結婚式で感謝や愛を伝えるためにサプライズで手紙を読んだり、贈り物をしたりするのは、多くの人が憧れるものかもしれません。しかし、中にはサプライズを超えてもはや“ドッキリ”な行為も。

その一つとして欧米で批判の声が集まっているのが「顔面ケーキ」。この行為の何が問題なのか、その理由を解説します。

大事な1日を台無しにしかねない

結婚式のお決まりといえば、“初の共同作業”として行うケーキ入刀。その後ケーキを口に運ぶ際に、クリームを少し顔につけあうシーンはよく見るかもしれません。しかし、そんな“伝統”の下りをチャンスとばかりに、新婦の顔面にケーキをぶつける人がいるのだそう。

結婚式でのサプライズは式に“新鮮さ”を加えられる一方、その内容によっては相手に恥ずかしい思いをさせてしまったり、大事な1日を台無しにしてしまうリスクがあります。

婚姻解消を決断

そんな行き過ぎた行為を経験することとなってしまったTiktokerのルイザ・メルカーさんは、その様子を映した動画を投稿。SNSで瞬く間に話題になりました。

これはtiktokの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

結婚式当日、ルイザさんはいきなりケーキを顔面に投げつけられ、1600ドル(約24万円)もかけたブライダルメイクアップもぐちゃぐちゃに。ルイザさんはそのまま何も言わずに会場を去り、タクシーの中で婚姻解消の手続きを進めたそう。

元婚約者は、ウェットティッシュを持ってメルカーさんのことを追いかけようとしますが、そのときタキシードのパンツがビリッと...。すでに冷め切っていたルイザさんの心ですが、さらに幻滅したと語ります。

この投稿には、多くの女性の共感が集まりました。結末はさまざまですが、新郎がケーキでドッキリを仕掛け、式を台無しにされたという話がたくさん。鼻にちょこっとクリームをつけるという伝統がなんでそこまでエスカレートするのか信じられない、というユーザーの声が多くみられました。

中には、以下のような意見も。

家族や友達の前でこんなひどいことができるのならば、二人だけの時どんな扱いをされるのか不安になる」

    “遊び心”で済む話…?

    「顔面ケーキ」はちょっとした冗談では? と、感じる人もいるかもしれません。 しかし、時間や労力をかけて決めた結婚式で計画外のことをすることは、本当に必要なのでしょうか。参列者の居心地をも悪くさせる自己中心的な行動とも考えられませんか?

    欧米の掲示板サイトRedditに投稿されたとある動画では、新郎が新婦にタックルし、顔面をケーキに押し付けた際、手にもっていたナイフが彼女に当たり、切りつけてしまうという一部始終が映っているものも。

    花嫁は震えていて、参列者も心配し、不穏な空気に。このカップルは、もちろんこの段取りについて事前に話し合ってはいないでしょう。

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    staticnak1983//Getty Images

    (当たり前ですが)どんなに近しい関係でも、相手を辱めたり、傷つけるのはやりすぎです。このトレンドに関して、掲示板ではアドバイスを求める投稿も。匿名の女性は、どのように「顔面ケーキ」を事前に防げるのかと質問しています。

    「婚約者に『顔面ケーキは絶対にやめてね』と何回も頼んでいるけど、『でも、絶対にウケるよ! 』と返されました。はっきりと『私にとっては笑い事ではない』と伝え、ようやく承諾はしてくれたけれど...。私をなだめるためにそう言っただけで、まだ企んでいるのではないかと不安です」
    「ウザがられるのであまり話題にしないようにしているけれど、伝える度に『わかったよ....絶対に面白くなると思うけど』と彼は返事をします。内心、まだやるつもりなんじゃないかと感じています」

    「精神的な虐待」に相当

    なぜ、相手を辱め、嫌がらせをすること、また相手が嫌がっている様子を「面白い」と感じるのでしょうか? わざわざしないでほしいと頼んでいるうえに、そもそもお互いを支え合うパートナーとして結婚をするはずなのに…。

    これは現代社会では、精神的な虐待の1種とされる行為です。

    心理学者のニール・バートンさんによれば、他人の行動によって恥をかかされた際に自分を“守る”ことは難しいと言います。それは、公衆で恥をかかされたダメージは、その“犯人”への怒りや復讐では修復できないから。誰かに恥をかかせる行為は、相手を傷つけるだけでなく、その怒りを閉じ込めてしまうのです。

    だからこそ、結婚式という場面で“笑い”のためにパートナーに恥をかかせることは重大な問題。誰かを「下げる」ことで自分を「上げる」という思考回路だけでなく、友達や家族の前でそれをするというのはより悪質です。

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    Iouri Dovnarovich//Getty Images

    “理想の相手”を見直して!

    調べてみるとわかるのは、このトレンドに“参加”させられた多くの女性は、パートナーにこのドッキリをしないでほしいと言葉にして頼んだケースが多いということ。それにも関わらず、当日に実行する人が多いのです。

    相手が嫌がるようなことをするのは、相手へのリスペクトがないことを世界に証明することと同じです。そんなことをする人は、理想の結婚相手でも、理想の男性でもありません。また、食べものも無駄にしているので百害あって一利なしです。

    ※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
    Translation:佐立武士
    COSMOPOLITAN UK

    From: Cosmopolitan UK