恋人やパートナーとの仲を深めるにつれて、 「相手側の家族と交流する機会が増えた」という人も多いはず。なかには、相手の家族との関係がうまくいかず、苦手意識をもつ人もいるかもしれません。

本記事では、精神科医のサシャ・ハムダニ医師と<コスモポリタン アメリカ版>の副編集長マデリン・フランク・リーヴス、同編集部でディレクターを務めるミア・ラルディエールの3人がホストを務めるポッドキャスト番組に寄せられたお悩みをご紹介。

夫の両親から「役立たず」や「息子を奪った」という言葉を投げかけられたという女性。義父母との関係が上手くいかないと悩む相談者に対し、専門家のアドバイスとは?

【INDEX】


お悩み

私を嫌う義父母と和解するべき?

私は、パートナーの両親(義理の両親)とうまくいっていません。私とパートナーは交際開始から13年、結婚してからは7年が経つのですが、義父は私について「役立たずで、家族から歓迎されていない」といった暴言を、私ではなくパートナーに向けてメールで送っていました。
義母は義父よりも嫌な感じで、直接的ではなく間接的に攻撃してきたかと思えば、真っ向から攻撃的な態度をとるときもあります。彼女から「あなたは私の息子を奪った」と言われたことも…。
カウンセリングを受けるなど、自分の心と向き合うためにたくさん努力してきましたが、今の私はもう義両親に受け入れてもらうことも愛してもらうことも求めなくなり、彼らと距離を置くようになりました。
唯一の問題は、パートナーが「いつか私たちみんなが“親友”になれる」という夢を諦めていないこと。その考えこそが私たちの関係を傷つけているというのに…。私を嫌う義父母と和解することよりも、自分の気持ちを優先して、“諦める”という次のステップに進む私は間違っているのでしょうか?

専門家の回答

“対話する姿勢”を見せる重要性

ミア:

もし先生がこのような状況に置かれたとき、義父母に向き合おうとしますか? また、直接話し合うとしたらどのように行動すべきでしょうか。

ハムダニ医師:

私であれば、向き合うことを選びます。こういった状況では「いつ向き合うか」が重要ですが、すでに相談者と義両親の関係はこじれているんですよね。もしこれを「改善の可能性は低い」と考るなら、これ以上に関係が悪くならい程度にそれぞれがしたいようにすればいいとも思います。
一方で、現状についてパートナーや義父母と話し合うとしましょう。悪い状況に変わりはないですが、事態やそれぞれの立場を明確にはできます。それに、伝えたことで関係が悪化することも少ないのではないでしょうか。もしかすると義父母が「誤解を解きたい」と言い出して、話し合うチャンスが訪れるかもしれません。
こじれた関係で重要なのは、「話すきっかけをつくる」ということ。だから、私だったら“対話をする努力”をします。必ずしも義父母に歩み寄る必要はありませんが、「私は和解に前向きで、そのために努力をするつもりがある」という姿勢を見せることが大切。
そもそも話し合おうとしている時点で、あなたが「この件は終わり」と考えているわけではないことが伝わるでしょうし、相手も多少は理解しようとしてくれるのではないでしょうか。
「息子を奪った」と言う義父母とどう付き合っていくべき?【悩み相談】
Malte Mueller//Getty Images

義父母の態度は「精神的虐待」?

ミア:

では、ここからは相談者と義父母の関係がいかに有害で精神的にダメージを負うものかについて話していきましょう。この義父母は「あなたは私の息子を奪った」「役立たず」「家族として歓迎していない」と相談者に伝えました。これは“暴言”と言えるのでしょうか? それとも“いじめ”と捉えられるのでしょうか?

ハムダニ医師:

義父母から言われた言葉だけを見れば、暴言やいじめと捉えられます。ただ、これは診断のように「こう言われたからいじめだ、暴言だ」と断定できるわけではありません。
しかし、もしもそういった義父母の発言が至る所で繰り広げられたり、繰り返されたり、一貫して同じような性質のものであったりする場合は、おそらく「有害な人間関係」に分類されるでしょう。この場合は、相談者に対して決して肯定的な評価を与えないだけでなく、相談者自身の自己評価やコミュニティ内での立ち位置に対して疑問を抱かせるように振舞います。

「私の息子を奪った」への返答は?

マデリン:

「私の息子を奪った」と面と向かって言われたときに、具体的にどうやって返せば良いのでしょうか? また、相手の気を和らげ、互いに理解しあおうと動きだせるような返答の仕方はありますか?

ハムダニ医師:

まず、「私の息子を奪った」と言われるなんて、思いもしなかったはずです。それが本当に突拍子もなく、絶対におかしな状況で言われたことであれば、脳内で「人生で聞いたこともないような変なことを言われた」と考えましょう。私だったら、「どうしてそんなことを言われなくてはいけないのか理由が分からないので、少し考える時間をください」と伝えるでしょう。
なぜなら、もしもその発言の意図や根底にある義母の想いが理解できれば、問題を具体的に解決するチャンスを見出せるかもしれないから。義母にとっての懸念点が、相談者とパートナーの仲が良すぎることなのか、相談者ではない具体的な別の誰かと息子をくっつけたいと思っているのか…など。
lonely woman sitting in sunny window
Malte Mueller//Getty Images

何を変えられるかに焦点を当てる

ハムダニ医師:

今回のお悩みでは、相談者があらゆる角度からこの問題を見つめたことに拍手を送りたいです。カウンセリングを受けたり自分の内面と向き合う努力をしたり、どうにかこの状況を改善しようと試みたことが伝わってきますよね。自分と向き合うことは、とても重要な視点です。
多くの場合、人は困難な状況に置かれるとすぐに相手と喧嘩になってしまいます。そうなると「自分にも原因があるのでは?」と内省することがますます難しくなってしまうんです。一方で、相談者は喧嘩を避け、可能な限り自分と向き合ううちに、「義父母との関係が本当に改善できない有害なものになっている」と気づいたのでしょう。
この状況を乗り越えるための具体的なヒントとしては、ずばり「自分自身はコントロールできても、他人をコントロールすることはできない」と考えることに尽きると思います。仮に相談者が「これは時間が解決してくれるような問題ではない。実際に私は13年間もこの問題と向き合ってきた」と思っているとして、この状況が本当に変わらないとしましょう。では、この状況下で相談者の悩みを解決するために“変えられるもの”はなんでしょうか?
義父母が表面的にですら相談者を尊重するつもりがないとき、悩みを解決するために変えられるものは「パートナーがとるべき立場」でしょうか? それとも、パートナーとの関係を維持しながら義父母とは距離を置く、といった「義父母との関り方」でしょうか? 結局は「何を変えられるのか」を考えることが重要です。
couple reading books on sunny remote ocean island
Malte Mueller//Getty Images

二人が進むべき次のステップは?

ミア:

もしも先生が相談者と同じ立場に立ったとして、交際開始から13年が経った今、どのような次のステップを踏み出しますか? そのために、パートナーに対してどのような言葉をかけますか?

ハムダニ医師:

もしも相談者が義父母とコミュニケーションがとれるような状態ではなく、この状況を打開できない事態になっているのにも関わらず、パートナーが相談者と義父母が仲良くなることを諦めていない、あるいは、あなたが仲良くしようとしてもうまくいかなかった過去がありながら、それでもパートナーがその“夢”を諦めていないのであれば、相談者ではなくパートナーに問題があるような気がします。
これは私がパートナーに批判的な姿勢をとっているわけではなく、そこに問題の解決を妨げている“何か”がある気がするのです。パートナーにもカウンセリングを受けてもらい、「なぜ相談者と義父母が仲良くすることにこだわるのか」について明らかにする必要があると思います。この場合はパートナーの問題ですし、こういった状況は実はそれほど珍しいことではありません。私たちは、人間関係において他人に期待を寄せてしまいがちなんです。
二人で一緒にカウンセリングを受けるのも良いですが、パートナー自身がこの状況と自分はどのように関係しているのか、この状況を改善するために自分ができることは何なのか、ということを理解する必要があると思います。そこで何か問題が出てきたときは「その問題とどう向き合うか」「どうやって結婚生活に影響を及ぼさないようにするのか」ということを考えるべきですね。

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: Risa Tsubakihara
Cosmopolitan US