投票日が目前に迫り、白熱の選挙運動が繰り広げられている2020年アメリカ大統領選。世界中から注目が集まるこの選挙ですが、もう一方で注目したいのが、両候補の夫人たち。
華やかなファッションや努力家の素顔が支持されているメラニア夫人とは対照的に、温かみのある庶民的な人柄で、徐々に人望を集めているのが民主党バイデン候補の妻、ジル・バイデン夫人（69歳）。
ひょっとしたら次期大統領夫人になるかもしれない、ジル夫人にまつわる7つのポイントを、選挙に先駆けてご紹介！
普通の家庭で育った普通の女の子
1951年にニュージャージー州で、銀行に勤める父、専業主婦の母のもと、5人姉妹の長女として生まれたジル。その後一家はペンシルバニア州に移り、子供時代の大半をそこで過ごしました。
高校生の頃からウェイトレスとして働き、自立心旺盛だった彼女。卒業後は短大に進学するも、専攻した内容が合わず、学校を去ることに。同時期の1970年、高校時代から交際していた1歳年上のビル・スティーブンソンと結婚し、デラウェア大学に入学します。大学在学中はバイトでモデルの仕事もしていたとか。
しかし、夫とは次第にすれ違いが生じ、結婚生活はわずか5年で終了してしまいます。
バイデン氏との出会いはブラインドデート
ジルがジョー・バイデン氏と出会ったのは、元夫との離婚が成立した1975年。
バイデン氏は1972年に最初の妻と、赤ちゃんだった娘を交通事故で亡くすという不運に見舞われ、数年間2人の息子を育てるシングルファーザーとして暮らしていましたが、弟のフランクが大学の友人だったジルとのブラインドデートをセッティング。その日のうちに意気投合したそう。
最初のデートの後、ジルは母親に「紳士に出会った！」と報告したとか。その後結婚に合意するまで、5回もプロポーズされたそうです。
上院議員の妻として、母として、働く女性として
大学を卒業して英語教師の職に就いたジルは、1977年、出会いから2年後にバイデン氏と結婚。彼の息子、ボーとハンターの継母になりました。
上院議員の妻、母としての役目も果たしつつ、教員としての仕事も継続。1981年に娘のアシュリーを出産した後は、育児に専念した時期もありましたが、それがひと段落すると職務に復帰し、英語教師の他、情緒障害を持つ児童への指導も再開しました。
1987年と2007年には、いずれも予備選で敗れたものの、バイデン氏の民主党大統領候補出馬をしっかりとサポート。今回の大統領選でも選挙運動に力を入れていますが、＜CBS News＞のインタビューでは、「もしホワイトハウスに入っても、教師は続ける」と語っています。
ミシェル・オバマとの友情
2008年の大統領選では、バイデン氏がバラク・オバマ氏によって副大統領候補に指名され、ジルはミシェル・オバマに出会います。2人は会った途端に意気投合。その後ファーストレディとセカンドレディになり、8年間の任期を全うする間、お互いを支え合う仲に。
移動中の飛行機で音楽をかけてワインを飲んだり、また、2015年にバイデン夫妻の息子ボーが脳腫瘍で若くして亡くなった時には、オバマ夫妻が頻繁に声をかけてくれたのだとか。
最近もTwitterでお互いに「大好きよ♡」と呟き合うなど、その友情が健在であることを示しています。
教育者、活動家として
ジルは自身のライフワークである教育者としての活動も積極的にこなしています。子育て中に2つの修士号を取得し、子供が成長すると、今度は博士号に挑戦。2007年に55歳で、デラウェア大学にて教育学博士を取得しました。
副大統領夫人として公の仕事もこなしつつ、2009年からはノーザン・バージニア・コミュニティ・カレッジ（NOVA）で教鞭をとり、2011年には准教授に。そして2020年には夫の大統領選出馬や新型コロナウイルスの問題がある中、オンライン授業を実施するなど、36年のキャリアを持つ教師として精力的に仕事を続けています。
また、友人4人が乳がんと診断された経験から、若い世代に乳がんの早期発見を啓蒙する非営利団体を運営していたことも。
体を張って夫を守る度胸
親しみやすいイメージのジルですが、たくましい一面も。
今年の3月3日に行われた民主党候補を決める重大な関門「スーパーチューズデー」では、夫の勝利スピーチを邪魔しに突如壇上に上がってきた抗議活動家たちから、体を張って夫を庇い、相手を舞台から押し返したシーンが全米で話題に！
一見普通の「スーパーウーマン」
ジルの魅力はいい意味で、普通のアメリカ人女性らしいところ。
ミシェル・オバマのように“超秀才”ではないけれど、努力家で、コツコツとキャリアを積み上げてきた忍耐力や、人々に安心感を与える親しみやすさ、献身的に若者たちの教育に取り組む姿勢は、ミシェルとは違ったタイプの「スーパーウーマン」と言えるでしょう。
もし彼女が大統領夫人になったら、アメリカにどんな変化をもたらすのか――そういった点にも注目しながら、11月3日に行われる選挙の行方を見守りましょう。
