初デートは、緊張と期待で心がいっぱいになるもの。このワクワクとドキドキの体験は、最初ならではかもしれません。本記事では、LGBTQ+当事者や、かもしれないと思っている人に向けて「初めてのクィアなデート」を自分らしく楽しむヒントを紹介します。

ドキドキの初デート

当事者としてのデートは簡単ではありません。それは、デートの“お手本”が少ないから。

男女間の恋愛でも今は人によるようになってきていますが、「男性がリードするもの」などといったデートにおける暗黙のルールを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。このルールに従うことが“正解”というわけではないものの、 参考にできる意見や体験談が少ないとどう振舞うべきか困惑することもあるかもしれません。

また、男女の恋愛が必ずしもストレートとは限りませんが、見本や情報の多い男女のデート経験があっても、「クィアなデート」となると緊張する人も多いもの。

「クィアな人々の恋愛は社会的なルールが少ない分、より大変なことも。またやっと“本当の自分”を見つけたという喜びから、恋愛への期待値が高いことも多いです」とクィア学の教育家でライターのミリー・エヴァンズさんは言います。

求めているのは真剣交際?

セラピストでマッチングアプリ「ヒンジ」のラブ&コネクション専門家のモエ・アリ・ブラウンさんは、初デートを自分らしく楽しむコツとして、以下をあげています。

「初デートの前に、どのような恋愛関係を望んでいるのかを考え、お互いの期待していることをチェックすることが大事」

そして実際「ヒンジ」に登録しているLGBTQIA+の人々の恋愛傾向をまとめた2022年のデータによれば、71%のトランスジェンダーのユーザーはこれを実践しているそう。アイデンティティについて間違って捉えられることの多いトランスジェンダーの人々ほど、事前に恋愛に求めることなどを話し合う傾向が見られているのだとか。

gay male couple sitting at a bar
Alina Rudya/Bell Collective//Getty Images

恋愛といっても、カジュアルなものから、将来もずっと一緒にいることを見据えた真剣交際、1人の人とだけ付き合うモノガミー、既婚・交際中であっても、互いに合意の上で他の人とも関係を結ぶオープン・リレーションシップまで、さまざまな形があるもの。

いずれにせよ、事前に「この出会いに期待すること」を話すことで、二人の時間や気持ちが無駄になることが避けられるかもしれません。

「良いデート」にこだわらない

初デートで自分らしく、そしてオープンに振る舞うことは難しいかもしれません。そこでエヴァンズさんは、“良いデート”であることに執着しないようにとアドバイスします。

「良いデートになるかもしれないし、そうでないかもしれません。デートが何時間も続かなくても、友達的な雰囲気になっても、悪いデートという訳ではないし、良い経験になるはずです」

どんな恋愛をしてもあなたはあなた!

クィアな人々は、まだまだ自分のアイデンティティやセクシュアリティのために日々戦っていて、クィアな恋愛の“妥当性”を証明しないといけないというプレッシャーを感じています。

そのうえ、本当の自分を隠さないといけなかったから、失った時間を取り戻そうと、反動で焦った決断をしてしまうこともあるとエヴァンズさんは言います。

「クィアな人々は、すでに社会からたくさんのプレッシャーを感じていることが多いです。恋愛関係がうまくいかないと、自分のアイデンティティ自体を疑ってしまうこともあります。だからこそ、あまりプレッシャーをかけず、どのような結果になっても良い経験だと思うようにすることが大事です」

デート先は“安全第一”に

デートの行き先を決めるのも大変なこと。雰囲気も大事だし、どんなアクティビティをするのか、移動の距離など、考慮する点がたくさんあります。そして、LGBTQ+の人々には、ほかにも心配しなければいけないことが...。

例えば「(デートに適した)LGBTQ+フレンドリーな空間を探すこと」と、ブラウンさん。残念ながら、まだまだ当事者が心から安全だと感じられる場所は少ないのも現状です。それが二人の空気を乱すのはもったいない。

「事前にお互いが安心できる場所などについて確認し合うことで、二人がリラックスできる初デートにつながるでしょう」

自分の気分がアガるコーデを勝負服に!

non binary queer person calling on the phone and smiling
Mengwen Cao//Getty Images

伝統的なジェンダーの価値観に当てはまらない人々にとって、服は自分を表現する大事なもの。

「自分らしくない服を着ると心地良くないし、自信にも影響してしまいます。デートには、鏡の前に立ったときに気分がアガる服を着ていきましょう。自信もアップするし、自分らしさを表現できることで気分も良くなります」とブラウンさんは言います。

タイミングは自分次第

トランスジェンダーやノンバイナリー(男女の二軸で自分を表現しない)の人々にとって、自分のアイデンティティについていつ話すかは、大きな決断です。それは、自分自身の安全についても考えなければいけないから。

実際デートの早い段階からオープンにコミュニケーションをすると、より理解のある人と出会う確率があがると言われています。しかし覚えていてほしいのは、あなたのアイデンティティや身体に関することは全部「あなたのもの」だということ。

恋愛は、魅力を感じ、気の合う人とつながるということ。深く考えすぎずに、楽しむことも重要です。初デートではいいところを見せようとしてしまいますが、何よりも大切なのは心地よく自分らしくいることです。恋愛のプロセスを楽しむことも忘れずに!


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation:佐立武士
COSMOPOLITAN UK