ほとんどの場合、「問題ない」とされている妊娠中のセックス。とはいえ、お腹にいる赤ちゃんへの影響が多少なりとも気になるもの。
そこで本記事では、産婦人科医が「妊娠中のセックスとおすすめの体位」について解説。安心して、心置きなくセックスを楽しむために参考にしましょう。
身体の変化に合わせた微調整を
産婦人科医のアンジェラ・ジョーンズ先生によれば、主治医から「安静」を言い渡されていない限りは「どの体位でも問題はない」とのこと。
「実は、妊娠中はこれまでにない最高のセックスを経験できるかもしれない機会。普段より“ナチュラル”になめらかになり、膣や外陰部につながる感覚が高まるのです。妊娠中のセックスはすばらしいものですよ」
ただし、妊娠中の身体の変化に合わせ、それなりの微調整は必要。
「妊娠中のセックスはすばらしいものになりえるのですが、母体の状態はそれぞれの時期により異なるため、いつもの体位や行為の向きを変えたり、調整したりしてみましょう」と言うのは、産婦人科医のヘザー・バルトス医学博士。
「妊娠によって突然の痛みや、時には性欲が生じる場合があることを、パートナーに受け入れ、理解してもらえるようにしましょう」
産婦人科医のエリザベス・ウエスト医学博士によれば、鍵となるのは「心地よい」かどうか。
「人によって身体の構造はさまざまに異なります。誰かにとって“良い”体位でも、あなたはそう感じない場合もあるのです」
妊娠中のセックスについての基礎知識
- 十分に潤す
「摩擦、違和感、性交痛を軽減し、性的快感を増幅させるためには、ウォーターベースもしくはシリコンベースの潤滑剤を使いましょう」とアドバイスするのは、ハワイ州ホノルルの認定臨床心理士であり、AASECT認定のセックスセラピストでスーパーバイザーのジャネット・ブリトー博士。 - 支えを使う
「身体を支えるための補助として、枕を使うといいですよ」と、ブリトー博士。妊娠中のパートナーにセックストイを使うのもOK。ただし使い方を考慮するように! - 荒っぽいことは避ける
「胎盤を刺激したり、出血を起こすような荒々しい行為はおすすめできません」と、バルトス博士。 - 安静指示を受けている人は、主治医のアドバイスを最優先に
「セックスにはオーガズム、オーラルセックス、アナルセックスまで含まれていると考えましょう」と、バルトス博士。安静指示が出ている場合、どんなプレイをするにも医師に必ず確認をしましょう。 - パートナーと話し合う
「いちばん大切なのは、セックスをしながら自分たちが求めているものを感じ合うこと。そして、興味のある行為について、事前に話し合うことだと思います」と、ブリトー博士。
妊娠初期
「妊娠3ヵ月頃までは、体内で胎児が育っているという感覚に慣れようとするだけで精一杯かもしれません。でも、心配はありませんよ。セックスするにも、胎児を傷つけないようにすればいいだけです。刺激的なプレイには不安がある人は、この時期に安全な体位として正常位をおすすめします」と、ジョーンズさんは言います。
無理がないなら正常位で
バルトス博士によれば、正常位でする場合には「自分の身体の感覚に意識を向ける」ことが大切なんだそう。
「仰向けになると、吐き気を感じる人もいます。お腹が大きくなるにつれ、腹圧を強く感じる人もいるはずです」
腰を支えてもらう
妊娠3ヵ月までの時期であれば、立位は絶対NGというわけではありません。ブリトー博士によれば、パートナーのサポートを借りれば楽しめるよう。
「頑丈な壁に両手をつき、しっかりと足を開いて立ったら、パートナーには腰を支えてもらった上で、後ろから挿入してもらいます。クリトリスを刺激するのなら、パートナーにバイブレーターを使って当ててもらいましょう。転倒のリスクを避けるため、何かの上に立つことはやめてくださいね」
妊娠中期
妊娠中期になると、少しだけ“クリエイティブ”になることが求められるように。ジョーンズさんによれば、「妊娠16週を超えたら、仰向けで寝ることはおすすめできない」とのこと。
「妊娠16週以降は、子宮の重みで血管が圧迫され、子宮だけでなく全身への血液の供給に支障が出てしまうからです。そこで求められるのは、よりクリエイティブな姿勢。側位を始め、騎乗位、後背位などでのセックスが良いでしょう」
後背位
バルトス博士が50人の患者にアンケートを取った結果、「もっとも情感にあふれ、機能的と感じる体位」は後背位だったそう。
「自然な感覚が得られるだけでなく、大きくなった子宮の圧迫感からも解放されることが理由です。子宮が傾くことによって、より大きな快感を得られる女性もいるんだそう」
Tの字
バルトス博士いわく、側位に似た体位だけれど、側位のほうがより平行な体勢とのこと。
「情感にあふれているだけでなく、合理的で良い体位です。相手の身体に手を伸ばし、愛撫することができるでしょう。もちろん自分を愛撫することも可能です」
妊娠後期
妊娠後期に選ぶべき体位となると、背中に負担をかけない体位(後背位、側位、騎乗位、対面座位、背面座位など)を選ぶ必要が。ジョーンズさんは、「挿入だけがセックスではないということを覚えておいてください」と念押し。
「体に無理のない範囲で、性器やその周囲などを愛撫することも工夫してみてください。きっとどの場所も感じるはずですよ」
感度を楽しむ
「妊娠後期になると、挿入を心地よく感じられなくなってくるかもしれません。性器への挿入から離れ、『センセート・フォーカス・タッチ(身体の感覚を味わう触れあい)』を試してみましょう」というのが、ブリトー博士の意見。
センセート・フォーカスとは、おたがいに触れあう時間を作ること。性的な触れあいであってもそうでなくてもかまいません。感覚にただ集中するのです。
「センセート・フォーカスは、何かをしなくてはというプレッシャーを感じることなく、おたがいの身体を探り合う機会になるでしょう。素直な好奇心でおたがいの身体について学び、その変化を理解しあえるはずです」
挿入なしで楽しむ
「挿入が心地よく感じられなかったら、裸になる、キスをする、腰を押しつけ合う、マスターベーションをしあう、オーラルセックスをするなど、挿入なしの行為をおすすめします」とブリトー博士。体中に潤滑ゼリーを塗りあい、マスターベーションを楽しんでみてもいいかもしれません。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation:中尾眞樹(Office Miyazaki Inc.)