生理時期の腹痛や体の不快感に悩む女性は多いはず。でもそれが単なる生理痛ではなく、隠れた病気の症状だったら…?

7年もの間痛みに苦しんだ後、膣が2つ存在するタイプの「Herlyn-Werner-Wunderlich症候群」であると診断されたナタリー・グランサム・オールポートさん。彼女の体験談をコスモポリタン イギリス版から。彼女のケース同様、医師がすぐに診断できない珍しい病気も多々あるとのこと。体に違和感を感じる場合は、あきらめず納得いくまで検査することが大切だと言えそうです。

痛みのせいで、丸1週間ベッドから起きられないことも少なくありませんでした。

「生理が始まったのは13歳のとき。ある朝、腹痛と股間の不快感で目が覚めたんです。これからどんどん体が変化し、毎月生理がやってくる――それは13歳の少女にとっては恐怖でした。でもたぶんそれは私だけでなく、初潮を迎えたばかりの"普通の女の子"の誰しもが抱く感情だと思います。

そんな悩みを親友のリアーナに聞いてもらっていました。彼女は数年前に初潮を迎えていたので、私にとっては"先輩"。でも彼女にあれこれ相談しているうちに、私の体は何かがおかしい、どこか悪いのでは?と考えるようになったんです。

私の場合、毎月生理が始まる数日前から痛みが始まります。股間から背中、そして太ももまで刺すような痛みが走るんです。その後生理が始まるのですが、通常は57日ぐらいで終わるはずなのに、私の場合は1011日程度、長いときは12日間も続くことも。

血の色も通常の赤ではなく、タールのようにドロっとしたどす黒い色。生理中は痛みがひどく、1週間ベッドから起きられないことも少なくありませんでした。

初めて医師(家庭医)に診てもらったのは14歳になる数カ月前。医師は『ごく普通の生理の症状です』と言い切り、検査もしなければ詳しく私に症状を尋ねることもしませんでした。私が1人で大騒ぎしているかのような診断に、ガッカリしたことを憶えています」

あんなにひどい痛みは、決して"普通の生理痛"ではなかった。

「こうした痛みは"重複子宮(子宮奇形の1つであり、子宮が2つあることを指す。私の場合は性器も2つあった)" の人にとって一般的な症状だと後に分かりました。もし同じレベルの痛みを感じたのが男性だったとしたら、すぐに検査したはず――そのぐらいの激しい痛みだったんです。しかし女性の場合は"生理痛"として処理されてしまうため、見過ごされてしまうことが多いようです。

あんなにひどい痛みは、決して"普通の生理痛"ではなかった。でも必死に訴えても検査も治療もしてもらえなかったんです。

初診から3カ月後、再度助けを求めて診察を受けました。今回の担当は女性の医師だったこともあり、前回よりは私の話に耳を傾けてくれたように感じました。医師が処方した、生理を早く、かつ軽く終わらせる効果のある薬を服用すると、多少痛みが軽減したものの、症状がなくなることはありませんでした。

15歳になるころには左腹部に慢性的な鈍い痛みを感じるようになりました。生理時期になると、その痛みは悪化します。私は再度家庭医の診察を受け、今度はピル(避妊薬)を服用することを勧められました。同世代の友人たちも生理痛をコントロールするためにピルを飲んでいたので抵抗なく受け入れましたが、私のつらさを理解してくれた医師はいなかったし、結局検査もしてもらえないまま。

その後数年間、鎮痛剤とピルを絶えず服用しつづけたものの回復せず、一時は抗うつ剤を処方されていた時期もありました。

19歳(大学1年生)のとき、私は別の病気のため病院に入院しました。この入院が長年苦しんだ痛みの原因究明のきっかけになったのです」

子宮が2つ、子宮頸部と膣も2つずつあると説明されました。

「別の病気の検査のため、20152月に腹部のMRI検査を受けました。このとき、初めて家庭医に診察を受けてからすでに7年が経過していました。胃腸科医は『腸と消化管は問題ないようだけど、ところで生理に問題はない?』と聞いてきたんです。

『はい、あります!』――私は思わず叫びました。

医師によると私には"Herlyn-Werner-Wunderlich症候群(片側性子宮形態異常)"という先天性の疾患があることのこと。子宮形態異常にはさまざまなタイプがあるそうですが、私の場合腎臓が1つしかなく、そのかわりに子宮が2つあり、それに伴い子宮頸部と膣も2つずつ、さらに左側の膣は薄い皮膚で閉じられているという大変稀な症状であると説明されました。

左の膣が閉じられているため、毎月左側の膣にたまった経血は排出できず子宮に溜まってしまいます。13歳で初潮を迎えて以来ずっとこの症状のせいで痛みを感じ、また左の子宮が肥大してしまっていたそうです。

診断を受けて病院を出たとたん、私は泣き崩れました。ショックを受けたこともありますが、何よりもホッとしたんです。何年もの間、痛みに耐えながら異常を訴えつづけきたのに、何人もの医師に鼻であしらわれてきたから。

その後、経血を排出するために何度も手術を受けました。今は手術の回復を待っている状態で、今後左の膣を開くための手術を受ける予定です。2つの膣が正しく機能するようになれば、生理だけでなく、セックスも妊娠も(どちらの膣からも)可能になるのです。そして何より、痛みから解放されるはずです!

この症状や手術が今後、私の体にどう影響していくのかはまだ分からない部分もあります。でもやっと原因が分かり、回復に向けて動き出しました。

長くてつらいトンネルの向こうに、やっと光が見えた気がしています」

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN UK