デートや恋愛における「同意」について考える場の提供や、積極的な発信をしている世界最大級のマッチングアプリ「Tinder(ティンダー)」。11月27日には、学生を含むZ世代を中心とした100名と“同意”について考えるトークイベント「Let's Talk Consent &Tinder大学特別公開授業イベント」を豪華ゲストとともに開催しました。

第一部のゲストには、タレントなど多方面で活躍するryuchell(りゅうちぇる)さんと、臨床心理士の資格を持ち、NPO法人「mimosas(ミモザ)」副理事を務める、みたらし加奈さんを迎え、社会や学校では学ぶ機会の少ない「同意」をテーマにトークセッションを実施。

「同意」に関する基礎知識や、確認が必要な場面、ryuchellさん・みたらしさん流の「同意」の取り方などをわかりやすくお話してくれました。

第二部に行われたのは、お笑いコンビ・ラランドのYouTubeチャンネルでおなじみの企画「ラランド ニシダ教授による『Tinder大学』」。日常生活にも役立つようなヒントがたくさん詰まった参加型の公開授業に、会場は笑いに包まれました。

そして今回は、イベント終わりのryuchellさんに「同意」ともつながる「コミュニケーション術」についてインタビュー。自分の軸を大切にしながら、愛を持って周りの人と関わるために必要なことを聞きました。


コミュニケーションで大切なのは「言葉選び」

――普段のコミュニケーションではどんなことを意識していますか?

その人にとって「何が幸せなのか」という価値観を、相手に「“共有”しても良いけど、“強要”はしない」と自分の中で決めています。

たとえば、結婚についての考えや「女性の幸せって…」、「男はやっぱり仕事が…」という意見。ポロっと無意識に出てしまいそうな言葉には、特に気を付けていますね。こういうのって何気なく出てしまう人もいるから、聞いている側としては相手に嫌な思いをさせないように「それは違うんじゃないかな」と伝えることも大切だと思います。

やっぱり、人それぞれの生き方や幸せがあって、育った環境も違えば信じていることもある。すべて違うと思うから、決めつけないことを意識しています。あとは、共感する姿勢も大切。すべてのバイアスを取っ払ってから一度話を聞いてみて、その内容に自分が共感できなかったとしても、「この人はこういう人なんだ」と受け入れることを忘れないようにしています。

――「親しくなりたい」と思った人との距離を詰めていくときに、どうアクションを起こしていますか?

「この人と関係を深めたい、仲良くなりたい」と思ってもらえるような信頼関係を築くために、「言葉」は基礎となると思います。ワードチョイスには慎重になるし、ときには嫌なことは嫌だと伝える強さや勇気も必要ですよね。これからもずっと親しくしていきたいと思う人には、嫌われたくないという思いがまさってしまって、言いづらいこともあります。

なので嫌だと伝える時は、相手のことを大切に思っていて、尊敬しているという気持ちを伝えつつも、やわらかいニュアンスで本音で話すようにしています。

そして親しいからこそ気をつけたいのが、相手に「悟って欲しい」と思うこと。つい「察してよ!」とか「これぐらい分かるでしょ?」って言ってしまいがちだけど、自分の思っていることを一から十までしっかり伝えるのは本当に大事。余裕がある時は、スマホのメモに相手に伝えたいことを整理して書き起こしたり、手紙にして渡したり、相手が理解できるようにやさしく伝えています。

tinder(ティンダー)は、11月27日、コミュニケーションにおいて大切な「同意」について考える、「let's talk consent tinder大学特別公開授業イベント」を豪華ゲストとともに開催。今回は、イベント終わりのryuchellさんに「同意」ともつながる「コミュニケーション術」についてインタビュー。
Tinder

――自分の気持ちや考えを伝えるときには、どんなことを意識していますか?

ワードチョイスをやわらかくして「敵にならない」ように心がけています。ついやってしまいがちですが、「君は間違っている」と相手を否定してしまうとあからさまに敵対してしまうと思うんです。

そんな時は「そういうのがあってもいいんじゃないかな」と言葉を変換して、怒っているときでも愛を真ん中に置くように意識しています。たとえば、「どうしてこんなに怒っているか分かる? 愛しているからだよ」とか、「離れちゃうのが嫌だから、正直に伝えているの」といった風に愛を必ず添えるようにしていますね。

あとは、一時的な感情で言葉をぶつけないこと。やっぱりそのときの感情と勢いで話してしてしまうと、「怒っている」という感情だけが伝わってしまう。そうすると、本当に伝えたい言葉のパワーや本心が伝わらないし、もったいないと思うんです。

僕の場合、書くことで自分の気持ちを正しく伝えられると思ったときには、手紙を書きます。そうすると敵対する内容じゃなくて「こうするといいんじゃないかな」、「少しでも楽になるんじゃないかな」という提案の文章に自然と仕上がるんですよね。

時には“八方美人”でもいい

――どんなコミュニケーションをとったときに心地いいと思いますか?

心地いいなと思うのは、気兼ねなく話せる仲の人と一緒にいるときですよね。ただ、親しき仲にも礼儀ありだとは思います。

大人になると、相手がどこにプライドを持っているかって自然と分かってくるから、そこには触れずにそれ以外は気兼ねなく話すとか。思いやりをもって、コミュニケーションを取るように意識しています。

自分をさらけ出せる場がどこかにあれば、それ以外のコミュニティでは取り繕った自分でもいいと思うんです。心の拠り所的なコミュニティがあれば心の支えになってくれるし、“八方美人最高”な時代なんじゃないかな。

――過去の経験で、コミュニケーションでの失敗から学んだことがあれば教えてください。

相手に嫌な思いをさせない断り方を自分の中でいろいろ考えて伝えていますが、上手く伝わらなかったり、喜んでいると思われたりすることもあって…。自分自身が傷つかないために、「ここまではOKだけど、ここからはNO」と強く揺るがない芯を持つことが大切だと思います。

でも、「NO」に対して踏み込んでくる人の対処法はまだ正直見つかっていなくて…というか、もう探してもいないかも。人間十人十色だし考え方もそれぞれ違うから、共通の対処法なんて見つからないし、そもそもないと思うから。

tinder(ティンダー)は、11月27日、コミュニケーションにおいて大切な「同意」について考える、「let's talk consent tinder大学特別公開授業イベント」を豪華ゲストとともに開催。今回は、イベント終わりのryuchellさんに「同意」ともつながる「コミュニケーション術」についてインタビュー。
Tinder

――テキストと対面での会話でコミュニケーション方法に違いを持たせることはありますか?

対話で自分の中にある愛をうまく伝えられないときは、手紙で伝えるようにしています。手紙にすると言葉が変わるし、文字にすることで本当に伝えたい言葉を選べると思っていて。

あとは、怒っている時に対面で会話をしていると、思っていないことや余計なことを言ってしまって、さらにこじれることもありますよね。そういうときもやはり手紙が効果的だと思います。オンライン上でのテキストのコミュニケーションは苦手なので、大事な話は絶対に対面か手紙で伝えるようにしています。


最後に「伝え方のバランスもその時の自分の感情もあるけど、全ての自分を肯定してあげてください。しっかり自問自答しながら、自分の心を感じてあげて」と熱いメッセージをくれた、ryuchellさん。これを機に「コミュニケーション」や「同意」について今一度考えてみませんか?