マッチングアプリを利用して、恋人や将来のパートナーを探すことが一般的になってきている昨今。とはいえ、何度スワイプしても出てくる人が同じだったり、誰かとマッチする度に同じやりとりを一からすることに「疲れた…」という話もよく耳にするもの。

現在のデジタル時代以前から存在するマッチングシステムといえば「結婚相談所」。プロのマッチメーカーが「お見合い」を仲介してくれるこうしたシステムは、日本だけでなく世界中に存在します。

本記事では、マッチングアプリに疲れ結婚相談所を利用したというサラ・ルイスさん(仮名、ロンドン在住)の経験談を<コスモポリタン イギリス版>からご紹介!

語り:サラ・ルイスさん

デジタルの荒野から「ダイヤモンドの原石」を探し求め…

ロンドン中心部、メイフェア地区にある高級オフィスの役員会議室で、私はコーヒーを飲んでいます。吹き抜けの天井は私のはるか頭上にあり、部屋の外には“お金を生み出す技術”に携わる人々の喧騒が漂っています。

「この大きくてなめらかな楕円形のテーブルで、一体どんな契約が行われてきたのだろう? どんな話し合いが行われただろう? 」

きっと得たものも、失ったものもあったはず。そして私が恋愛において「得たもの」「失ったもの」「譲歩したもの」について、ぼんやりと思いを巡らせていました。

人によって考え方はさまざまですが、私にとって「デート」「交際」「性的関係」、それらはすべて「愛」にまつわること。そして、それこそが私が探しているもので、デジタル時代の荒野から「ダイヤモンドの原石」を何とか見つけ出したいのです。

smart phone love connection
PM Images//Getty Images

私は「運命の人」は信じていません。これまでに3度の恋愛を経験しましたが、今後、もっとたくさんの恋愛をするのだろうと感じています。

アプリの向こうで遠浅のビーチで微笑む男性、仲間囲まれて楽しそうにしている男性、赤ちゃんを抱く男性、バーで飲んでいる男性、そして巨大な魚を抱いてポーズを取る男性…どれも見栄えの良い写真ばかりだけど、そんな男性たちのプロフィール写真を延々とタップし続け、愛を探し求めているのです。

私は、マッチングアプリを通した出会いを軽視しているわけではありません。それどころか、マッチングアプリは目的達成のための効果的な手段だと考えています。私はアプリで何人ものすばらしい男性に出会い、ほかの方法ではけっして得られないような経験もしたのです。

特にコロナ禍において、私のような一人暮らしのシングルにとってマッチングアプリは文字通りのライフラインとなりました。孤立感をやわらげてくれたからです。しかし、長期的なパートナーや「夢見たような恋愛相手」を見つけるという目標には到達できていません。

マッチングアプリを3年間もやっているものの、期待値と異なる結果が続いているのが現実です。

いざ結婚相談所へ

こうした経緯があり、今私はここメイフェアでプロのマッチメーカー、つまり結婚相談所である「ボウズ・リヨン・パートナーシップ」の創業者、ヘイリー・バイストラムと面談するに至ったのです。

2時間程度で、ヘイリーは私の人生のすべてを聞き出しました。幼少期から学歴、キャリア、そしてもちろん交際歴まで。ただおしゃべりをするような雰囲気で一瞬にして私を安心させ、私の基本情報をすべて網羅しました。

見ず知らずの人に自分が何者なのかを語り、なぜ36歳の現在、ロンドンのような大都会でシングルライフを送っているのかを説明するのはちょっと不思議な感じです。

でも、話しているうちに改めて思いました。「マッチングアプリの代わりに、結婚相談所に託してみようか? 」と。

pixelated broken heart on smart phone screens
Malte Mueller//Getty Images

私は毎晩、アプリの向こうにいる見知らぬ、そして実際に会うことは恐らくないであろう5人ぐらいの男性たちと同時にチャットしていました。でもアプリ代わりに、結婚相談所のサービスを試してみたくなったのです。

本気度が分かる!

ヘイリーからの質問は、答えるのが難しいものもありました。たとえば子どもやこれまでの破局についてなど、触れるのが難しいまたは辛い領域に踏み込むものも。

でも、彼女が質問してくれて本当によかった。彼女が紹介してくれる男性も同じような質問をされているはずです。近い将来に私が向かい合うことになる男性は、きっと私が自力で出会うような相手よりもずっと前向きで、交際をする心の準備があるがはずだと期待ができるからです。

まるで自分専用のバウンサー(クラブの入店基準を決める警備員)がついたような心強さを感じました。“クラブ・サラ”に入る準備ができているかという入会資格があるかないかを選別できるのです。

「ボウズ・リヨン」の会員は全員、まず面談を通して審査されます。スタッフは入会を希望する人全員と直接会い、その人が本人であること、提出済の写真と同一人物であることを証明しなくてはなりません。

相手も自分を選んでいる

数週間後、数人の候補者のプロフィールが添付されたメールが送られてきて、その中からデート相手を選べました。私のプロフィールも「ボウズ・リヨン」のマッチメーカーが作成してくれますが、もちろん自分で編集も可能です。そして、プロフィールに添付する写真を3枚選びます。

ヘイリーが送ってくれた5人の男性に目を通したとき、私はかなり感動しました。公私ともに成熟し、興味を惹かれる男性が私の前に現れた…と実感したからです。見栄え重視のプロフィール写真もなく、「一緒に悪いことができるパートナー募集」とか「カジュアルに付き合える人、連絡ください」といった類の記述もありません。

視覚(見た目)に頼らずその人物を判断するために、あえて小さな写真が添付されていました。つまり大事なポイントは、相手のことを知り、なぜ相手にとって私がマッチする人物だったのかを知ることなのです。

dining table in the luxury restaurant
Sammyvision//Getty Images

候補者の中からマーク(仮名)を選んだ理由は、彼の笑顔と、スポーツが好きという共通点があったからでした。

一週間後、私たちはワインバーで会うことに。彼はクライミングについて、私はワイルドスイミング(川や湖など自然そのままの環境で行うスイミング)について話し、それぞれの姪や甥がどんなにかわいいかについて話しました。

翌日、彼は2回目のデートを申し込んできましたが、私は彼との“化学反応”をイマイチ感じることができず断ることに。それでもマークとのデートはとても楽しかったし、思い出に残るものでした。

緊張の初デート

次のマッチングは一カ月後にやってました。「ねえサラ、ぜひポールに会ってほしいの! 」ヘイリーの興奮が画面から伝わってくるほどでした。

ポールのプロフィールを読んで、それも納得のこと。「背が高い?」←チェック。「いい仕事してる?」←チェック。「 多趣味?」←すばらしい! もちろんチェック! プロフィールが描く彼はとてもすてきな人だったのです。

その後、双方の合意を得て彼に私の電話番号が伝えられ(「ボウズ・リヨン」では双方が「会いたい」と意思表示した後、男性に女性の電話番号を教えるルールがあります)、数日後にチャットアプリでポールから連絡がきました。最初のデートの話が出るまで、一週間以上ずっとポールとチャットをしていました。

私は過去三年間に行ったたくさんの“チャットフレンド”のおかげで、ややデートアプリにトラウマが生まれつつありました。延々とメッセージを送り続けるだけで、けっして会おうとしない男性も多かったからです。

ポールとのチャットも「このまま会わないで終わるかも? 」とやや心配しましたが、最終的に彼が「カクテルでも飲みに行かない? 」と誘ってくれたのです。誘われたときは、久しぶりの初デートに興奮と緊張、両方の感情があることに気づきました。そのくらい、期待していたということだと思います。

happy couple communicating at bar counter during the night out
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今思い出すと、ポールとの初デートは完璧でした。夜7時に待ち合わせ、午前2時にバーが閉まるまで、私たちはずっと一緒でした。一度も会話が途切れることなく、暗い照明とウイスキーの香りが漂う中、二人とも顔がほころんでいるのがわかりました。

結論から言うと、私たちは交際や結婚には至りませんでした。私自身、この結果にすごくガッカリしています。ポールとはすばらしいデートを5回もしました。お互いに刺激し合い、キスもしたし、すてきな時間を過ごしました。でも彼と真剣な交際に発展する前に、別れを告げることにしたんです。

彼は前の恋愛が忘れられないようだったから。 私たちは今でも友達だし、彼と出会えたことに感謝しています。

良い出会いがないと悩んでいるなら…

今こうして私の「結婚相談所・体験談」をコスモポリタンで語っているのは、残念な結果を話したいからではありません。結婚相談所を通じて出会った人の素晴らしさに、とても驚いたからです。

入会当初、私は懐疑的でした。とにかく料金が高い(会員になると年間1万ポンド=約150万円)のです。結婚相談所は万人向けではありません。でも、もしあなたが良い出会いがなかなかないと悩み、壁にぶつかっているとしたら。いい人、楽しい人、面白い人が世界のどこかにはいるはず…と信じる気持ちを疑い出していたら。結婚相談所を利用するのは賢い選択だと思います。

プロのマッチメーカーの助けを借りることで、うれしい驚きが待っているかもしれません。ポールはマッチングアプリをやっていなかったので、私たちは結婚相談所以外の方法では出会えなかったでしょう。

当時の私は、「すてきな人と出会える」という希望を失いかけていました。しかしヘでイリーや「ボウズ・リヨン」のおかげで、しかるべき人と出会うと、つながりを築くことはまだまだできるのだと思い出すことができました。

結婚相談所の最大の特徴は、相手も自分と同じようにこのプロセスに(安くはない金額を)投資していることがわかっていること。相手も真剣な交際を求めていることは、初めから明確なのです。でも、これは心配事をひとつ除いてくれるだけで、そこから先は「運」の要素もあると思います。

私の場合、まだパートナーに巡り合えてはいません。けれど少なくとも、今私はようやく“正しい”テーブルに座っているような気がしています。


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: 宮田華子
COSMOPOLITAN UK