すでに何らかの形でAI(人工知能)を利用していることの多い、デートアプリやマッチングアプリ。最近では、「次世代の機能」を搭載したものがさらに増え、ユーザーはそれらのテクノロジーを「自ら雇ったパーソナル・アシスタント(またはアシスタントのチーム)」のように、活用できるようになっている。

つまり、AIの助けを借りることによって、第一印象から最初に送るメッセージまで、さまざまな面で「専門家のアドバイスを受けることができ、アプリ内での自分を“バージョンアップ”させることができる」という。

では、具体的にどのような手助けをしてくれるというのだろうか。その5つの例とは――?

1)より良い写真の選択

例えば、「Bumble(バンブル)」には機械学習機能を活用し、ユーザーのベストショットを選び出して最初に表示してくれるツールがある。また、「Tinder(ティンダー)」も2024年中に、同じような機能を導入する予定だという。

smiling young woman taking selfie with smartphone, close up
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2)プロフィール文の改善

自己紹介やプロフィールの文章をより魅力的なものにするために役立ってくれるのが、職務履歴書などを作成するときに使うような文章校正アプリ、「Grammarly(グラマリー)」や、その他の無料のバーチャル・ライティング・コーチ。

カップルや、人との関係改善をサポートするアメリカの認定リレーションシップ・コーチ、ミーガン・ウェクス氏は、これらの機能は「驚くほど効果的なものになり得る」と話している。

どのように書き始めればいいか、まったく思い浮かばないというなら、ChatGPTや検索エンジンを利用して、「マッチングの候補者に、旅行好きだということを知ってもらいたい、どう伝えるのがいい?」などと聞いてみるのもおすすめだという。

3)成功率の上昇

デートアプリ、アイリス・デーティング(Iris Dating)を運営するアイディアル・マッチ(Ideal Match)の創業者、イゴール・カラチャン氏は、私たちは「自分が心惹かれるタイプの人」を説明するのが苦手だと指摘する。

そのため、パターンやデータを活用するAIのほうが、実際にはユーザーが求める相手を本人以上によく理解できている可能性があるという(試してみる価値は、あるかもしれない)。

ai chatbot artificial intelligence digital concept
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4)会話をより楽しく

デートアプリのなかには、「YourMove AI(ユアムーブAI)」など、相手のプロフィールに基づき、どのようなメッセージを送るべきか提案してくれるものもある。さらに、返信の文章作成を助けてくれる機能も。

チャットボットも、役立つツールのひとつ。例えば、「好きな食べ物を尋ねられたとき、楽しく会話を続けるためにはどう答えればいい?」などと質問してみることもできる。適切なアドバイスが得られるかもしれない。

ただし、出会いを求める人たち向けにマッチング・サービスを提供するプロフェッショナル・ウィングズマン(Professional Wingman)の創業者、トーマス・エドワーズ氏は、「ロボットとチャットするために、アプリを利用する人はいない」と語る。こうしたツールは、文章作成のプロセスにかかる「時間を短縮させるため」に利用すべきものであり、「重要なのは、あなたらしさを付け加えること、あなたにしか書けない文章にすること」だと忠告している。

5)EI(心の知能指数)の向上

実際のところ、親しげに振る舞ったり、デートしたりすることは、“訓練が必要”なスキル。デートアプリの「Keeper(キーパー)」などに導入されているチャットボットや、AIを使用した「デジタル・コーチ」の機能は、自分自身や自分が何を求めているかについて、詳しく学ぶ手助けをしてくれる。

アメリカの認定結婚・家族療法士(LMFT)、ミシェル・ハーゾグ氏は、まずはChatGPTに、「初めてデートする相手に対して、感情的な親密さを表現する10の方法を教えて」と聞いてみることなどを提案している。


「新しいデートの世界」を安全に楽しむために

「Bumble」のプロダクト・エンジニアリング担当バイスプレジデント、マルタ・ヤシンスカ氏はデートアプリの安全性の問題について、次のように話している。

デートアプリを使用をする人たちの信頼感に最も大きな影響を与えるのは、連絡を取り合っている相手が、本当にその人が言うとおりの人かどうか、という問題です。そこで私たちは、AIを利用した(「うそ」を検出するための)「Deception Detector(ディセプション・ディテクター)」を導入しました。

2022年10月には、わいせつ画像・動画を送りつける「サイバーフラッシング(サイバー露出)」にテクノロジー関連のコミュニティが一致して対応するために、同様にAIを利用した「Private Detector(プライベート・ディテクター)」のオープンソース版をリリースしました。これにより、わいせつな画像やヌードの画像を検出し、不鮮明にすることが可能になっています。

新たなテクノロジーはどのようなものでも、責任ある形で使用されるようにするための“ガードレールを設置”することが重要です。

そのため私たちは2023年、Partnership on AI(パートナーシップ・オン・AI)とともに、女性や社会の主流から取り残された人たちにAIが及ぼす危害への対応を目指した、新たな枠組みを創設しました。

バンブルはAIを活用して、自動的にハラスメントやアイデンティティに基づく憎悪などに対応し、保護する機能も導入しています。それにより、2023年8月の1カ月だけでも、820万以上のアカウントをブロックすることができました。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。

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