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スポーツ界に変化を!LGBTQ+アスリートが送ったメッセージ

「私は自分がゲイであること、そしてオリンピックのチャンピオンであることを信じられないほど誇りに感じています」

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スポーツを通して多くの人々に勇気や感動を与えるアスリートたちは、結果やプレーだけでなく、これまでに多くのメッセージを発信しています。そこで本記事では、引退した選手から現役で活躍する選手まで、lgbtq+を公表しているアスリートの力強いメッセージをご紹介します。
Getty Images

史上最多のLGBTQ+を公表する選手が出場した、2021年の東京五輪。ウエイトリフティング女子87キロ超級には、トランスジェンダー女性としてローレル・ハバード選手が出場するなど、多くの歴史的な出来事や感動の瞬間がスポーツ界に生まれました。

そして、スポーツを通して多くの人々に勇気や感動を与えるアスリートたちは、結果やプレーだけでなく、これまでに多くのメッセージを発信しています。

そこで本記事では、引退した選手から現役で活躍する選手まで、LGBTQ+を公表しているアスリートの力強いメッセージをご紹介します。

トム・デイリー選手

カミングアウトをしたアスリートたち
Clive Rose//Getty Images

イギリス代表の水泳男子飛び込みペアのトム・デイリー選手。

2013年にゲイであることをカミングアウトし、2017年に脚本家の夫ダスティン・ランス・ブラックさんと結婚。2018年には息子のロビーを迎え、家族3人で幸せな日々を送っています。

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そんなデイリー選手は、2021年の東京五輪の「男子シンクロナイズドダイビング10メートル高飛び込み」で見事金メダルを獲得。

そして、LGBTQ+コミュニティに向け、このようなメッセージを送りました。

「今、どんなに孤独を感じていたとしても、あなたは一人ではないし、どんなことでも成し遂げることができるそして、サポートする準備ができているたくさんの“家族”がいると、若いLGBTQ+当事者に知ってもらえたら嬉しいです。

私は自分がゲイであること、そしてオリンピックのチャンピオンであることを信じられないほど誇りに感じています」

ミーガン・ラピノー選手

 
Alex Grimm - FIFA//Getty Images

ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグ(NWSL)のOLレインに所属する、アメリカを代表するサッカー選手のミーガン・ラピノー選手。

彼女は、2012年のロンドンオリンピックに出場する前に、<Out>誌で自身がレズビアンであることを公表。現在は、2016年から交際をしているWNBA・シアトル・ストームに所属するスー・バード選手と婚約しています。

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またラピノー選手は、人種差別やジェンダー、セクシュアリティの観点からスポーツにおける平等のために積極的に発信しており、2020年に出版した著書『ONE LIFE』では、このように強く訴えています。

「まだカミングアウトしている人が少ないという意味では、スポーツ界にはまだ同性愛嫌悪の部分が残っているとは思います。私のような人間が、“古き良きアメリカ”のためにサッカーをしていることを、人々は知りたいはずですし、知る必要があるのです」

「もしあなたが有名なアスリートであれば、カミングアウトは自分のためだけでなく、他の人のためにもなる。誰もが気にせずカミングアウトできるようになるまでは、みな自分の人生を“ただ”生きることはできないから」

「カミングアウトする人が増えれば増えるほど、同性愛に対する固定観念が崩れていくのです」

ジェイソン・コリンズ

 
Vivien Killilea//Getty Images

元バスケットボール選手で、ニュージャージー・ネッツ時代には2年連続でNBAファイナル進出に貢献したジェイソン・コリンズ。

2013年4月、<スポーツ・イラストレイテッド>誌にて、自身がゲイであることをカミングアウト

当時、4大プロスポーツ(アメリカンフットボール:NFL、野球:MLB、バスケットボール:NBA、アイスホッケー:NHL)の現役選手としては初めてのことであり、世界中から多くの注目を集めました。

brooklyn nets v new york knicks
Jim McIsaac//Getty Images

同誌の中でコリンズ選手は、このように語っています。

「私は34歳でNBAのセンター。黒人であり、ゲイです」

「私は、アメリカの有名なチームスポーツでプレーする、最初のオープンリー・ゲイのアスリートになることを目指していたわけではありません。でもせっかくなので、対話を始めてみようと思います」

「授業中に手を挙げて『先生、私は違います』と言うような生徒になりたかったわけではありません。私でなくても、きっと誰かが同じように行動したでしょう。でも、まだ誰もやっていなかった。だから私が今、手を挙げているんです」

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パトリシオ・マニュエル選手

2000年代前半に、女子選手としてボクシングのキャリアをスタートさせたパトリシオ・マニュエル選手。

2012年のオリンピック選考会にも女性として出場したものの、肩を負傷によりロンドンオリンピックへの出場を逃してしまうことに。

けれどこのことがきっかけで、長年感じていた性別への違和感を見つめ直し、性別適合手術を受けることを決意。

現在、男性プロボクサーとして活躍しているマニュエル選手ですが、当時ジムからはトランスジェンダーを公にするのであれば関わることができないと言われ、その過程でコーチも失ったと言います。

そのときのことを<ロサンゼルス・タイム>誌に、このように語ったマニュエル選手。

「『ここにいてもいいけど、誰にもバレないように』と言われる…私はそんな風に人生を送りたくないのです。誰かを心地よくさせるために、“自分らしさ”を妥協することはありません」

ビリー・ジーン・キング

 
DeFodi Images//Getty Images

プロテニス界で最も有名な人物の一人で、ダブルスも含めると計39回も世界4大大会のタイトルを獲得している、ビリー・ジーン・キング。

1981年、彼女が同性愛者であると報じられたとき、広報担当者は否定するように勧めたものの、「私は正直に言う。どう思われても気にしない。真実を伝えることが重要なのです」と返答したと<NBC News>に語っています。

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wimbledon lawn tennis championships
Fox Photos//Getty Images

また、自分のセクシャルアイデンティティやジェンダーアイデンティティと葛藤している若者に向けて、このようなメッセージを送りました。

「一番大切なのは、自分が安全だと思えること、そして味方がいること」

そして最高の友人とは、次のような人であると言います。

「その人の心や内なる成功を見て、そこから進んでいける人。セクシャリティに関係なくね」

カール・ナシブ選手

kansas city chiefs v las vegas raiders
Ethan Miller//Getty Images

NFLチームのラスベガス・レイダースに所属するカール・ナッシブ選手は、2021年6月のプライド月間に自身がゲイであることをInstagramで公表

NFL選手が現役引退後にカミングアウトした例はあるものの、現役選手では初めてのことだったそう。

動画内で「いつかこのような動画や、カミングアウトをする必要がなくなることを願っています」と語った彼は、2022年3月にカミングアウトしたときのことを振り返り、「とてもエキサイティングな日だった」とコメント

「本当に長い間、カミングアウトしたいと思っていました。必要としている人たちの声を届けるために、自信に満ちあふれ自分が心地よいと感じられる場所にいたかったのです」

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スー・バード選手

 
Steph Chambers//Getty Images

WNBAのスターであり、女子バスケットボールアメリカ代表のスー・バード選手。彼女は2017年にレズビアンであるとカミングアウトし、ミーガン・ラピノー選手と交際していることも明らかに

2021年の東京五輪で日本代表と対戦した決勝戦にはラピノー選手も駆けつけ、勝利した後にはバード選手が客席に駆け寄りキスする場面もあり、アスリートカップルとして常にお互いを支え合っています。

 
Kevin C. Cox//Getty Images

バード選手は、当時<ESPN>でカミングアウトした際に、このように語っていました。

「私はゲイで、ミーガンのガールフレンド。これは、私を知っている人には秘密でもなんでもないこと。私には“自分の人生を生きていない”という感覚はありません。口に出さないということは、隠している、秘密だと思われがち。でも私にとってはそうではなかったのです」

クイン選手

 
Naomi Baker//Getty Images

サッカーのカナダ代表として活躍するクイン選手は、2020年9月に自身のInstagramでトランスジェンダーであることを公表

またノンバイナリーで「They/Them」の代名詞を使うクイン選手は、2021年の東京五輪では金メダルを獲得した初めてのトランスジェンダーでノンバイナリーの選手に。

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けれど予選リーグ初日の試合後には、Instagramに「トランスジェンダーを公表している選手として初のオリンピックへの出場。どう感じたらいいのかわからない」と自身の胸の内を告白。

「『クイン』が先発出場の選手にラインアップされているのを見て、自分が選手として認定されたことを実感しましたし、とても誇りに思います」

「一方で、世間の価値観のせいで本当の自分のまま生きることができなかったオリンピック選手が、私よりも前にいたと思うと、悲しい気持ちにもなりました。法規制やルール、構造や考え方などの変化に対して、私は前向きな気持ちです」

「でも、現実を突きつけられることがほとんどなのです。トランスジェンダーの少女たちはスポーツから遠ざけられ、トランスジェンダーの女性たちはオリンピックへの夢を追いかけながら、差別や偏見に直面する。戦いはまだ終わっていません。みんながここへ揃う日が来たら、祝いましょう」

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