2019年に女子バロンドール、FIFA女子最優秀選手賞を受賞したアメリカを代表するサッカー選手のミーガン・ラピノー(36歳)。レズビアンであることを公表している彼女は、先日<タイム>誌のインタビューで女子スポーツ界におけるトランスジェンダーの包括性について言及しました。

アメリカでLGBTQ+の人々に対する差別のない保護を強化することを目的とした「Freedom for All Americans」によると、トランスジェンダーアスリートの競技への参加禁止は20近い州で検討中とのこと。

実際に今月初めには、ルイジアナ州がトランスジェンダー女性の女子スポーツへの出場の禁止を発表しました。

そんななか、2016年から交際をしているWNBA・シアトル・ストームに所属するスー・バード選手と婚約中で、LGBTQ+コミュニティの支援活動も行うラピノー選手は、アメリカにおけるトランスジェンダー選手が女子スポーツへの参加を制限する法案に反対を表明。

「多くの人は、このことについてあまり知らず、ほとんどすべてを見逃しているのです。正直なところ多くの人が知っているのは、保守派の主張だと思います。彼らは非常に声が大きく、一貫して容赦がないのです。大学スポーツでもオリンピックでも、プロの世界でも規制があります。誰もが好き勝手にやっているわけでないんです」

「『スポーツが人生で一番大切なものではない』ということを、人々が理解する必要があると思います。人生において最も重要なのは“人生”そのものなのです。そして、トランスジェンダーの包括性についての議論の多くは、プロスポーツという極めて小さなレンズを通して行われてきたのです。この議論を進めるのであれば、スポーツだけで考えるのはふさわしい方法ではない気がします」
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またラピノー選手は、この法案により子どもたちが学校のスポーツチームに参加したり、一緒に育った友人たちと遊ぶ機会を失うかもしれないと指摘。

「ある州では1人の子どもが、またある州では3人の子どもがと、州政府全体が関わる話なのです。子どもたちは、奇妙で異質、悪で罪深い、そして一緒に育った友達とスポーツすることもできないと言われ、自死へ追い込まれています。彼らの精神的健康を害しているのは言うまでもありません。とんでもないことだと思います」

さらに、トランスジェンダーの人がスポーツチームにおいて有利になるのではないかと思っている人に向けたメッセージも発信。ラピノー選手は、トランスジェンダー女性がシスジェンダー女性から、競技においてのチャンスを奪っていることはないと指摘しました。

「トランスジェンダーの女性が皆の奨学金を奪っている、あらゆるスポーツで優位に立ち、タイトルを獲得しているという証拠があるのなら見せてください。でもそんなことは実現しないでしょう。だから、私たちはお互いを認めることから始める必要があるのです」

「そして問題が発生したとしても、解決できると確信しています。全く違うところから始めることはできません。それにはもううんざりなんです」

トランスジェンダーの選手のことはもちろん、子どもたちの精神的健康を守りたいと願うラピノー選手。そんな彼女の声が多くの人、そして各州に届くことを願いたい――。

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cosmopolitan//Getty Images