スマホ一つで、多くの人と出会うことができる 「マッチングアプリ」。けれど、実際連絡を取ったり顔を合わせてみると、気が合わなかったり想像していた人と違うことも。そんなときは、相手に本当の理由を伝えず、連絡を絶ってしまったことがある人もいるのでは?

欧米では、相手との連絡を絶ったり、音信不通になることを「ゴースティング」と呼ぶそう。そこで今回は<コスモポリタン イギリス版>から、マッチングアプリで出会った男性との連絡を絶ち続けるある女性のエピソードをお届け。

語り:イギリス人女性

ある日私はアプリでマッチした男性と、初めてのフェイスタイムデートをしました。最初は「音信不通になったらごめんね(笑)」と冗談混じりに話したり、楽しくやり取りをしたりしていたけれど、2週間後には彼のSNSのフォローをすべて外し、メッセージや番号まで削除している自分がいたんです。まるで一度も会話をしなかったかのように、あっさりと彼との関係を終わらせました。

相手に「好意がない」と言えず…

私が最初に急に相手との連絡を絶ったのは、マッチングアプリを使い始めた18歳頃でした。

ある男性とやり取りをしていたときに、相手に興味がなくなって自分からメッセージを送らなくなったんです。数日間は、彼のつまらない話や口説き文句に耐えてたけれど、次第に「もうこれ以上は無理!」と感じてしまいました。

その後は、「忙しいからあとで返信するね」と伝えて、すぐに彼からの着信とメッセージを拒否。連絡していたという履歴ですら削除しました。そうすれば彼のことも考えなくて済むから、罪悪感も感じませんでした。それに数日後には、もうすでに彼の名前すら思い出せずにいました。

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それからさほど時間が経たない間に、私はまた同じことをしていました。少し複雑な状況で…、同時に素敵だと思う2人の男性とマッチしたんです。

同時進行で2人の男性と関係を築くことはできないので、一人の男性とは関係を断たなければいけないということが、私にとってはとても難しいことでした。彼と真摯に向き合うなら、単に興味がなくなったことを伝えるべきだったと思います。けれど心のどこかで「怒らせてしまうかも」と思って…。その瞬間にやっぱり音信不通にして彼の前から消えることが一番いい方法だと感じました。

マッチングアプリで出会った人の中には、何年もやり取りをした人もいます。でもそんな彼ともお別れしたいと思うときがきて、私はまた連絡を絶ったんです。正直、長い間関係を築いてきた人の前から消えるということは、かなりキツイことでした。

「20代前半はシングルで楽しむ」と決めていたので、彼との関係が完全に終わった後、私はまた多くの男性と連絡を取ることにしました。主なマッチングアプリをすべてダウンロードして、毎日何十人もの人とやり取りをして、そのなかで次の段階に進みたいと思わなかった男性との連絡は、もちろん絶ち続けました。

デート相手だけでなく、ネット上の友達にも

正直なところ、最近までは私のことをほとんど知らない男性の前から消えることに、罪悪感を感じたことがありませんでした。でもそれはデート相手に限らず、友達にも同じことをしていました。ネット上で知り合った友達の中には、何年も仲良くしてきた人もいましたが、今後は付き合っていかなくてもいいかもと感じる人もいたんです。

実際にデート相手よりも、友達の前から消えることのほうが辛かったです。相手に自分の本当の気持ちを伝える勇気がなくて、だんだんと返信を減らしたり、ごはんの誘いを断り続けました。「もう私は関わりたくない」ということを相手に感じさせて、フェードアウトすることにしました。

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ROCHELLE BROCK / REFINERY29 FOR GETTY IMAGES

相手に「好意」がないと正直に伝えるべき?

突然相手との連絡を絶つことは、正しいことではないと分かっているけれど、やめることができませんでした。私は、誰のことも好きにならない皮肉屋になったのか。それとも、相手に拒絶されることを恐れて先に連絡を絶ってしまうのか…。相手に「興味がない」と伝えることは、私にとってはかなり難しいことなんです。私は、お店での注文ミスを指摘する勇気しかないのに、正直に相手に興味がなくなったと伝える必要があるのか疑問に思うこともあります。

そう感じているのは私だけではありません。多くの人が誰かとの連絡を突然絶ち、連絡が来なくなると文句を言う世の中になっているのです。実際に多くの人が、誰かとの関係を断つ方法を探していて、イングランドのイースト・ミッドランズを拠点とする心理療法士のサマンサ・ヒリー氏はこう語っています。

「突然連絡を絶つことが一般的になっているのは、『誰かと向き合うことができない』ということが要因の1つにあります」

次第に本当の理由を伝えられるように

インターネットとたくさんのマッチングアプリの普及、そしてライフスタイルの変化によって、何キロも離れた場所に住んでいる人、それに他の国に住んでいる人とデートすることもできるようになりました。以前の私たちだったら、近所に住んでいたり、働いている人たちと上手く関係を築くことができたと思います。当時は、本人や彼らの家族に出くわす可能性があったので、いきなり連絡を絶つことは難しいことでした。

きっと相手と距離を取ることは悪いことではないし、誰もが相手にその理由をこと細かに説明する必要もないと思います。たとえ誰かに興味がないと言われても、私は自信をなくしたりはしません。実際、急に連絡を絶たれたことは一度もありませんが、もしされたとしてもそれはかなりくだらない理由だと想像できます。

けれど最近感じるようになったこの罪悪感は、私のマッチングアプリでの習慣を変えるきっかけになりました。私は今後、次々と誰かとの連絡を絶つことはありません。実際、3カ月前にマッチングアプリでの自分の習慣を見直して以来、誰かとの関係を断ちたいときは、相手に向き合い丁寧に断りのメッセージを送るようにしてきました。けれど心のどこかでは、ほとんど知らない相手との連絡を絶つことに満足してるんです。

※この翻訳は抄訳です。

Translation: ARISA ISHIMOTO

COSMOPOLITAN UK