大切な体の一部だけど、意外とよく知らないことが多いデリケートゾーンのお手入れ。

学校で詳しく習うことがないし、「何か異変が起こったとしても、どう対処すればいいか知識がない」と言う人がほとんどでは? その結果、知らないうちにトラブルの原因を自ら招いていることも…。

いつもと違うおりものやかゆみがある、あるいは、自分のお手入れが正しいのか疑問に感じている人は次のリストを要チェック! <コスモポリタン イギリス版>から、デリケートゾーンのケアで気をつけるべき9つのことをご紹介します。

デリケートゾーンの痛みやかゆみの原因?9つのNG習慣

1.石けんで洗う

陰部をきれいにするために、多くの人が石けんやシャワージェルを使っているのでは? 実は自浄作用がある膣には、内部を酸性に保つ細菌が常在し、感染を防いでいるのだとか。そのため、化学的な成分に触れた場合、良い効果より悪影響のほうがずっと多いのだそう。

婦人科医で『The Gynae Geek(原題)』の著者、アニータ・ミトラ博士によると「膣内はもちろん、そのすぐ周りを石けんでゴシゴシ洗ってしまうと、膣を感染から守ってくれる必要な細菌まで洗い流してしまい、そのために炎症を起こしたりおりものが過剰に増えたり、不快なにおいの原因につながることも。すでに肌トラブルやおりものがあり、それを石けんできれいにしているつもりでも、解決にはなりません」とのこと。

感染症の心配があるのなら、すぐに病院へ行くこと。婦人科の受診に抵抗があるという人もいるかもしれないけれど、なにか異常を感じるのであればプロの助けが必要です。「問題の原因となる感染症や皮膚の症状を診断してもらい、効果的な治療を受けましょう」とミトラ博士はすすめます。

image
Maria Korneeva//Getty Images

2.下着や服がきつい

補正下着が必要な場面もあるとは思いますが、ミトラ博士によれば、毎日着る下着は動きやすく楽なものが好ましいとのこと。

「多くの研究で、きつい下着や服は膣カンジダのリスクを高めるという結果が出ています。きつい下着は菌が好むあたたかく湿った環境をつくり、増殖しやすくしてしまうのです。タイトな下着を身につけていても問題ないと言う女性もたくさんいます。でも、もし膣カンジダが頻繁に再発するようであれば、ゆったりとしたコットンの下着を着けてみましょう。効果があるか、様子をみてみるといいと思いますよ」

3.脱毛

普段からVゾーンの毛のお手入れをしている人もいると思うけれど、特に敏感肌の人は、手をつけないほうがいいこともあるそう。

外陰部の周囲の肌はデリケート。剃毛することによってヒリヒリしたり、時には発疹が出たりする場合も。脱毛が埋没毛の問題を引き起こすこともあり、とても不快なうえ、それが感染の原因となる恐れがあります」

もちろん、脱毛のすべてがNGというわけではありません。「脱毛自体は危険なことではないのですが、それが健康にプラスになるという確証もありません。結局は、自分がどうしたいかですよね」とミトラ博士。

自己処理後に肌トラブルなどが起こったことがあるけれど、アンダーヘアは伸ばしたくないと言う人は、ワックスを試してみるものいいかも。身体の声に耳を傾けて、合わないものを無理やりつづけることは避けましょう。

4. 喫煙

意外かもしれませんが、タバコは、よく挙げられる健康問題だけでなくデリケートゾーンにも悪影響を与えるのだそう。「タバコの化学物質が膣まで到達し、健康な細菌の数に影響を及ぼすことがあります。つまり、最悪の場合、膣カンジダ細菌性膣炎になったり、膣が乾燥したりするリスクが高まるのです」とミトラ博士は指摘。

もし、なんらかの症状がある場合は、吸う本数を減らすか、いっそ禁煙してみると良いかもしれませんね。

5.ストレス

ストレスを溜めないように、と口で言うのは簡単だけど、実際はなかなか難しいもの。しかし事実として、ストレスは体に大きな影響を及ぼすものです。

「私の患者さんにも『ストレスがかかると膣カンジダ症や細菌性膣炎が現れる』と言う人がたくさんいます。どのようなメカニズムかはまだ解明されていませんが、おそらく、ストレス免疫系に影響を及ぼすためでしょう」

しばらく休みをとっていないようであれば、体のためにもゆっくり休養してみては?

6.月経周期

厳密に言えば「自分で意識して行っていること」とは異なりますが、女性のホルモンは毎日、毎時間変化しています。

ミトラ博士によると、生理中と終了直後に不快感を感じている女性は大勢いるのだそう。これは、生理期間になるとエストロゲンのレベルが自然に下がるためなのだとか。また、この時期は膣カンジダや細菌性膣炎が出やすいときでもあるそうです。

7.経口避妊薬

避妊薬を少しの間でもお休みして、女性器を休養させようと考えたことはありますか? ホルモンレベルはおりものや細菌数に影響を与えるため、ピルの服用も性器の健康に大いに関係するそう。

たとえば、ピルでおりものが増えるという人もいれば、デリケートゾーンがいつもより乾燥する人、不快感が減る人もいます。体質はそれぞれ違い、とても個人的なものですから、避妊ピルが自分の体にどう影響するか、よく観察してみましょう。

また、あるピルが影響したからといって、すべての原因がそれとは限らないので気をつけて。成分も様々、色んな選択肢があります。

image
Shana Novak//Getty Images

8.セックス

頻度が毎日の人も時々な人も、特に相手がペニスをもつ人の場合は、セックスは膣に大きな影響を与えます。ミトラ博士は次のように説明。

「コンドームなしでセックスし、パートナーが膣内で射精した場合、精液によって刺激を伴う不快感を覚える女性もいます。精液が膣内のpH(水素イオン指数)を変える場合があるほか、免疫系の反応も変化させることもわかっています。セックスの後に膣カンジダや細菌性膣炎を起こす人がいるのは、これが理由かもしれません」

幸い、簡単な予防法があるようです。「たとえコンドームをしていても、あるいは射精が伴わなかったとしても、セックスの後には必ず排尿すること。セックスによって細菌が膣のすぐ近くにある尿道に達して活動することがあり、それが尿路感染症につながることもあるのです」とミトラ博士。

9.セックストイが不潔

セックストイを日常的に使う場合もたまに利用する場合も、必ず毎回、それも使用前と使用後に洗うべきだそう。

ほとんどのセックストイ(シリコンやガラス、ステンレスなどで作られていることが多い)は、一般的な洗剤と水できれいにすることができます。ただし、優しく、無駄な刺激を引き起こしにくい、無香料のマイルドな成分が配合された洗剤を使うのが好ましいそう。洗剤がトイに染み込み、かゆみなどを引き起こすことがないよう、洗剤を使ったら水で丁寧に流しましょう。

また、しまっておくときは袋や箱に入れ、ちりやホコリがつかないようにするのも大切です。

image
MirageC//Getty Images

デリケートゾーンのトラブル対策

ここからは<コスモポリタン アメリカ版>から、デリケートゾーンのトラブルを予防する方法をご紹介。

運動や水泳のあとはすぐに着替える

「イースト菌感染症は、湿ったあたたかい場所で繁殖します」と説明するのは、シカゴを拠点とする産婦人科医のジェシカ・シェパード医学博士。汗や水は、まさにそういった環境を作りだしてしまう原因でもあるため、プールや海に入った後の水着や、運動後のトレーニング服は、すぐに着替えるようにしましょう。

膣に優しい食事をする

カリフォルニア州ランチョ・ミラージュを拠点とする産婦人科医のリサ・リンドリー先生いわく、腸のように、膣にも善玉菌と悪玉菌が存在するそう。「ヨーグルトやチーズなどのプロバイオティクス食品、生タマネギなどのプレバイオティクス食品は、病原菌の侵入や増殖を防ぐ善玉菌を維持するために重要」とのこと。

image
Creativ Studio Heinemann//Getty Images

常に「前から後ろへ」拭く

「シンプルなことに聞こえるかもしれませんが、本当に重要なことなのが、デリケートゾーンは前から後ろ(尿道側から肛門の方)へ拭くこと。でないと、大腸菌やその他の細菌が膣に侵入してしまう可能性があります」とリンドリー先生。

無香料の洗剤で下着を洗う

シェパード先生によると、膣内の分泌物は潤滑と感染を防ぐ役割があるとのこと。しかし、香料が含まれている洗剤で下着を洗うことで、膣が刺激され“自然のバリア”を洗い流してしまう可能性があるそう。

まっすぐ座る

ニューヨークの骨盤理学療法士である「EMH Physical Therapy」のエブリン・ヘクト先生によると、前かがみにならないことが大切とのこと。前かがみになると、会陰部を支配する仙骨の神経に負荷が生まれ、神経と血流が滞ってしまうそう。

そのため椅子に座るときは、背もたれがあるものを選び、深く腰掛けることが大切のよう。また、足をぶら下げた状態では背中にストレスがかかる可能性があるため、両足は地面につけて座りましょう。

普段パソコンの前で何時間も座っていることがある人は、適度に歩き回る時間をつくるよう心がけてみて。

デリケートゾーンにまつわる“誤解”

「下着をつけて寝ると、デリケートゾーンが窮屈」と感じる人もいるようですが、ショーツをつけて寝ることには問題がないのだとか。ただし、日中同様、快適で通気性の良い素材のものを選ぶのが好ましいそう。

「外陰部を水洗いするのは構いませんが、膣内まで洗わないようにしましょう」と、ミトラ博士はアドバイス。

膣にいつもと異なる様子があるときは、すぐに専門医を受診して。また、性生活がアクティブな場合は、年2回ほど、定期的にセクシャルヘルスチェックを受けましょう。

この翻訳は抄訳です。
Translation: Noriko Sasaki (Office Miyazaki Inc.)、YUUMI IKEUCHI
COSMOPOLITAN UKCOSMOPOLITAN US