『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』や『グーニーズ』などで子役として活躍した後、表舞台から去っていた俳優キー・ホイ・クァン。

カムバック作となった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』では、3月12日(現地時間)に開催されたアカデミー賞で助演男優賞を受賞。見事オスカー俳優となった彼がプレスルームでのインタビューで語ったのは、本名で呼ばれることへの喜び。

第95回アカデミー賞で、見事に助演男優賞を受賞したキー。受賞の瞬間、プレゼンターは声を詰まらせながらキーの名前を発表し、会場は盛大な歓声とスタンディングオベーションスを送っていた。

一度は表舞台から去ったこともあったキー・ホイ・クァン。子役として複数の話題作に起用されたにもかかわらず、当時はハリウッドでアジア系俳優の仕事が少なかったこともあり、その後はなかなか仕事に恵まれなかったという。

マネージャーのアドバイスを受け、仕事欲しさに「ジョナサン・キー・クァン」や「ジョナサン・クァン」と英語名を名乗っていたことも。そして、その後は表舞台から去り、裏方の仕事へと回った。

harrison ford and kate capshaw in 'indiana jones and the temple of doom'
Paramount Pictures//Getty Images

そんな彼が再び注目されるきっかけとなった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。キー・ホイ・クァンは、今作で俳優復帰するにあたり本名に戻した理由を、授賞式後のインタビューで告白。

「子役としてデビューをしたとき、私は本名であるキー・ホイ・クァンで仕事をしていました。しかし、その後、仕事を中々獲得できなかった時期に、マネージャーに言われたのです。『もう少しアメリカ人に近い名前にすれば、仕事も回ってくるかもしれない』と。必死になっていた僕は、なんでもしました。今考えれば、生まれた時に与えてもらった名前じゃないものを名乗るあんて愚かだったと思います。だけど、それだけ、藁にもすがる思いで、状況を変えたいと願っていたのです」
「3年前に俳優復帰すると決断したとき、最初に決めたことは、本名に戻すということでした。ですから、今日、プレゼンターのアリアナが封筒を開封し、“キー・ホイ・クァン”と読んでくれたあの瞬間が、私にとっては特別なことだったのです」

その後のインタビューでは、初出演作の監督だったスピルバーグ監督にハグをされて祝われたことや、『グーニーズ』の共演者が応援をしてくれていることなどを語っているキー。

95th academy awards show
Myung J. Chun//Getty Images
スティーヴン・スピルバーグ監督とケイト・キャプショーと写真撮影するキー

また、人生を犠牲にし、9人の子どもたちのために難民となった母にも「僕がこうしてより良い人生を生きていられるのは、母のおかげなんです」と感謝。受賞スピーチでも母へメッセージを送っていた。

「僕の人生の旅は、ボートから始まりました。難民キャンプで1年間過ごしました。それが、どういうわけか今、ハリウッドで最も晴れやかなステージに立っているのです。このような人生は映画の中でしか起こらないと聞きました。まさか、自分の人生に起こるとは思ってもいませんでした。これこそが、アメリカンドリームです」