温かくなると避けられないのが、虫との闘い。公園やキャンプ場ではもちろん、寝苦しい夜に網戸にして寝たときに蚊に刺されてしまったり…。そんなときの虫よけ対策として、化学物質を試す前に思い出してほしいのが植物の存在! 今回は「Hearst Contents Hub」から、フロリダ大学の昆虫研究科学者ロバート・M・ペレイラ博士による、虫よけ対策になりうる植物をご紹介します。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべて2020年6月28日付オリジナル記事によるものです。
シトロネラグラス
おそらく、シトロネラキャンドルは蚊除けとして最も知られているはずだが、その香りはシトロネラグラス(シトロネラソウ)という植物に由来し、見た目は独特なビーチ・グラスのような雰囲気。全米農薬情報センター(NPIC)によると、植物から取れる油が実際に防虫剤になるという。
しかし、ペレイラ博士によれば、シトロネラそのものを植えるだけで、キャンドルやトーチを燃やしたときに得られる効果を発揮させるにはそれなりの数が必要になるため、蚊を遠ざけるためには植物そのものには頼るべきではないとのこと。
もし、シトロネラの植物で効果を試したいときは、屋外で座る場所の近くに植物を置くようにしてみよう。「この植物はほんの少ししか香りを放ちません(葉をつぶせばより香りを出すことはできます)ので、すぐ近くに座っている場合にのみ(防虫剤として)機能します」と、「Ehrlich Pest Control」の認定昆虫学者であるナンシー・トロヤノ博士は説明している。
レモングラス
レモングラスは背の高い多年草で、アジアの熱帯および亜熱帯気候の地域に生育する。見た目はシトロネラグラスによく似ており、同様に蚊と戦う特性を持っていると、ペレイラ博士。
ある科学の文献レビューでは、レモングラスオイルが特定の種類の蚊に対して、2.5時間にわたって最大95%の忌避効果を発揮することがわかっており、別の研究では実験室の環境においてハエに対しても効果があることが判明している。この研究では、植物自体ではなく抽出された油が対象だったことは覚えておく必要があるが、自宅の庭で栽培してその効果を確かめてみる価値はあるかも。
ミント
多くの市販の防虫剤には植物由来のエッセンシャルオイル(=精油)が含まれており、ペパーミントのオイルは蚊の駆除に関して最も期待できる1つであり、特定のクモにも効果があることが研究で示されている。
正確には、虫がペパーミントを避ける理由は明らかになっていないとペレイラ博士は述べているが、強い香りに関係があるかもしれないとのこと。繰り返しになるが、研究は植物そのものではなく、様々なミントのオイルを用いて行われている。
水を入れたスプレーボトルにペパーミント、タイム、ローズマリーの精油を10滴ずつ落とせば、即席防虫スプレーの完成。庭の周りに散布すれば、ハエ、ノミ、蚊、アブラムシ、アリ、クモ、ツツガムシなどを撃退できる。
イヌハッカ
イヌハッカは、猫にほろ酔い気分を味わせることで知られているが、実は虫除けの特性も持ち合わせている。ある研究では、イヌハッカの精油がイエバエや蚊の駆除に役立つことが発見された。アイオワ州立大学の別の研究でも、忌避剤で最も人気のある成分DEETよりも効果的な“空間防虫剤”になることがわかっている。
イヌハッカオイルは植物と全く同じではないが、猫の心配がなければ庭に数本あれば十分。
セージ
このハーブは、アリ・ハエ・蚊の駆除に役立つことに定評があるが、蚊以外に関しては科学的根拠は多くない。研究では、特定の種類の蚊に対して最大32%の忌避効果があることが証明されている。
これは、防虫剤を使用しない場合よりも防護できる割合が32%高いことを示しており、料理にセージを加えて楽しむことは決して悪いアイデアではないかも。
ペチュニア
カラフルな一年草は、アブラムシ・特定の甲虫・ヨコバイ・スカッシュバグといった昆虫の対策になる可能性がある。しかし、その効果を期待するには花を咲かせる必要があることを忘れないように!
ペレイラ博士は、ペチュニアの潜在的な虫除けの特性について「花がある場合にのみ効果がある可能性があります」と話している。
マリーゴールド
マリーゴールドが昆虫に及ぼす影響についての研究はそれほど多くはないが、これまで長い間、庭師たちは蚊や他の害虫を寄せ付けないようにするためにマリーゴールドを役立てていたそう。
この一年草は華やかで鮮やかな花を咲かせるが、一方で多くの虫(や人も!)が好まない不快な香りを発している。その香りで、中庭の周りに美しい境界線を造ったり、ドアや窓など出入り口となる場所の近くに鉢植えを置けば効果的かも。
ローズマリー
この尖った形をしたハーブは、その特に刺激的な香りのおかげで蚊を遠ざけることに役立つかもしれないと、トロヤノ博士。
実際、他の11の精油と比較した場合、ローズマリーは蚊に対し最長の忌避効果があり、アブラムシやクモダニといった他の昆虫を退治することも研究でわかっている。他の植物同様、こちらも試験はオイルを用いて行われている。
ラベンダー
研究では、ラベンダーは蚊や他の節足動物の忌避に効果的であることがわかっている。ペレイラ博士によると、ラベンダーがなぜ防虫剤として機能できるのかは定かではなく、香りが虫を遠ざけているだけの可能性もあるとのこと。
「あなたにとって心地よいものでも、他の人、哺乳類、脊椎動物、蚊など無脊椎動物を含む他の動物にとって心地よいものである必要はありません」
バジル
『Journal of Vector Ecology』で発表された研究では、バジル(特にヘアリーバジル)が特定の種類の蚊を100%ノックダウンすることが判明。
これは、実際の植物よりも蚊を駆除する効果は高いと思われる精油でテストされた。ペレイラ博士は、バジルは蚊が嫌う“忌避剤の匂い”を生み出していますと述べている。
他にできることは?
「Orkin」のテクニカルサービスマネージャーであるベン・ホッテル博士は、まず虫が引き寄せられてる原因を探り出すことが重要だと述べている。「蚊の場合、水分を含む可能性のある全てのものが対象になります」とホッテル博士。
そして、蚊が問題の場合は、ファンを使うことも一つの手だとトロヤの博士は助言。「空気の動きは蚊の天敵です。蚊の飛ぶ力は非常に弱いため、空気の動きはかの飛行と着陸能力を妨げます」と話している。
「ボックスタイプや首振りタイプの扇風機を1〜2台、配置を考えておけば、局所的な蚊を劇的に減らすことに役立ちます」
ホッテル博士によれば、ツツガムシやダニを含む多くの害虫は、茂みの葉の下など、湿度が高く暗い場所を好む傾向にあるため、低木を刈ることもオススメだという。さらに、「また、害虫が家に入る道を遮断するために、枝を家から離すように切っておく必要があります」と付け加えている。
これらの手を打ってもダメだった場合は、専門家の力を借りよう!
※この翻訳は抄訳です。
Translation:Ai Ono