SNSなどで目にすることが増えた「ビニール肌」という言葉。ツヤっとしてなめらかな肌をイメージしてしまいそうだけど、実はコンディションが悪化した肌の状態のことを指すのだとか。
この記事では、ビニール肌の原因やなってしまった場合の正しいスキンケアについて、美容皮膚科タカミクリニック副院長の山屋雅美医師にお話を伺いました。
【INDEX】
ビニール肌とは
「いわゆる“ビニール肌”とは、何らかの原因によって角質層が薄くなり、バリア機能が低下してキメが失われている肌状態です」と山屋先生。
ただし、SNSやメディアなどで目にすることが増えた言葉ですが、該当する医学用語はなく、明確な定義もないと言います。
ビニール肌になる原因について、先生は「“肌への刺激”と“過度なピーリング(角質ケア)”が考えられます」と説明。
- スキンケアの際、肌を過度にこすりがち
- 洗顔ブラシやスクラブなど、肌をこするアイテムを使用している
- レチノールなどピーリング作用のある成分を配合したアイテムを、肌の状態に関係なく高い頻度で使用している
上記に心当たりがある人は、ビニール肌になる可能性が高いそう。
ビニール肌の特徴
一見、つるんとしたツヤ肌との見分けがつきにくそうなビニール肌。先生に聞いた、その特徴と見極めるポイントは以下の通りです。
- 全体的に肌に不自然な、テカテカとしたツヤがある
- 肌に赤みがある(皮膚が薄く毛細血管が見えやすい)
- 肌が赤黒くなった
- 肌にハリや弾力がない
- 肌が乾燥している
- 肌がつっぱりやすい
- 普段使っているスキンケアアイテムに刺激を感じるようになった
- 肌に痒みがある
- 保湿をしてもすぐに乾燥してつっぱる
鏡を見て、自分の肌の状態を早速チェックしてみましょう。
ビニール肌を放置すると起こる肌トラブル
「ビニール肌の状態をそのままにしておくと、肌トラブルにつながる可能性がある」と、先生。
「ビニール肌を放置するのは、バリア機能が低下した状態を放置しているのと同じこと。些細な刺激で肌が赤くなったり痒くなるなどの症状が出ることも」
「また、紫外線の影響もより受けやすく、将来のシミやシワ、たるみ悪化のリスクにもつながります」
ビニール肌の対処法
ビニール肌を解消するためには、どのようなお手入れをすれば良いのでしょうか? 山屋先生は、低刺激のスキンケア製品を使用することを勧めます。
「刺激が少なく、保湿成分や抗炎症成分が配合されている敏感肌用のスキンケアアイテムの使用がおすすめです。ピーリング作用のあるアイテムの使用は、しばらくストップしてください。また、肌に刺激を与える過剰なお手入れや肌をこするようなケアはやめ、保湿を中心のシンプルケアにスイッチしましょう。紫外線対策をしっかり行い、肌状態を整えてバリア機能を回復させるケアが大切です」
ここでは、先生に聞いた「ビニール肌の正しいスキンケア」をお届け。
ビニール肌のスキンケア
- クレンジング
摩擦で肌に刺激を与えやすいクレンジングは 1分以内で行いましょう。摩擦を軽減するため、弾力のあるゲルタイプのクレンジングを選ぶことをおすすめします。オイルクレンジング、シートタイプのクレンジングは、肌をこする可能性があるので避けるのが◎。
- 洗顔
洗顔料を肌の上に長時間のせていると角質層を傷めるので、 洗顔は30 秒程度で終わらせて。泡を肌にのせたときに指が肌につかないくらいに、洗顔料をたっぷり泡立てましょう。「ラウリン酸フリー」「保湿成分配合」で、弾力のある泡がつくれる洗顔料を選んでください。
- 化粧水
コットンは摩擦で肌を刺激してしまうため使用せず、ハンドプレスでしっかり浸透させましょう。塗りムラがないように2~3 回たっぷり重ねづけするのがポイント。セラミド、グリチルリチン酸ジカリウム、アミノ酸が配合されているものが良いです。肌へ負担をかける拭き取り化粧水の使用は避けましょう。
- 美容液
肌のバリア機能や水分保持に関わる細胞間脂質の主成分であるセラミドを補い、肌の内側からしっかりと潤いを。
- 保護アイテム(ゲル、ミルク、クリームなど)
化粧水だけでの保湿ケアは、バリア機能をさらに低下させる原因に。化粧水で水分をきちんと与えた後は、水分を蒸発させないためにもゲルやミルクなどの保護アイテムで皮脂膜をつくり、潤いを閉じ込めましょう。
- 日焼け止め
バリア機能が低下しているビニール肌は、紫外線の影響を強く受けやすいです。そのため、日焼け止めまでがスキンケアと考えてください。外出しない日にも、毎朝日焼け止めを塗りましょう。
日焼け止めも下地でなく単品で使用し、1度につき2~3回重ね塗りをするように心がけて。肌に優しい処方で、専用クレンジングなしで落とせるものを選んでください。
また、「ビニール肌をさらに悪化させないためには日々の心がけも大切」と先生。
「スキンケアで摩擦の原因になるものを取り除き、保湿ケアの見直しを徹底してください。肌のターンオーバーを正常に保つため睡眠、食生活などにも注意しましょう」
今回お話を伺ったのは…
美容皮膚科タカミクリニック副院長
皮膚科医 山屋雅美先生