夢のメカニズムは、まだ解明されていない部分が多いと言われています。それでも、起きたときに覚えている夢の内容で朝の気分が左右されたり、夢の意味を知るために「夢占い」を調べる人も多いはず。

本記事では、その中でも「好きな人が夢に出てくるメカニズム」について専門家に取材。自分では気づかなかった不安が明らかになったり、夢の相手との関係を深めるヒントになるかも!

好きな人の夢を見るのはなぜ?

「夢はメタファー(隠喩)である場合が多い」と話すのは、占星術と夢占いを研究するエリサ・ロビン博士

「夢は例えるなら、あなたを手助けしようとしているけど同じ言葉が話せない“良き友人”のようなもの。気になる相手の夢を見るのは、その人に対する不安や期待を整理しようとしているからなのです」

夢を見る時の私たちの脳は「潜在意識」を探っているのだとか。片思いしている相手の夢を見ると「これは天からのメッセージ?」と疑いたくなるのも無理はないけれど、実際には、あなたの脳がもつれた気持ちを解こうとしているのだとか。そのため、まずは自分自身の気持ちと向き合ってみるのが良いかもしれません。

現実世界でやってみたいことの暗示?

深層心理を理解するための唯一の方法は、自分の気持ちと向き合い、紐解いていくこと。

認定心理士のロビン・ホーンスタイン博士は、患者の夢を分析する方法として「夢が患者自身に伝えようとしている要素を細かくチェックする」と言います。それが患者にとって、現実の世界でやってみたいことを暗示しているのかを分析するんだそう。

「夢を見ているときに、どういう場面で体が反応したり感情が高ぶるかを知るだけでも、驚くような発見があるかもしれません」(ホーンスタイン博士)

「好きな人の夢」と言ってもその内容は千差万別。スーパーで遭遇して恥ずかしい思いをする夢から、性的なコミュニケーションを伴う夢まで、好きな相手の登場の仕方はさまざま。

「裏切りの夢」と「絆を深める夢」の違い

そんな中、ホーンスタイン博士は好きな人が出てくる夢を「裏切りの夢」と「絆を深める夢」の二つに分類しています。

「裏切りの夢」とは、人前で恥をかかされたり、相手があなたの恋敵を好きになってしまったり、結婚式で永遠の愛の誓いを拒否されたりといった好きな人に傷つけられる内容。一方で「絆を深める夢」は、デートをしたり本音で話したり、情熱的な性行為があるなど、好きな相手との仲を深める内容のこと。

このように様々なストーリーの夢を見るのは、それがあなたの脳が感情を処理するための「ひとつの手段」だからだそう。

「夢は恐怖心の表れにすぎません。ですから、夢は予知夢や前兆であるとは限らず、単に私たちの思いや不安の表れなのです」(ホーンスタイン博士)
woman in clouds vector concept
Rudzhan Nagiev//Getty Images

好きな人の夢を見ることがストレスに感じる場合

中には、気になる相手が頻繁に夢に出てくることで心に負担を感じたり、ストレスを感じることもあります。恋をしていてその人にあまりにも夢中になっているのであれば、好きな人が何度も夢に登場するのは自然なこと。

友人や専門家に相談してみる

夢の中で、現実ではできないことを疑似体験すること自体を楽しめるのであれば、頻繁に好きな人の夢を見ても問題はありません。

「一方で、あまりにも頻繁に好きな人の夢を見るうえに、夢の内容に影響を受けてどうにかなってしまいそうなら、誰かに相談するようにしましょう。信頼できる友人かカウンセリングで専門家に話すことで、自分では気づかなかった問題や不安が、明らかになるかもしれません」(ホーンスタイン博士)

夢を見た相手と話してみる

もしも相手との関係や状況が許すのであれば、好きな人と直接話すことも一つの手。恋をしている相手に夢についてを話すなんて少し気まずいかもしれませんが、関係を深めるキッカケになるかもしれません。

夢日記を書いてみる

また、夢日記を書くこともおすすめ。目が覚めたときは夢に大した意味がなかったと感じたとしても、日記をつけて読み返してみると、それまで見逃していた特定のパターンや要素に気付いたり、なぜそのような夢を見たのかがよりはっきりすることも。

「どのような夢であれ、その内容によって不安を煽られるのであれば、その心理を理解する必要があると考えます。ただし、すぐに理解できなかったとしても時間が解決してくれることが多いので、気軽に構えるようにしましょう」(ホーンスタイン博士)

感情を整理する役割も担う「夢」ですが、現実からの逃避であるという側面も。どういうメッセージなのか思案を続けても答えが出ない場合には、気楽に受け流すことも必要だということ。


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: Takako Fukasawa(Office Miyazaki Inc.)
COSMOPOLITAN US