サマーソニック2022に出演して日本初ライブデビューを果たし、そのパフォーマンスやメンバーの個性が話題になった、新世代のロックバンド「マネスキン(Måneskin)」。

欧州最大の音楽コンペティションを勝ち抜いた2021年から、瞬く間に世界で人気を集めるバンドに急成長し、12月2日から来日ツアーをひかえているほか、12月1日(金)放送のミュージックステーション(以下、Mステ)に初出演が決定するなど、日本でもその名を轟かせています。

勢いが止まらない、マネスキン。その人気を支えるのは、音楽性だけではありません。この記事ではマネスキンの魅力をさまざまな角度から掘り下げてご紹介します!


【INDEX】


マネスキンって何者?

マネスキンは、20代前半のメンバー4人で構成されるイタリア生まれのロックバンド。2016年に、ローマでバンドを結成しています。

転機となったのは、2017年にリアリティ音楽オーディション番組『Xファクター』のイタリア版に出演して2位にランクインしたこと。イタリア国内での知名度が高まり、その後、ABBAやセリーヌ・ディオンといったスターを輩出したヨーロッパ最大の音楽コンペティションである「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト 2021」で優勝を果たし、人気を世界に拡大します

a group of people posing for a photo in front of a building
Sony Music
2022年夏、初来日。滞在中には、東京の街に繰り出して観光をエンジョイする様子も話題に。ソニーミュージック洋楽公式Instagram(@sonymusic_jp)より

また、TikTokでカバー曲『Beggin'』が流行したことも火付け役となり、世界のストリーミングチャートを席巻! 音楽性に加えて、社会のさまざまな“こうあるべき”という規範に対して、楽しみながら軽やかに、音楽やファッション、パフォーマンスで問いかけていく。そんなアティチュード(態度や姿勢、心構えなど)も含めて、新世代のアイコンとして人気を獲得しています。

マネスキンのメンバー

マネスキンのバンドメンバーは、計4名。ダミアーノ・デイヴィッド(ヴォーカル)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(ベース)、トーマス・ラッジ(ギター)、イーサン・トルキオ(ドラム) 、それぞれのプロフィールと魅力をご紹介。

ダミアーノ・デイヴィッド(ヴォーカル)

a man holding a rock
Sony Music
  • 誕生日: 1999/01/08
  • 出身:ローマ
  • 好きな食べ物:パスタ、ラーメン

バンドのフロントマン的な存在ですが、過去にはインタビューでバンドのリーダーは「4人です」とも答える一幕も。ライブでは圧倒的なパフォーマンス・スキルを発揮します。

コロナ禍で『進撃の巨人』や『BEASTARS』『DEATH NOTE』『チェンソーマン』『鋼の錬金術師』などの日本のアニメにどハマり。右腕には、『進撃の巨人』のタトゥーを入れています。

ヴィクトリア・デ・アンジェリス(ベース)

a woman posing for a picture
Sony Music
  • 誕生日: 2000/04/28
  • 出身:ローマ
  • 好きな食べ物:パスタ

バンドのベース担当のヴィクトリアは、ヴィク(Vic)という愛称でよばれることも。デンマーク人の母をもち、バンドをデンマーク語で“月光”を意味する“Måneskin”と名づけました。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーに“Rocker”と激賞されるなど、ロック新世代の名手のひとりとして評価を確立しつつあるヴィクトリア。尊敬するベーシストは、トーキング・ヘッズのティナ・ウェイマス。

トーマス・ラッジ (ギター)

a person wearing sunglasses
Sony Music
  • 誕生日:2001/01/28
  • 出身:ローマ
  • 好きな食べ物:お寿司

マネスキンというバンドを支える、キャッチーなギターリフの数々を発明してきたトーマス。トレードマークのモップトップヘアを振り乱しながらギターを弾き倒す、熱いステージングがもち味です。

個性的なファッションセンスで、メンバーのなかで一番のファッショニスタと注目されているのだとか。

イーサン・トルキオ (ドラム)

a woman posing for a picture
Sony Music
  • 誕生日:2000/10/08
  • 出身:ローマ
  • 好きな食べ物:ピザ

ロングヘアがトレードマークの、マネスキンが誇る腕利きドラマー。ジャズやヒップホップの影響も取り入れたドラミングはもちろん、まっすぐでピュアな人柄もメンバーやファンに愛されています。

これまでのインタビューで古い詩を引用したり、会ってみたい人物に哲学者のソクラテスを挙げるといった一面も。

「マネスキン」が私たちを魅了する4つの理由

初めての観客も引きつけるパフォーマンス力!

もともと中学の同級生だったヴィクトリアとトーマスを中心に活動していたところにダミアーノ、イーサンが加わり、10代のころからバンドを組んでいたマネスキン。結成当初は、地元ローマのコルソ通りの路上で演奏をしていたそう。そこで培った経験から、パフォーマンス力が鍛えられていったといいます。

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特に注目なのは、“初めて観る観客を引きつける力”。日本のサマーソニック2022でも、新人でありながら満場のスタジアムを魅了しました。

「ありのままの自分」を謳歌する楽曲

マネスキンの魅力を知るのにおすすめの楽曲は、 Spotifyで約12億回再生されているというカバー曲の「Beggin'」やコンペティションで優勝した際に歌ったイタリア語の楽曲「ZITTI E BUONI (ジッティ・エ・ブオーニ)」、優勝後初めて発表したシングル曲「I WANNA BE YOUR SLAVE」など。

セカンドアルバム『Teatro d'ira: Vol. I』(「憤怒の劇場」の意)は、各国のチャートでヒットを記録しています。

「I WANNA BE YOUR SLAVE」は、「あなたの奴隷になりたい」と歌う少しヘビーなロック曲。恋愛において「受け身であるのが女性的」「リードするのが男性的」といった、ジェンダー観にとらわれないような率直な歌詞が印象的です。

たとえば、「I’m your David and you’re my Goliath」という歌詞。これは旧約聖書の物語に登場する少年ダビデと巨人ゴリアテからインスピレーションを受け、女性をゴリアテにあてはめてステレオタイプを逆転させています。

「I WANNA BE YOUR SLAVE」のミュージックビデオ(日本語字幕付き)▼

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Måneskin|マネスキン - 「I Wanna Be Your Slave」 (日本語字幕ver)
Måneskin|マネスキン - 「I Wanna Be Your Slave」 (日本語字幕ver) thumnail
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確立したファッションスタイル

マネスキンを語る上で外せないのは、そのファッションと、ファッションが体現する彼らの姿勢。ファッションでも音楽と同じく70年代の影響が色濃く、ベルボトムや煌びやかなスパンコールを現代的にアップデートしています。そして「グッチ(GUCCI)」のアンバサダーを務めるなど、ファッション・アイコンとしても注目の存在に。

「SUPERMODEL」のMVで「グッチ」の衣装に身を包んだマネスキン▼

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Måneskin|マネスキン - 「SUPERMODEL」 (日本語字幕ver)
Måneskin|マネスキン - 「SUPERMODEL」 (日本語字幕ver) thumnail
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マネスキンのメンバーは、ダミアーノとトーマスがヘテロセクシュアル(異性に性的な感情を抱くセクシュアリティ)を、ヴィクトリアがバイセクシュアル(両性愛者)を、イーサンがジェンダー・フリー(ジェンダー観や性別による“役割”にとらわれずに自由に自分を表現する姿勢)を公表。LGBTQ+コミュニティへのサポートを積極的に発信しています。*2023年11月執筆時点

ファッションにおいても、自身の感性や気分に忠実に、自由に美学を表現しているマネスキンのメンバーたち。ダミアーノがハイヒールやガーターを身に着けたり、メンバー全員がメイクを施したり、かと思えばマスキュリンなイメージを取り入れるなどしています。

一方で、そういった表現やふるまいについて、「クィアベイティング(性的マイノリティではないのにそう振る舞ってLGBTQ+コミュニティの支持を得たり、利益につなげたりすること)ではないか」という批判があったことも。それに対しヴィクトリアは、<ガーディアン>紙で次のように自分の思いを語っています。

「(クィアベイティングに対する批判は)確かにそうである場合もあるけれど、極端なことがあります。ステレオタイプと闘うクイアの人たちが、このようにレッテルを貼り、ヘイトをさらに生むなんておかしな話だと思う」

ロックをポップで身近なものに

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オーディション番組やコンペティションを勝ち抜くというのは、“ロックバンド”としては異例のキャリア。さらに、得意とするカバー曲ではポップスやヒップホップなど、ロック以外の楽曲も頻繁に取り上げます。ファンとの関係性においても、ライブの現場でもSNSでも敬意をもって相手と接する、友人のような距離感をもっているのが印象的です。

つまりマネスキンはロックバンドでありながら、「ポップ」であったり、親しみやすい存在であったりすることに抵抗がないのが分かります。そして柔軟なスタンスこそが、長くロック不振がささやかれた2021年の音楽シーンにおいて、オリヴィア・ロドリゴやマシン・ガン・ケリーといったアーティストたちと並んで「ロックの復権」に貢献した一因といえるでしょう。

日本限定盤も発売中!

a group of people jumping in the air
Sony Music
マネスキン『RUSH! (ARE U COMING?)』

2023年1月に発表した、マネスキンによる新アルバム『RUSH!』。収録曲の「THE LONELIEST」をもってマネスキンは9月12日(現地時間)、アメリカで開催された世界最大級のミュージック・ビデオの祭典「MTV Video Music Awards」で、最優秀ロック部門で受賞に輝いています。

そんな前作から二年ぶりとなったアルバムをこのほど、最新エディションとして収録曲を5曲増やしてリリース! さらに日本盤CDのみ、今年3月にパリで行われたライブの様子を収めたBlu-ray も付属されることになりました。

アルバムのオープニングを飾る「HONEY(Are U Coming?)」は、9月1日に世界同時公開されたマネスキンの最新シングル。休みなくツアーをつづける傍ら、同曲は昨年秋のヨーロッパ~北米ツアー中に書かれたそう。そしてここでも、マネスキンらしい「自由」を謳う表現が、歌詞に込められています。

All is fair in love oh 恋にルールなんてないのさ
Honey are u coming? ハニーこっちへ来るかい?

配信・購入サイトまとめ

マネスキンのMVをYouTubeでまとめてチェック


問い合わせ先:Sony Music