コウモリが重要な理由は？意外と知られていない「テキーラ」の豆知識

最近アメリカなどを筆頭に人気が高まっているお酒「メスカル」。初めて名前を聞いた人は、メスカルを新しい種類のお酒だと思うかもしれません。しかし、多くの人が知っている「テキーラ」は、実はメスカルの一種なのです。

両者の違いは、メスカルは何世紀も前から生産されていて、様々な種類のアガベから作られるのに対し、テキーラはブルーアガベ（日本ではリュウゼツランで知られる）のみから作られます。

「テキーラはメキシコ原産のアガベを使って作られる蒸留酒の一つです」とグロスカップ氏。続けてテキーラと生産地の関係性について次のように話します。

「原料として認められるのは5つの州で採れるアガベだけで、テキーラはこれらの州で認可された蒸留所で作られます」

「グアナファト、ハリスコ、ミチョアカン、ナヤリット、タマウリパスの5州がこれに当てはまります。さらにメキシコにはテキーラという名の都市があり、それがこの蒸留酒の名前の由来となっています」

初めて見たらびっくりしてしまうビジュアルの、イモムシ入りのお酒。テキーラに入っているとよく勘違いされていますが、実際はそうではありません。

実際にイモムシが入っている場合があるお酒は、「メスカル」。酒造家がメスカルに幼虫を入れ始めた理由は諸説ありますが、「味」のために入れた可能性が高いそう。

フロリダ州マイアミにあるホテル、リッツ・カールトンの併設レストラン「カンティーナ・ビーチ」のテキーラソムリエを務めるヘリベルド・オビエド氏によると、現在メスカルを作るブランドは、幼虫を主に顧客の目を惹くマーケティング戦略として使っているとのこと。

テキーラは全てアガベから作られていますが、アガベの割合がいつも同じとは限りません。

グロスカップ氏はテキーラのボトルの表記に注目することが大切だと話したうえで、次のように説明します。

「ボトルには同じテキーラと書いてあっても、『アガベ100％使用のテキーラ（100％ de agave teqila）』という表記がなければ、それは他のものとミックスされたテキーラ（mixto tequila）を意味します」

ミックスされたテキーラは、少なくとも51％のアガベを含んでいる必要があり、残りは他の原料でもOK。グロスカップ氏によると、アガベ100％のテキーラにもスパイスやその他の作物を混ぜることができますが、この工程は蒸留後に限られるそう。

「アガベは成熟するのに6〜8年かかり、花を咲かせるまでにはより長い時間が必要になります」とグロスカップ氏。

コウモリは、開花したアガベの花粉を運んで受粉を手助けし、繁殖に貢献します。この方法は種子を介した有性生殖のため、繁殖したアガベの遺伝子が多様性に富んでいるのが特徴です。

一方アガベは無性生殖も可能で、自ら親元となるアガベのミニバージョン（若い芽や葉）を意味する「Hijuero」というものをつくります。

この方法は有性生殖よりも早く繁殖できますが、「Hijuero」は同じ遺伝子構造をもち、病気にかかりやすくなる可能性があるのです。そのため、高まるテキーラの需要に応えられたとしても、必ずしもサステナブル（持続可能）な生殖方法では無いといえます。

実は限られた地域でしか作ることができず、原料の生産にも時間がかかるテキーラ。奥が深いテキーラの豆知識を是非この機会に覚えておきたい！

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Risa Tsubakihara
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