ソニア・ザブーガは、“言葉”でキャリアを積んできた。2008年にウクライナ版エルの編集長になる前は放送ジャーナリストで、ファッションディレクターとして『エル』誌のチームに加わったのは、2004年のこと。

その彼女のボキャブラリーに2月24日(現地時間)、いくつかの新たな言葉が加わった。ロシアはこの日、ウクライナへの軍事侵攻を開始。

ザブーガは欧州で数十年ぶりに起きた大規模な戦争によって、英語で「ミサイル」や「軍事攻撃」を何と言うのか、初めて知ったのだという。それは、「今までの生活のなかでは、必要のない言葉だった」からだ。

世界中がこの戦争に注目し、フェイクニュースが溢れかえるなかで、彼女は国内の状況をウクライナの市民と、そして外国にいる人々に正確に伝えるために、情報を発信し続けている。

「私たちの使命は、世界に真実を知ってもらうこと、実際に何が起きているかを知ってもらうことです」

ロシア軍の攻撃による爆音で目を覚ました侵攻開始の日から、彼女の日常は「一変した」。編集部のメンバーのほとんどは、日に日にロシア軍が迫る首都キエフを離れ、家族がいる別の場所に移動した。

キエフやウクライナ第2の都市ハリコフその他の都市では砲撃が続き、一部では病院や学校も被害を受けている。上空を通過する戦闘機が民家とその他の建物を区別できるように、夜間も電気をつけないよう指示されている地域も。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、民間人を標的にしているとして、ロシアの攻撃は「戦争犯罪だ」と非難している。

こうしたなかでも、ザブーガのチームは、自分たちにできることを続けている。それは、ウクライナ版『エル』誌のSNSアカウントとウェブサイトを通じて、様々な情報を発信することだ。

掲載しているのは、インターネットがつながらなくなったときの対処法、負傷したとき、砲撃を受けたときにどのような行動を取るべきかについて、ボランティア団体の連絡先リスト、そして、古いジムにもう何日も避難しているという人の現在の状況を伝える記事など──。

ロシアが2014年にウクライナ南部のクリミア半島を併合した後には、その危機の余波でウクライナがどのように変化したかについて掘り下げた、特別記事が公開された。ザブーガは、数カ月後には自分たちも、同じような記事を掲載したいと考えている。

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ロシア軍が侵攻を開始した後の毎朝の日課についてザブーガは、Instagramの投稿でこう明かしている。

「朝は点呼と、『調子はどう?』という質問から始まります。それは、以前よりずっと、意味のある質問になっています。実際には、『生きている?』と確認するための質問になっているのです」

彼女の個人のアカウントのフォロワーには、当局によってウクライナ侵攻に関する報道が制限されているロシアの人たちも。そのため、「いま何が起きているのか、ロシアにいる人たちにもわかるように」、英語で投稿しているという。さらに、攻撃を受けた国内各地の状況を伝えるため、ストーリーには写真や動画も投稿している。

「(ロシアの)テレビ局が報じることと、私たちがInstagramに投稿することを、比べてもらいたいのです」と語る彼女が明確にしておきたいのは、「ウクライナが実際には、悪夢のような状況にある」ということだ。

これについて彼女は、こう説明している。

「このような恐ろしい出来事の目撃者になるとは、思ってもいませんでした。まさに困難なときです。様々な感情、気持ちが渦巻いています」

ただ、それでもザブーガは、希望は捨てていない。彼女によると、ウクライナにはそうした気持ちを表す格言があるという。英語で説明してくれた彼女の言葉を基に検索してみると、どうやら英語にも、同じような言葉があることがわかった。

「Hope dies last.」その意味は、「(どんな状況でも)希望は最後まで死なない」ということだ。

※この翻訳は抄訳です。
Translation:Hearst Contents Hub

From: ELLE JP