アメリカ連邦議会上院は4月7日(現地時間)、ジョー・バイデン大統領が連邦最高裁の新たな判事に指名していたケタンジ・ブラウン・ジャクソン連邦控訴裁(高裁)判事の就任を承認。

アメリカではこの夏にも、初の黒人女性の連邦最高裁判事が誕生することに。バイデン大統領は今年1月、引退を表明したスティーブン・ブライヤー判事の後任として、ジャクソン氏を指名していました。

民主党が(100議席のうち)48議席を持つ上院で行われた採決は、無所属の二人が承認に賛成する意向を明らかにしていたことから、野党・共和党から一人でも賛成すれば、ジャクソン氏の就任が決まるという状況となっていました。

president biden and ketanji brown jackson watch as senate votes on supreme court nomination
Chip Somodevilla//Getty Images

そのなかで、ミット・ロムニー議員(ユタ州)、スーザン・コリンズ議員(メーン州)、リサ・マコウスキー議員(アラスカ州)の共和党議員3人が承認に賛成。結果が発表されると、議場では多くの議員たちが、スタンディングオーベーションでジャクソン氏に拍手を送りました。

この日の採決に先立ち、ジャクソン氏は上院司法委員会で4日間にわたって行われた承認公聴会で、共和党の議員たちの容赦ない質問に耐えていました。

議員たちは脈絡もなく、「ジャクソン判事は児童への性的虐待の罪で裁かれる被告に甘い」などと非難(その議員たちは、ドナルド・トランプ前大統領が連邦最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏には性的暴行の疑惑が浮上し、訴えの内容が信頼に足るものだったにもかかわらず、多数が就任を承認している)。

テッド・クルーズ上院議員(テキサス州)は、「赤ちゃんが人種差別主義者として生まれることはあると思うか」などという奇妙な質問に驚くほどの長い時間を費やし、リンゼー・グラム議員(サウスカロライナ州)は、過去の民主党の保守派の候補への態度に恨みがあるため、民主党が選んだ候補は承認しないと明言。

ジャクソン氏は連邦最高裁判事に就任する初の黒人女性となるが、アメリカの法曹界ではこれまでも、法の下での平等を確かなものにするため、多くの黒人女性たちが奮闘してきました。

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そのなかには、(クラレンス・トーマス連邦最高裁判事のセクハラを訴えた)法律家のアニタ・ヒル氏や、(故ルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事のよき師でもあった)パウリ・マレー教授など、恐れることなく真実を語ってきた人たちが。

ジャクソン氏の就任の承認は、そもそも存在しているべきではなかった「壁」を打ち破ってきたこのコミュニティの、何十年にもわたる努力が実を結んだことを示すものでもあります。

From: Harper's BAZAAR JP