性のこと、自分の体のこと、パートナーとのこと、そして自分が心地よさを抱けているかということ。これらは全部大事にしたい、「セクシャルウェルネス」です。

「みんなのセクシャルウェルネス」連載では、自身の欲を満たし、性を肯定し、パートナーとのコミュニケーションもより豊かにするようなアイテムやサービスにフォーカス。それに対するこだわりや思い入れだけでなく、「自分に何をもたらすか」を掘り下げます。

第6回は、多様な体や体型を祝うランジェリーのオンラインショップ「Your own_.」を運営する福島花梨さんが登場。「自分のために、自分の価値観で、自分の人生を思いっきりenjoyしよう」というショップ理念を掲げるサイトの共同代表を務める花梨さんが語る、「セクシャルウェルネスを大切にする意義」とは。

福島花梨さん

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Karin
身体の多様性を大切にするオンラインランジェリーストア「Your own_.」の共同代表。現在大学4年生ではあるが、2年間の休学中にアフリカ生活の豊かさに触れる。卒業に向けて、女性のエンパワメントに関わる仕事を模索中。

ローションで会話も“潤滑に”…

a toothbrush next to a mannequin
Karin Fukushima

私のお気に入りは、イギリス生まれのローション「YESインティメイト・ウォーターローションWB」。その理由は、 初めて買ったセクシュアルウェルネスアイテムであること、そしてローションを使うと相手のいる性行為をする際のコミュニケーションがさらに深くなることがあるから!

コンドームとの相性もチェック

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Mariya Lutskovskaya//Getty Images

ローションを買うときに見たのは、コンドームとの相性や、使用している素材、口コミなど。コンドームと相性の悪い油性の成分が多いものは避けたかったのと、ローションは粘膜にふれるものなので、できるだけ自然由来の成分が多いものがいいなと思いました。

なかなか実際に手に触れる機会に恵まれなかったからこそ、ウェブサイトの口コミや友人の正直な感想をもとに、初めてのローションを買いました! 社会のさまざまな期待に合わせようと生きていた自分から、「自分の人生なんだから楽しんでもいいじゃん! 」と考えるようになったきっかけの一つで、 自分を“一皮むいてくれた”ような感覚で思い入れがあります。

コミュニケーションの切り口にも!

自分にとってローションが面白いと思うのは、自分のプレジャーのためはもちろん、セックスをする際のコミュニケーションの切り口にもなりうるということ

以前、カジュアルな関係の相手に、ローションを持参したことも。「使った方が好きだから、持っていってみよう」という単純な気持ちが相手を驚かせることになってしまいました。今では、コミュニケーションの大切さを感じ、事前に会話の中で好みや使用してみたいかを聞いてみるべきだったと考えています。

一方で、コンドームを常備する大切さは少しずつ広まっているので、状況に応じてローションを用意することも浸透したらいいのに…ともローションを使おうと提案すると、コミュニケーションを大切にする人とならそこから話題が広がったり、普段の雰囲気が少し変わることもあって面白かったです!

ローションで行為が盛り上がったり、どんなセックスが好きかなど話題が広がったり、お互いが心地いいセックスをするためのコミュニケーション潤滑材にもなると思います。(ローションなだけに)

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Anna Efetova//Getty Images

購入はオンラインで

このローションは、オンラインで購入。近所の薬局で買うには品ぞろえが限られており、地元の知り合いに遭遇したくないという気持ちもありました。

またストアは、“行くと絶対買わないといけないかも”というプレッシャーを感じてしまうので、オンラインでの購入を決意しました。セルフケアグッズの1つでもあると思うので、スキンケア商品を選ぶときのようにリラックスして自分に合うものを選びたい感覚と似ていると思います。

当時は実家に暮らしていたので、オンラインでの買った後は、自分で受け取れるようにしました。両親に見られないように緊張していたかもしれませんが、おそらく箱を見ただけでは気がつかないだろうな、とも。

最初は抵抗や恥じらいも

最初はどうしても、セクシャルウェルネスに関連したグッズを買うことに、抵抗や恥じらいがありました。 街中で目にする性的なコンテンツやメディアでの描写に大きく影響を受けて、嫌悪感を抱いていたと思います。そして数年前まで安全なセックスや性についての知識はほぼ皆無に等しく、セクシュアルウェルネスを求めることが私にとっては“過剰に性的である”と思い込んでいました。

しかし、SNSで英語のコンテンツを取り入れるにつれて生殖の権利(子を産むか、産まないか、いつ・何人を産むかなどを自分で決定できる権利のこと) や性教育についての情報に触れる機会が増えたり、友人との間でも徐々に性についてオープンに話すようになったことをきっかけに、自身の価値観や性に関する知識が深まり、セクシュアルウェルネスに向き合うことにオープンになりました。

性の健康について、友だちと話すことも!

友人とはお気に入りのバイブレーターや、新しくゲットしたグッズを試した感想、気になっているグッズについて日ごろから話します。オンラインの記事を共有したりするほか、友人のなかでは卒論で日本女性のマスタベーションに関するトピックを研究している子がいたりと、セクシュアルウェルネスは私たちにとってかなり重要なトピックです!

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Oleg Breslavtsev//Getty Images

友人と話すようになるまでは、セクシャルウェルネスやプレジャーを大切にすることがまっとうな権利である、とは思えていなかったように考えます。今は、セルフケアグッズの一つであり、コミュニケーション潤滑ツールの一つでもあると思います。色々な物を試していくことも自分と相手のことを学ぶ一つの手段ですね。

私がセクシュアルウェルネスにオープンになったのは、8カ月滞在したアフリカ経験もかなり影響が大きいと思います。現地では婚前交渉はタブーですが、結婚生活においてのセックスライフはかなり大事だそうで、日本のセックスレスの話は信じれないと驚く人ばかりでした。

多くの人がパートナー間で愛を育むための大切なクオリティタイムとして、セックスライフをエンジョイすることは良いことだと話してくれました。性に肯定的な人たちに囲まれ、私も自然とセックスは「楽しいものなのか」と考えるようになりました。

今、気になる商品は

圧倒的に、「ウーマナイザー」!! クリトリスや女性のオーガズムについては未解明な点が多く、未だタブー視する風潮もある中、ウーマナイザーはオーガズムと自己愛を結びつけるアプローチをとっている点が魅力的だと思います

さらに、ランジェリー販売に携わるひとりとして、フェムケア・テックプロダクトの中には、ランジェリー販売と同じように“買い手の不安要素を掻き立てて購買意欲を増加させる手法”が使われることも多いと感じています。私は自分主体でいることを後押ししてくれるような、ウーマナイザーのマーケティングスタイルが好きです。

相手ありきのセックスも楽しいですが、自分時間としてバイブレーターなどで自分のオーガズムを研究するのも充実した時間の過ごし方だと考えます。値段も検討しながら、次の誕生日に自分へのプレゼントとして買えればいいな~って思っています。