ゲームチャットアプリとしてよく知られている「Discord」。同アプリは先日、プラットフォーム内でのトランスジェンダーに対するミスジェンダリング※1とデッドネーミング※2を禁止すると明示し、誰もが安全に楽しめる空間作りをいっそう強化した。

ミスジェンダリングとデッドネーミングを禁止

若者を中心に人気のコミュニケーションアプリ「Discord」。複数人での通話やゲーム画面に重ねて通話者を表示させる機能などが充実していることから、ゲームを楽しむ人同士のコミュニケーションや、コミュニティづくりなどで活用されている。

The Advocate>によるとDiscordは、2022年4月に“ミスジェンダリングとデッドネーミングを禁止すること”を含む内容に「敵対行為に関するポリシー」を更新。今回、透明性向上のための定期的な見直しの一環として、以下の内容が記載されたことを公表したという。

個人またはグループの品位を貶める・傷つける中傷語の複数回の使用。これにはデッドネーミング、トランスジェンダーの人に対するミスジェンダリングが含まれます。

※1…トランスジェンダーやノンバイナリーの人に対して、本人が使用しなくなった名前を本人の合意なく使うこと。

※2…意図的か無意識かに関わらず、ある個人を指したり表現したり、その人と接したりする際に、その人自身が自認するジェンダーとは異なる言葉を使うこと。

man, smartphone and video game, headphones with live streaming and esports, concentration and gamer playing games technology, competition and focus with male streamer, challenge and gaming room
Sean Anthony Eddy//Getty Images

違反した場合の対応

ポリシーの施行を支援するために導入された「警告システム」のページのなかで、嫌がらせ行為のポリシーに違反した場合の対応についても説明しているDiscord。

「私たちは、Discordユーザーが正しい行動を取る機会を得られるよう、ユーザーが何を間違えたかを示し、私たちのルールについてより多くの教育リソースを提供し、アカウントに適切な制限を設けるようシステムを設計しました」
「同システムは、間違いから学び、行動を正す余地をユーザーに提供します。 Discordのルールに沿う方法をユーザーが学ぶのを助けることで、プラットフォームがより安全になると信じています」

繰り返し違反を犯したり、重大な害をなすユーザーを認識したときは、そのユーザーと違反したコンテンツを完全に削除するため、迅速な措置を講じるとのこと。

永久的な停止処分を受けることも

ルールを破ったユーザーのもとには、Discordから違反を受けたことを知らせるダイレクトメッセージが届き、 さらにルールを破るたびにメッセージを受け取るのだそう。

たとえば、ルール違反の画像を投稿した場合は一時的に画像を投稿できなくなる場合も。深刻さによっては数時間で解除される場合があるものの、繰り返しの違反やより深刻な違反が発生した場合は、数日あるいは最長で1年間、いくつかの機能を失う可能性があるとのこと。

そして最も重大な害をなしたユーザーは、直ちに永久的な停止処分が取られると明記されている。

in this photo illustration, the discord social media app
SOPA Images//Getty Images

10代向けのポリシーなども豊富

Discordは、誰かと一緒にゲームをするのはもちろん、ネット上の友達を作る場としても多く活用されているため、10代向けのポリシーなども豊富に明示されているよう。

たとえば「ティーンエイジャーおよび児童の安全ポリシー」には、児童を性的に描写するコンテンツ、ティーンエイジャーとの不適切な性的行為やグルーミングを一切容認しないこと、具体的に禁じている行為についても詳しく記載されている。

性的グルーミング※3や性的脅迫(セクストーション)、または未成年者の性的搾取に関与が認められた個人に対しては、初犯時に完全にアカウントが削除されるとのこと。

※3…性的な目的で子どもを手なずけ、親しくなること。

ポリシー違反に当たらないためにできることとして、ウェブページにはこのような文言も。

  • たとえ冗談であっても、児童を性的に扱ったり、グルーミングや虐待するような投稿はしない
  • 18歳未満のユーザーに性的な内容を送信したり、要求しない - 自身が18歳未満の場合も含む

ユーザー自身が18歳未満であったとしても、また“冗談”だとしてもポリシーに違反するということが改めて記載されており、Discordがユーザーの安全を一番に考えていることが伺える内容になっている。