もしも、歴史上の人物たちがスマホを持っていたら…。そんなコンセプトから、偉人たちのセルフィーを描いたAIアート作品が注目を集めている。

アーティストの名前はジョー・ジョン・ムロール(Jyo John Mulloor)。インド出身でドバイを拠点に活動している彼は、約10年前に人間型ヘルメットのデザインで話題になったこともある人物。2006年からデジタルアーティストとしての活動をはじめ、現在はアートディレクターとしても活動している。

「古いハードドライブのデータを復元したところ、昔の友人から送られてきたセルフィーを発見。思い出が詰まった宝箱です。大切にフォトショップを使って修復し、思い出深いときを振り返り、昔の友情を蘇らせました」という言葉と共に投稿された作品は、その意外性あるコンセプトとまるで本物かのような質感に、多くの人が称賛のコメントを残している。

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初めて月面を歩いたニール・アームストロングは、宇宙で“自撮り”。アメリカ大陸を発見したとされるクリストファー・コロンブスは海辺でパシャリ。

他にも、レオナルド・ダ・ヴィンチやウィリアム・シェイクスピア、トーマス・エジソン、アルベルト・アインシュタイン、「アメリカ合衆国建国の父」の1人であるベンジャミン・フランクリン、マハトマ・ガンディー、マザー・テレサ、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、ヨシフ・スターリン、それにイエス・キリストなどが描かれている。

マリリン・モンローをはじめ、偉人たちがFaceTimeをしている作品も。

Bored Panda>の取材に答えたジョーによれば、以前から3Dアートに親しんでいた彼は、AIでのアート生成ができるようになりその可能性に興味を持ちはじめたという。偉人のセルフィーを描いた作品群は、 AIによるアート生成とフォトショップを使って完成させているんだそう。

「すべて、私ひとりで作っています。はじめはノートにラフなスケッチを描き、そこからAIの作成に取りかかります。ただ、AIは細かいところが不正確ですし、実在した人物の顔を描くことは特に苦手なようです。そこで、さまざまなステップを踏み、できる限り現実的なものに近づけていきます。そしてフォトショップを使い、生きているかのように見えるアートを作るのです。時間はかかりますが、それだけの価値はあります」

歴史に対する興味から、今回の偉人セルフィーを思いついたというジョー。

「子供の頃、歴史的瞬間や、歴史的人物の性格に興味を持っていました。そして、彼らをお茶目でユニークな描き方で表現したいと考えていたのです。そんな子供の頃に抱いていた願望に、命を吹き込むことのできる、完璧なチャンスだと思ったんです。全身全霊を注いで一枚一枚を作りました」

自身の作品が注目されていることについては、次のように話している。

「寛大な心で偉人のセルフィー作品を多くの人に受け入れてもらえていることに、非常に感謝しています。世界中から送られる愛とサポートには心が温まる思いです。光栄です」

また偉人だけでなく、エイリアン動物たちのセルフィーも作っているジョー。「常にアートとテクノロジーの限界に惹きつけられています。AIの誕生で、不可能だと思っていた世界が可能になったので、今後はどのような活動ができるのかワクワクしています」と、今後もAIアート作品の可能性について探求していくという。