映画『ハリー・ポッター』シリーズで主人公ハリーのスタントダブルを務めた、デビッド・ホームズさんのドキュメンタリーのアメリカでの放送が発表されました。ドキュメンタリーでは『ハリポタ』の撮影中に脊髄を損傷し、下半身不随となったデビットさんの人生が描かれていて、ダニエル・ラドクリフも制作に携わったそう。

一作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』から最終話の前編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』まで約10年にわたり、同作の撮影に関わってきたデビッドさん。最終話の撮影中だった2009年1月に首を骨折し、胸から下が麻痺したといいます。

そんなデビッドさんのドキュメンタリーは、『デビッド・ホームズ:ザ・ボーイ・フー・ライブ( 原題:David Holmes: The Boy Who Lived)』と題され、2023年11月15日より米HBOで放送が開始されます。ダン・ハートレイが監督を務め、ダニエル・ラドクリフは、デビッドさんら数名とともに製作総指揮として本作を制作に携わっていると米<Variety>は報じました。

HBOが発表したあらすじによると、デビッドさんはイギリスのエセックス出身の若き体操選手で、当時11歳だったダニエルのスタントダブルに10代で抜てきされたという背景が。そして事故後にダニエルやほかのスタント仲間たちにサポートされながら、「挑戦に立ち向かう青春物語」を描いているのだそう。

daniel radcliffe photo by peter mountainwireimage
Peter Mountain//Getty Images

同ドキュメンタリーでは過去10年間に撮影されたプライベート映像やデビッドのスタントワークの舞台裏映像に加えて、デヴィッドさんやダニエル、友人や家族、元スタッフのインタビューも収録されているとのこと。

またデビッドさんは自身のInstagramで、この作品を作るのに4年がかかったと明かし、『ハリー・ポッター』シリーズでの仕事への特別な思いを綴っています。現在は車椅子で生活を送るデビッドさんですが、ハリー・ポッターの有名なセリフを引用し、メッセージも発信しました。

「私たちが激動の世界を生きている今、ハリーの言葉を届けたいと思います。『私たちの団結は強さであり、分かたれるほど弱さとなる』」
new york, ny july 11 l rjeff robinov, david heyman, tom felton, emma watson, alan rickman, daniel radcliffe, david yates, rupert grint, barry m meyer, matthew lewis, sue kroll, chris columbus and david barron attend the premiere of harry potter and the deathly hallows part 2 at avery fisher hall, lincoln center on july 11, 2011 in new york city photo by dimitrios kambouriswireimage
Dimitrios Kambouris//Getty Images

ダニエルとデビッドさんは2020年に、世界中のスタントパフォーマーに焦点を当てたポッドキャスト番組『Cunning Stunts』を立ち上げ。このとき<Deadline>のインタビューで、世間がスタントダブルという存在を誤解していると語りました。

「スタントマンは、ある意味“スーパーマン”だと思われてしまっていますよね。(作品内で)痛みや怖さを演出するシーンを見たとき、きっとそれは映像技術を駆使したり、きちんと安全な方法で撮影されているものと考えるでしょう。でも、実際はそうでもないこともよくあるんです」
「例えば、階段から落ちる“フリ”をする方法はありません。車とぶつかるシーンでは、たとえ車の速度が遅かったとしても、本当に車にぶつかっているんです。スタントはそれらを最も安全に行う方法を知っていますが、それでも怪我をする可能性はあるのです」

作品のリアリティを追求する上で、リスクを負う立場にもあるスタントダブル。デビットさんは自身のInstagramで、「スタントの仕事は、私にとって天職でした。そしてハリーのダブルを務めるのは世界最高の仕事でした」と振り返っています。