2022年11月11日に公開された、マーベル最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。

『ブラックパンサー』シリーズの第2作目となる同作は、4人の女性キャラクターたちに焦点を当てながら物語を進めていくことや、性の多様性を表現していることなどが明かされており、公開前から話題を呼んでいました。

<デジタル・スパイ>のインタビューでは、出演者の一人が、マーベル作品で黒人クィア*1について描かれる意義について言及。彼女が語ったこととは――。

*1)規範的とされる性のあり方に当てはまらないジェンダーやセクシュアリティを包括的に表す言葉

※本記事は、一部ネタバレを含みます。

メインストリーム作品で描かれる意義

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の主要キャラクターとなるのは、ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)の妹であるシュリ(レティシア・ライト)、オコエ(ダナイ・グリラ)、ナキア(ルピタ・ニョンゴ)、ラモンダ(アンジェラ・バセット)の4人の女性たち。

同作で、オコエたちと共にワカンダ国王を守る執行官アヨを演じるフローレンスは、映画やメディアなどで、黒人LGBTQ+コミュニティが適切に描かれる重要性について、次のように話しています。

「“リプレゼンテーション(コンテンツ内で公正かつ適切に描かれること)”は、その対象がどんなものであれ、とても重要なことだと思います」
「なぜならこの世には、人との違いに悩み『自分たちの何かがおかしい』と思っている人がいるからです。もちろん、彼らにおかしなところなどありません」
「私たちは、私たちらしく。それでいいんです。そして今回のように、多くの人に支持されているメインストリームな作品でこそ描かれるべきなんです。そうすることで、大きな変化をもたらしてくれると思います。否定的な考えを持っていた人たちが、この映画を観たことで『もしかしたら自分の生き方を変えるべきかも』と考えを改めるかもしれないですから」
フローレンス・カサンバが演じるアヨ。
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フローレンス・カサンバが演じる執行官アヨ。

原作では描かれていたものの…

映画『ブラックパンサー』シリーズで性の多様性に言及したのは、フローレンスが初めてではありません。

デジタル・スパイ>によると、脚本家のジョー・ロバート・コールは、2018年に第1作目が公開後<スクリーン・クラッシュ>のインタビューで、クィアの描写について話しています。

そこで彼は、映画の原作になったマーベルコミック『ワールド・オブ・ワカンダ』の設定に沿って、アヨとオコエのラブストーリーをシリーズ第1作目に盛り込んでいたと明かしました。しかし、該当シーンは製作中にカットされてしまい、二人の関係が映し出されることがなかったため、ファンの間で議論の的となりました。

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Albert L. Ortega//Getty Images
イベントでステージに登場したダナイ・グリラとフローレンス・カサンバ

観た人からは賛否両論も

性の多様性が描かれているという観点からも注目を集めていた 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。一方で、観た人からは「期待通りではなかった」という声も。

デジタル・スパイ>のエディターであるガブリエラ・ガイジンガーによれば、終盤でミカエラ演じるアネカがアヨの額にキスをする瞬間まで、作中では二人がクィアであることは一切触れられていなかったと言います。

手を繋ぐシーンや、お互いに敬愛の眼差しを向け合うような描写がなかったため、人によっては期待を下回る評価に繋がったのかもしれません。


過去にも多様性にまつわる表現を巡って、度々議論されていたマーベル作品。賛否両論はあるものの、本作でのクィア描写が今後の映画界に変化をもたらすきっかけになることに期待したいですね。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Risa Tsubakihara
DIGITAL SPY