2021年1月20日(現地時間)に、アメリカ大統領就任式を終え、公式に新大統領となったジョー・バイデン氏。家族をとても大切にしていることでも知られているバイデン氏が大統領選挙に勝利した今、彼を支える「家族」の存在に注目が集まっています。
本記事では、 様々な悲劇や騒動を乗り越え、現在アーティストとして活躍する、バイデン氏の息子ハンター・バイデン氏を知る6の事実をご紹介します。
【INDEX】
輝かしい経歴の持ち主
ミドルネームの「ハンター」と呼ばれることが多い、ロバート・ハンター・バイデン氏は、ジョー・バイデン大統領の次男。ロビイストで実業家、国際的な団体のボードメンバーを務めるなど、華々しい経歴の持ち主です。
芸術家になることが長年の夢だったものの、アメリカの名門イェール大学のロースクールを卒業後、ロビイストに。その後、金融業界で活躍したり、父ジョー・バイデン氏と兄ボー・バイデン氏の政治活動を支える役割を果たすようになりました。
「兄のボーと私は、父の初めての選挙活動から、すべての選挙集会に参加してきました。私たちは、父の政治人生を支えるため、小さなイベントから重要なイベントまで共にしてきたんです」
ハンター氏をとりまく悲劇たち
愛する母と妹の死
1972年12月、ジョー・バイデン大統領が30歳、そしてハンター氏が2歳の時、 愛する母ネイリアが運転する車が事故に遭い、母と妹ナオミは事故死、長男のボーと同氏は重傷を負うという悲劇が襲いました。
事故から約月が経った1973年1月5日、ジョー・バイデン氏は失意のなか、息子たちの病室から上院議員としての宣誓を行ったのだそう。
アメリカの政治の中心地であるワシントンD.C.に居住する議員が多いなか、ジョー・バイデン氏は、息子たちの住むデラウェア州から首都ワシントンまで、毎日片道1時間半以上をかけてアムトラック(全米鉄道旅客輸送公社)で通勤を続けました。
それから36年間電車通勤を続けた結果、「アムトラック・ジョー」というあだ名までついたのだとか! ハンター氏も同様に、アムトラックを使って通勤することが多かったことから、ジョージ・W・ブッシュ大統領によって、2006年から2009年までアムトラックの取締役に任命されたことも。
最愛の兄の死
母と妹の死と、事故のトラウマを一緒に乗り越え、ハンター氏がアルコール依存症を患った際にも、一番近くで寄り添ってくれた兄ボー・バイデンが、2015年に46歳で脳腫瘍のため帰らぬ人に。
「ウクライナ疑惑」で話題に
トランプ前大統領は、任期中に2度の弾劾訴追を受けた史上初の大統領となったことは記憶に新しいけれど、そのうち1回目の弾劾訴追が、ハンター氏を含むバイデン親子の「ウクライナ疑惑」の捜査によるもの。
ジョー・バイデン氏がオバマ前政権の副大統領をしていた当時、ウクライナの天然ガス会社ブリスマの役員を務めていたハンター氏は、高額の報酬を受け取ったり、父の政治権力を行使したという疑いが浮上。
トランプ前大統領は2019年、大統領選の有力候補とされたジョー・バイデン氏の不正疑惑の捜査をするよう、ウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけたことから、「外国政府の介入を強いた権力乱用」として、弾劾調査を受けることに。
バイデン親子の不正に関する決定的証拠はなかったものの、父ジョー・バイデン氏の大統領選を前に、ハンター氏が「スキャンダル」を招いたとして注目を集めました。その後ハンター氏は、不正を行ったことはないと強調しながら、ブリスマ社の役員に就任したことは「最適な判断ではなかった」と振り返っています。
過去の薬物使用も攻撃の的に
2020年9月30日に行われた「アメリカ大統領選挙討論会」でトランプ前大統領は、ハンター氏がコカイン摂取のため米軍から「不名誉除隊」されたと発言し、ジョー・バイデン氏を攻撃。
たしかにハンター氏は2014年に薬物検査でコカインの陽性反応が出て、米軍を除隊することにはなったものの、厳密には「不名誉除隊」には該当しないのだそう。
このような攻撃を受けたジョー・バイデン氏は、次のように自身の息子を擁護しました。
「(不名誉除隊は)事実ではありません。私の息子は、多くの人と同じように、たしかに薬物使用の問題を抱えていました。過剰摂取したことは事実ですが、現在は乗り越えています。私はそんな息子を誇りに思います」
これに対し、ハンター氏自身も以下のようにコメント。
「米海軍に服務したことは、私にとってとても名誉なことでした。自らの行動により除隊となったことを、深く後悔し、恥じております。私は、海軍の判断を尊重いたします。家族のサポートと愛によって、問題を乗り越えようと思います」
現在はアーティストとして活躍中
ハンター氏は現在アーティストとして活躍中で、2021年中には個展を開く準備をしているそう!
『ニューヨークタイムズ』誌のインタビューでは、絵を描くことで「正気を保つことができている」と吐露しているハンター氏。
「長い間、自分のことを“アーティスト”と呼ぶことができませんでした。しかし、今は自信を持ってそう呼べる気がします」
ちなみに、ハンター氏の作品の多くは、日本製のユポ紙とアルコールインクが主に使用されているのだそう。
様々な経歴や人生経験、才能を持つジョー・バイデン大統領の家族たち。今後の活躍に期待が高まります。
※この翻訳は抄訳です。
Translation: ARI