2024年1月7日(現地時間)に開催された「ゴールデングローブ賞」。映画やドラマ作品などを称える授賞式として81年にわたり続いている同賞において、先住民の女性として初めてリリー・グラッドストーンが主演女優賞を獲得。

歴史的な受賞と、リリーによるスピーチの内容などが注目を集めています。

実話をもとにしたスコセッシ監督作品で名演

ゴールデングローブ賞では7部門にわたるノミネートを果たした、マーティン・スコセッシ監督作品『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』 。レオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロの共演や、1920年代にアメリカで実際にあった先住民の連続怪死事件をもとにしていること、3時間を超える大作であることなどから、2023年10月の公開前から話題を呼んでいました。

ストーリーとしては、アメリカ南部オクラホマ州の居留地で石油が見つかったことで裕福になった先住民オセージ族が、その富の“管理”を理由としながらも、実際には搾取を目的に入植した白人たちによって悲劇的な顛末を迎えるというもの。同名のベストセラー本が原作となっており、実際の事件がもとになっています。

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映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ファイナル予告
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広く人権について啓発してきたリリー

同映画で先住民オセージ族の女性を演じたのが、リリー・グラッドストーン。父親が先住民ブラックフィート族とネズ・パース族のルーツを持っており、リリー自身もモンタナにあるブラックフィート族の居留地で育ったことが明かされています。

レオナルド・ディカプリオとリリー・グラッドストーン。作品内では夫婦を演じた二人。
Dave Benett//Getty Images
レオナルド・ディカプリオとリリー・グラッドストーン。作品内では夫婦を演じた二人。

Instagramのプロフィール欄では、それぞれの言葉でブラックフィート族とネズ・パース族を意味する「Siksikaitsitapi | NiMíiPuu」の文字が。

フィードでは、アメリカをつくった先住民女性たちを紹介する投稿のほか、2021年にカナダの先住民寄宿学校跡で215人の子どもたちの遺体が見つかった際には追悼文を投稿、6月19日にはアメリカの奴隷制の廃止を祝う「ジューンティーンス」に関する投稿をしているほか、コロナ禍ではアジア人へのヘイトに抗議する投稿なども行っており、広く人権について啓発してきた様子が伝わります。

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また、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の役が決定した際には「モリー・カイル役を預けられたことに大きな責任と喜びを感じています」とも綴っていました。

スピーチでは先住民族の言葉で挨拶も

ゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞し登壇した際には、スピーチの冒頭でブラックフィート族の言葉を使って自己紹介を披露。<CBS News>が英訳を報じたその内容は、次の通り。

「こんにちは、私の友。私の名前はイーグル ウーマンで、ブラックフィート ネイションから来ました」

その後は英語で、故郷について語りました。

「今、私はブラックフィートの言葉をほんの少しだけ話しました。美しいコミュニティで、私を育ててくれたネイション(国家や部族を意味する)です。やりたいことを続けるように、と私を励ましつづけてくれました。母もこの場に来ています。母はブラックフィートではないのですが、ブラックフィートの言葉を学べるようにと弛まぬ努力をしてくれました。そのおかげで、子どもの頃にブラックフィートの言葉を教えてくれる先生がいました」
「これは、歴史的な受賞です。流暢ではなく少しではありますが、故郷の言葉を話せることに感謝しています。なぜなら、この業界ではネイティブの言葉を表現するために、先住民の俳優が話した英語のセリフをサウンド・ミキサーが逆再生していた時代もあったぐらいですから」
「この受賞は、私だけのものではありません。私の美しい仲間たち、映画に関わった人たち、そして私がここにいられる理由である母と共に、このトロフィーを持っています。マーティ、レオ、ボブ、感謝しています。あなたたちは変化をもたらしてくれているのです。味方でいてくれてありがとう。脚本家のエリックも。そしてルーサー・スタンディング・ベアやオセージ族の皆さんもありがとう」
「受賞を居留地にいる子どもたち、都会で暮らす先住民の子どもたち、そして全てのネイティブの子どもたちに送ります。夢を持つ彼らは、彼らの言葉と視点で、我々自身によって描かれていることを目撃し、また支持者がいて信頼されていることを知ったことでしょう。ありがとうございました」
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Lily Gladstone Wins Best Female Actor – Motion Picture – Drama I 81st Annual Golden Globes
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映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』はデジタル配信のほか、一部の劇場でも公開中。

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