結婚を「ゴールイン」と言うけれど、実際は式を挙げたときがスタート。別の人間がある日突然"家族"になるのだから困難はつきものだし、長い時間を共に過ごすうちに「この結婚は私にとって正しい選択だったのかしら…」と思うことも。

そんな疑問を持ったとしても何とか日々をやり過ごす夫婦が多い中、『ワイルドオーツ・プロジェクト 人生を賭けて情熱を探求した中年女性の物語(原題)』の著者である作家のロビン・リナルディ(50歳)さんは夫婦関係を維持したまま"自由恋愛"を試みるという大胆な決断をしたんだそう。彼女の1年に渡る体験談をコスモポリタン イギリス版からお伝えします。

ロビンさんとスコット・マンスフィールドさんは結婚して17年の夫婦。長い結婚生活の後、2人は「結婚したまま、お互いが自由に交際する"オープン・マリッジ(自由結婚)"を試してみる」という決断をしたそうです。1年間、お互いに誰と付き合っても、交際相手が何人いても、関係がセックスを伴うものであってOK。自由に恋愛を楽しむという大胆な試みでした。

ロビンさんはサンフランシスコ在住。ワイン醸造家である夫のスコットさんとの結婚生活は停滞していたと<ニューヨーク・ポスト>に語っています。「週に1度セックスする生活は悪くはなかった。でも夫とのセックスに、沸き上がる情熱のようなものは感じられなくなっていました」。

しかしセックスがマンネリ化したことが、彼女にオープン・マリッジを決意させたのではありません。彼女は子どもがほしいと願い、30代前半にスコットさんを説得しようとしました。しかし彼はどうしても子どもを欲しがらず、それがお互いの関係にヒビが入るきっかけとなったのです。

「私は生涯子どもを持つこともなく、これまでに付き合った男性も4人だけ。そんな状態でいつか老いて死んでいくなんて真っ平! 他の男性とも付き合って、もう1度恋愛を謳歌したかった」と、彼女は著書に書いています。

「中年に差しかかったときにこういった問題に直面すると、パートナーに隠れて浮気をし、そして離婚することがあります。離婚することで人生が変わることはあるけれど、私は夫をだまして浮気をしたくなかったし、夫にも自由を与えたかったんです。でもこれはうまくいくかどうか分からない大きな賭けでもありました」と、当時の心境を語るロビンさん。

6年前、話し合いの末オープン・マリッジを試みることを決めた時、ロビンさんはスコットさんと暮らしていた家の近くにアパートを借り、月曜から金曜まではそこで生活することに。その家に男性を招きいれるのは彼女の自由ですが、週末はスコットさんの元に帰り、"円満な夫婦"として過ごしていました。お互いの平日の生活や恋愛について尋ねることはなかったそうです。

「想像したほど違和感のある生活ではありませんでした。新しい暮らしを私はすぐに気にいり、平日と週末の生活のバランスもちょうどいいと感じていました。夫ともこれまでと同じように1ペースでセックスし、でもオープン・マリッジの刺激も楽しむ。そんな風にうまくやっていたんです」

「自由恋愛」を試した結婚17年の夫婦。その結末は…?pinterest
Getty Images

新しい生活を始めると、2人はいくつか守るべきルールがあることに気づきました。「性感染症を予防するために安全なセックスを心掛ける」「共通の友人とはセックスしない」「交際した相手と真剣な関係に発展しないようにする」――オープン・マリッジを円滑に進めるためには、こうしたことも大切なポイントだと学んでいったのです。

さて、オープン・マリッジをスタートさせたロビンさんは、まずセックス情報サイト<nerve.com>のデート欄にこんな投稿をしました。

「現在オープン・マリッジ中の44歳、知性と魅力を備えたキャリアウーマンです。3550歳のシングル男性との出会いを求めています。刺激的な経験をシェアできる方、連絡待っています」

すると1日で23人もの男性からコンタクトが来たのだとか。

彼女の最初の"愛人"は40歳の弁護士でしたが、すぐに若い恋人に乗りかえ。ラスベガスのホテルで23歳の男性とのセックスを楽しみ、その直後に夫のスコットにメッセージを送る…という、セックスとアバンチュールに富んだ日々を送っていました。

オープン・マリッジを経験してしまった私は、性の扉を開けてしまったのです。

2人の女性とのセックス、そしてスリーサム(3人でのセックス)も含め、1年間で合計12人と関係を持ったロビンさん。約束の1年が終わったとき、元の結婚生活に戻ることの難しさを感じました。

「元の家、元の生活に戻ることは想像以上に大変でした。オープン・マリッジを経験してしまった私は、性の扉を開けてしまったのです。たった1人としかセックスできない閉ざされた世界に戻るのは苦しかった。そして私自身が大きく変わってしまったことを、改めて自覚しました。大胆で成熟した、大人の女性であることに気づいたんです」

その思いは、夫のスコットさんも同じでした。オープン・マリッジを試した1年間の内、約半年を年下の女性と過ごし、1年前とは違う男性になっていました。

元の生活に戻った2人に一石を投じる出来事が起こったのは、オープン・マリッジ終了から約数カ月後のことでした。ロビンさんが関係を持った男性の1人だったアーデンさんからメールが来たのです。アーデンさんに再会するとすぐにまた関係を持ち、そして彼に夢中になりました。彼と過ごす時間を特別なものと感じるようになったロビンさんは、もう引き返すことは不可能だと悟ったそうです。

「スコットとの結婚生活が満たされていた時期もあったし、彼には本当に感謝してる。でも私のように感情で動く人間は、先に進むしかないのよ」

ロビンさんとスコットさんは結婚生活に終止符を打ちました。その後、現在に至るまでロビンさんはアーデンさんと交際しています(自由恋愛ではなく、1人の人と真剣に交際するモノガミー的恋愛で)。

スコットさんも新しいパートナーを見つけたそう。そしてロビンさんに「この経験を本にしたほうがいい。僕たちだけの経験談ということではなくて、たくさんの人たちの結婚生活にも通じる本をね」と背中を押してくれたとのこと。

彼女は<Redbook>の取材に対し「このオープン・マリッジ経験は誰にでもすすめられるものではないわ。もし結婚生活を維持したいのであれば、やらないほうがいい」と答えています。

「情熱にはいろんな形があり、またその想いが溢れだす形態も人それぞれです。私はかつて『母になりたい』という熱い想いがありました。でもたくさんの恋人と関係を持った経験を通して、情熱はさまざまなところに見いだせるものなのだと知ったんです。女性同士の友情や、クリエイティブな活動にも情熱の糸口はあるものです。また、情熱は自分の内側から出てくるものであって、パートナーからもらうものではないことも大切なポイントです」

現在、アーデンさんと幸せに暮らしているロビンさんですが、今の幸せが永遠に続くとは思っていないと語ります。

「すべてのことは、人生の過程でしかないの。先のことなんて誰にも分からない。でも今、自分自身が日々成長していることを感じているし、充実していることには満足しているわ」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN UK