もちろん「受賞」がすべてではないことは、誰もが知っている。しかし素晴らしい作品や演技などが、受賞者を決定する映画芸術科学アカデミーから十分な評価を得られなかったことが明らかになれば、それはやはり残念に思えること。
以下、2024年1月23日（現地時間）に発表された第96回アカデミー賞のノミニーのリストには名前が挙がらなかったものの、各賞の受賞にふさわしいといえそうな俳優や監督など、16人を紹介する。
マーゴット・ロビー
作品名：『バービー』／ノミネートに値すると考えられる賞：主演女優賞
映画『バービー』が「作品賞」でノミネートされたことから、プロデューサーのひとりであるマーゴットも候補者のひとりであることは確か。ただ、主演女優賞のノミニーに入らなかったことには、驚いた人も多いのでは？
「ケン」と「グロリア」を演じたライアン・ゴズリングとアメリカ・フェレーラはそれぞれ、助演男優賞と助演女優賞にノミネートされている。
グレタ・ガーウィグ
『バービー』／ノミネートに値すると考えられる賞：監督賞
パートナーのノア・バームバックと共同で手掛けた脚本で、脚色賞にノミネートされたガーウィグ監督。しかし2023年に世界最高の興行収入を記録した、大ヒット作品を完成させた彼女は、監督賞の候補に挙げられてもよかったのでは……？
グレタ・リー
『パスト ライブス／再会』／ノミネートに値すると考えられる賞：主演女優賞
特に主演女優たちの素晴らしい演技が目立ち、候補を絞るのが難しかったとみられる今回だが、それでもこの作品で「ノラ」を演じたグレタの名前が挙がらなかったのは、残念。共演のユ・テオとジョン・マガロも、最高の演技を披露している。
セリーヌ・ソン監督が脚本も自ら手掛けた同作は、作品賞と脚本賞にノミネートされている。
ウェス・アンダーソン
『アステロイド・シティ』／ノミネートに値すると考えられる賞：監督賞・脚本賞
一部の国で『バービー』と『オッペンハイマー』が同日公開されたことで生まれた「バーベンハイマー」がミーム化したことにより、その陰に隠れてしまった感じのあるこの作品。
だが、アンダーソン監督のこれまでの作品のなかでも、最高傑作のひとつといえる。
スカーレット・ヨハンソン
『アステロイド・シティ』／ノミネートに値すると考えられる賞：助演女優賞
同作に登場する映画スター、「ミッジ・キャンベル」を演じたスカーレット。そのパフォーマンスには、彼女の演技力が存分に発揮されている。
レオナルド・ディカプリオ
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』／ノミネートに値すると考えられる賞：主演男優賞
リリー・グラッドストーンが主演女優賞の候補に入るなど、いくつかの賞にノミネートされたこの作品だが、「アーネスト・バークハート」を演じたレオナルドの名前は、ノミニーのリストに含まれていない。
ケイリー・スピーニー
『プリシラ』／ノミネートに値すると考えられる賞：主演女優賞
どのカテゴリーでも、競争が非常に激しかったとみられている今回。特にキャストについては、少なくともひとりは受賞に値する俳優がいたとされている。
なかでも、「プリシラ・プレスリー」を演じたケイリーは、“超越した”演技を見せていたとされる。
ソフィア・コッポラ
『プリシラ』／ノミネートに値すると考えられる賞：監督賞・脚本賞
2023年には、エルヴィス・プレスリーの生涯を描いた作品がアカデミー賞の多くの賞の候補に挙がった。だが、エルヴィスの元妻プリシラの半生をテーマにしたこの作品は、ノミネートされなかった。
コッポラ監督は、2003年には『ロスト・イン・トランスレーション』で脚本賞を受賞している。
チャールズ・メルトン
『メイ・ディセンバー』（原題：May December）／ノミネートに値すると考えられる賞：助演男優賞
わずかひとつの賞へのノミネートにとどまったこの作品。非常に難しい役だったと思われる「ジョー」を演じ切ったチャールズには、助演男優賞の候補者となることがふさわしかったといえそう。
トッド・ヘインズ
『メイ・ディセンバー』（原題：May December）／ノミネートに値すると考えられる賞：監督賞
脚本賞にノミネートされるのみとなったこの作品だが、監督賞の候補にもふさわしかったと考えられる。これほど高い完成度で仕上げることができたのは、監督の技量があってこそ。
リドリー・スコット
『ナポレオン』／ノミネートに値すると考えられる賞：監督賞
ホアキン・フェニックスがフランスの皇帝を演じた壮大なスケールの歴史ドラマ。公開されたのが別の年であれば、スコット監督は確実に、監督賞にノミネートされていた……？
久石 譲
『君たちはどう生きるか』／ノミネートに値すると考えられる賞：作曲賞
ストーリーのなかで描かれる神秘性や新たな発見が、より一層観る人の心に迫るものになるのは、豊かで感情に訴える音楽の効果であるはず。
この作品は、長編アニメーション部門でノミネートされている。
リヌス・サンドグレン
『ソルトバーン』／ノミネートに値すると考えられる賞：撮影賞
ブラックコメディを面白いと思うかどうかは、観る人による。それでも、このサイコスリラーが素晴らしいものであることは、きっと誰の目にも確かなはず。
舞台となる豪邸を含め、映像には、撮影監督の腕によって命が吹き込まれている。
マシュー・ハイネマン
『ジョン・バティステ：アメリカン・シンフォニー』／ノミネートに値すると考えられる賞：長編ドキュメンタリー映画賞
交響曲作りに挑む作曲家で音楽家のジョン・バティステ（写真左）の活動を、一年間にわたって追ったドキュメンタリー。主題歌の『It Never Went Away』がノミネートされたのみとなった。
ケリー・フレモン・クレイグ
『神さま聞いてる？ これが私の生きる道?!』／ノミネートに値すると考えられる賞：脚色賞
アメリカの作家ジュディ・ブルームの代表作、世代を超えて愛されてきた小説が原作であることから、大ヒットは間違いないと期待されていたものの、ノミネートされなかった。
アイラ・サックス
『パッセージ』（原題：Passages）／ノミネートに値すると考えられる賞：作品賞・脚本賞
サックス監督が共同で脚本も手掛けたこの作品は、2023年のサンダンス映画祭で上映されたなかでも傑作のひとつ。
主演のフランツ・ロゴフスキーも、ノミネートされた俳優たちにまったく引けを取らない、素晴らしい演技を披露している。
※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。FromHarper's BAZAAR.com
