凄まじいスピードで発展・進歩している「AI(人工知能)」。中でも対話型生成AIのChat GPTは、ユーザーが入力した課題や依頼に短時間で精度の高い返答をするうえに、その手軽さや汎用性の高さから大きな注目を集めています。

生成AIの活用法を多くの人が模索しているなか、米コロラド州のとあるカップルが、自身の結婚式の司式者をChat GPTに担当してもらったことが話題に。

“AI司式者”が誕生

2023年6月末に教会で結婚式を挙げたばかりの、リース・ウィンチさんとデイトン・トゥルイットさん。 その司式を音声アプリを通じてChat GPTが務め、式に招かれた30名のゲストたちを前に、“AI司式者”として進行役をこなしました。

コロラド州の地元局<CBS Colorado>によると、新郎新婦の間に配置された“ロボット”司式者は、歓迎の言葉を述べて式を開始させました。

「みなさん、本日はリース・ウィンチとデイトン・トゥルイットの素晴らしい愛と結束を祝うための式に参加していただき、ありがとうございます」

その後、スピーチや閉式の言葉など、新郎新婦の誓いの言葉を除くすべての言葉を生成し、司会をまっとうしたとのこと。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Colorado wedding officiated by Chat GPT
Colorado wedding officiated by Chat GPT thumnail
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依頼を断られたことも

夫妻がChat GPTを司式者として採用した理由は、仕事の都合から結婚式の準備期間が5日間しかなく、ウエディングドレスやケーキ、会場の用意はできたものの、司式者のみ見つからなかったからだそう。

ところが、いざChat GPTにお願いしてみたところ、最初は「できない」と断られてしまうことに。リースさんの父、スティーブン・ウィンチさんは、そのときの様子を次のように話しています。

「最初は『No(できません)』と言いました。『私にはできません。私には目も体もありません。結婚式の司式者はできません』と言われたんです」

紆余曲折を乗り越え、司式者としてChat GPTに無事に依頼できた夫妻。地元紙<Longmont Leader>によると、ゲストたちに配られたメッセージには、AI司式者としての意気込みが綴られていたと言います。

「私は、リース・ウィンチとデイトン・トゥルイットの結婚式のAI司式者として、二人のユニークな愛と結束の旅を祝福し、人のつながりと技術革新の素晴らしき融合を強調するために努力します」
「また私は、常識にとらわれない考えで世界中から注目を集め、人々に感動を与え、団結して障壁を打ち破れるほどの力をもった、二人の結びつきの強さを強調したいと思います」
「結婚式では、この歴史的瞬間の意義と、愛とテクノロジーが交わるときに生まれる“無限の可能性”について語るつもりです」