帰国後、どのタイミングでコンドームの妖精として活動するようになったのですか?

日本に帰国後、大学の友人たちとの飲み会の場でセックスに関する話題があがったとき、ウガンダで学んだセーファーセックスの重要性や、意外と奥深いコンドームの魅力について熱弁したのですが、下ネタやギャグとして捉えられたり、笑われて流されたりすることもあって、モヤモヤしたまま月日が経ちました。

転機となったのは、同年に行われた沖縄でのハロウィンパーティでした。私が住んでいる沖縄では仮装コンテストがあるほど、ハロウィンはすごく盛り上がるイベントなんですよ。そこで、ハロウィン前日に自分の仮装案として舞い降りてきたのが「コンドームの妖精」だったんです。

昔から好きだった、妖精やプリンセスのような可愛らしいコンセプトと、自分が伝えていきたいセクシャルウェルネスの啓もう活動を組み合わせて、「コンドームの妖精」が誕生しました。

いざアイデアが決まってからは、とにかくスピード勝負で。生地や手芸用品の店を回って、手作りの衣装でハロウィンに臨んだところ、人種、年代、性別問わず人気で…! たくさんの方から写真撮影をお願いされ、動けなくなるほどでした(笑)。

後日、SNSで「#savelifeusecondom(コンドームを使って命を救おう)」という自分が作ったハッシュタグをつけて、熱い想いを投稿してくれた人がいたり、とある掲示板で自分が話題になっていたりして。

そのとき、自分らしくクリエイティブな方法を取ることで、幅広い層にアプローチできると思い、「コンドームの妖精」として活動をスタートしました。

――コンドームの妖精として本格的に活動を始めてから、印象的だった反応はありますか?

友人や家族は応援してくれて、ポジティブな反応でした。SNSの投稿を見た昔の同級生は、「実は全部読んでるよ」「自分も頑張ろうと思った」と連絡をくれることも。

一方で、視聴者さんからの反応は賛否両論ですね。クリトリスに関する動画をYouTubeに投稿した際、コメント欄には中傷の言葉や、セクハラと言えるものも多く寄せられました。

そのときはかなり傷ついて落ち込んでしまいましたが、「頑張ってください」とか「こういう情報を知りたかった」といった応援のコメントが励みになっています。

YouTubeのチャンネル登録者数は1万人を目指していて、最近では「こういう内容もお願いします」とコンテンツリクエストを頂くようになったので、もっと頑張っていこうと思っているところです。

――コンドームの妖精として本格的な活動を始めるため、会社員も辞められたそうですね。

会社員生活に憧れもあり、新卒で不動産投資会社に就職したのですが、「コンドームの妖精」の活動を本格的に始めるため、退職することに。

「私にはやらないといけないこと、私にしかできないことがある気がする」と自分に言い聞かせていました。

もともと「コンドームの妖精」としての活動を履歴書に書いて入社していたので、会社の仲間も応援してくれましたね。

――性について語ることにハードルを感じる読者もいますが、なっちゃんさんの思い描く理想とは?

私が最も共感し、伝えていきたいのは、性的快感や探求を奨励する「セックスポジティブ」という概念です。タブー視したり、それについて話すことを恥じたりするのではなくて、「性」を堂々と楽しんで、潤った人生を送るのって素敵ですよね!

とはいえ、全員がオープンである必要はないと思っています。話したくない人は口にしなくていいですし、聞きたくない人は耳を傾けなくてもいい。

でも、「犬が好き」とか「音楽が好き」といった感覚で、セックスについて興味がある人がいるのであれば、周りはとやかく言ったり、むやみに特別視したりする必要はないのかなと。

でも、性の基礎知識に関しては、自分が傷ついたり、誰かを傷つけたりすることがないよう、誰もが身に着けた方がいいと思います。

「性」とはセックスに限らず、日常と隣り合わせにあるものだから、たとえば身体の異変を感じたら、恥ずかしがらずに病院へ行ったり、専門家に話を聞いたりできる環境が大切ですよね。

あとは、必要なときに専門グッズに頼ることも大切な性教育だと思っています。ラブローション(潤滑ゼリー、ルブリカント)を例に挙げると、アダルトグッズのイメージを持っている人もいるとは思いますが、実は性交痛を和らげるために使っている人も存在します。

グッズに頼ることはダメなことではないし、自分に欠陥があると責めないでほしい誰もが不自由のない選択を取れるような社会になるのが理想です。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「コンドームの妖精」としての活動は、コンドームの啓蒙がスタートでしたが、私の軸となっているのは、「自分を幸せにできるのも、守れるのも、自分だけ」ということ。パートナーに「コンドームを使いたい」と伝える選択も、まさにそうですよね。

性教育やセックスポジティブを切り口に、自分が一番の理解者で、一番の味方になってあげるというメッセージを、私らしくワクワクキラキラと、愛を乗せて届けていきたいです!