長年の肌悩みがある人や敏感肌の人のなかには、色々な製品を試しながら、自分に合うスキンケアアイテムを見つけるのに苦労している人も少なくないはず。

この記事では、<コスモポリタン アメリカ版>の美容エディター、ルビー・ブッデマイヤーさんの「無香料コスメによるスキンケア体験記」をお届け。彼女はある特定の香料にアレルギーがあることが判明し、スキンケアアイテムの総入れ替えに踏み切ったのだとか。

※本記事は個人の感想をまとめたもので、内容はあくまでルビーさんの経験によるものです。

語り:ルビー・ブッデマイヤーさん

リモネンは、レモンやオレンジなどの柑橘類の皮に含まれる精油成分。爽やかで繊細な香りが特徴で、ラグジュアリーコスメからプチプラコスメまで、肌や髪、ボディに使う製品の多くに含有されています。そして、私のお気に入りのコスメすべてにも配合されていて。でも実は私、リモネンにアレルギーがあることが分かったんです…。

アレルギーがあるとわかるまで(原因不明の湿疹や発疹が顔中に広がってから、皮膚科のアレルギーパッチテストを予約するまで)には、1年が経っていました。

このパッチテストは、80以上のアレルゲン(アレルギーの原因となる抗原)に対する肌の反応を検査するもの。多くの場合、普段使っているスキンケアアイテムを入念に調べる方法で行われます(業務上、様々なコスメの新製品を試す必要があるビューティエディターの私にとっては“悪夢”のような作業でした…)。

リモネンにアレルギーがあると判明したときは、本当にショックでした。でも、スキンケアからリモネンを含むアイテムを除くことで「これまでのトラブルと決別できるかも?」と思えたのは嬉しかったです。

毎朝新しい湿疹ができたりかゆみで涙が出たり、気分が悪くなったりする日々が終わるかも――。その可能性に期待して、リモネンが入っていないコスメだけを使う“実験”を始めることにしたのです。

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Anna Efetova//Getty Images

しかし、ここで問題が。スキンケアからリモネンを完全に排除するためには、成分表示を確認するだけでは不十分。FDA(アメリカ食品医薬品局)は香料を規制していないので、リモネンはあらゆる香料成分のなかに密かに潜んでいる可能性があるのです。

肌にリモネンが触れる可能性を完全に排除するためには、「フレグランス(香料)」「パルファム」「オードトワレ」という言葉が含まれる製品をすべてカットし、スキンケアに使うアイテムを完全に無香料のものに統一する必要がありました。

そうしてスキンケアを一新したところ、1週間もしないうちに吹き出物が消えるという結果に。また、あごのラインにできる白ニキビ黒ずみも目立たなくなりました。肌がアレルゲンと戦う必要がなくなり、常にあったかゆみや発疹が消え、肌が適切に機能するようになったことが実感できたのです。

しかし、この実験の過程で一つ、非常に大きな、そして、もどかしい疑問が残りました。それは「刺激物として知られている香料が、なぜスキンケアに含まれているの?」、そして「なぜ人々は、無香料製品だけを使おうとしないのだろう?」ということ。

そこで私は、この分野の専門家である皮膚科医と化粧品研究者の2人に、“基本中の基本”とも言える質問をぶつけることにしたのです。

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Yulia Naumenko//Getty Images

スキンケア製品用の香料とは

スキンケアなどのビューティ製品に良い香りをつけるための香料が使われているのは、ごく一般的なこと。ひどい匂いのクリームを顔に塗りたいとは誰も思わないし、素敵な香りがついていることで、製品を使用する際に気分が上がります。

しかし、こうした香料は肌を過敏にさせる物質でもあります。私のような敏感肌の人 はもちろんのこと、どの肌タイプであっても香料に反応する可能性があるのです。「私の肌は強いから大丈夫」と思っている人にさえ、です。

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また、さらにガッカリしてしまう情報も…。皮膚科医のデイゼン・ハーマン医師によると、アメリカには「香料とは何か」という法的定義さえないのだそう。

アメリカではそのため、EUのように製品に含まれる香りの成分を開示することが法律で義務付けられておらず、メーカーはスキンケア製品に自由に香りをつけることができるのです。つまり、企業がラベルに「香料」と記載しても、その香りが実際に何であるかは記載されないのです。

そのため、私のようにリモネンに対して特定の症状があったとしても、メーカーが香料に関する情報を開示しない以上、同成分を含むコスメを完全に排除することはほぼ不可能なのです。

化粧品研究者で「BeautyStat」の創設者であるロン・ロビンソンさんは、「化粧品メーカーは、成分表示の『香料』という記載にあらゆる香り成分を含有させることができます」と説明します。

「加えて、『香料』には複数の成分を含むことができるので、複数の物質があなたの肌に刺激を与える可能性も。つまり敏感肌の人にとっては、無香料の製品を使うのがトラブルを避ける最善の方法なのです」(ロビンソンさん)

繰り返しになりますが、アメリカでは香料についての法的定義がないため、ブランドは好き勝手に香り成分を配合し、それをただ「香料」と呼ぶことができるのです。そして、今は香料アレルギーがない人も、香料入りの製品を使用することで肌トラブルが引き起こされる可能性があります。

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JulyProkopiv//Getty Images

無香料コスメのチェックポイント

ハーマン医師によると、「無香料」という言葉も規制されていないそう。

「クリームに 『無香料』と表示していても、化粧品メーカーは基本的には何でも入れることができるのです。法的な基準がないため、訴えられることもありません」(ハーマン医師)

また、スキンケア製品のなかには、香りや使用感を良くするために天然成分(エッセンシャルオイルや植物エキスなど)を添加したものも多くあります。しかし、厳密にはこうした成分は香料ではないため、「香料」表示は必要ないのです(ティーツリー精油はその好例で、適度な抗酵素、抗菌、抗酸化作用があり、とても良い香りもするのです)。

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その製品が自分の肌に合うかどうかを知るには①成分表示を確認し、②成分を明確に開示している製品やブランドにこだわるしかないということ。

ハーマン医師によると、肌トラブルに悩む人のうち、香料にアレルギーがある人は1~10%程度。つまり、私のように香料が原因で深刻なかぶれが出てしまう人は非常に少数なのだそう。

しかし、もし肌にチクチクする刺激痛や赤みが生じたり、肌が敏感になっていると感じたりするなら、スキンケアから香料を取り除いてみるのも一つの良いアイデアでしょう。余裕があれば、化粧品アレルギーのパッチテストを受けることも検討してみて。

香料のアレルギーは、判明しづらいもの。たとえば、いつも使っているハンドクリームにアレルギー成分が含まれていて、手ではなく顔に症状が出るということもありえます。皮膚科医やアレルギー専門医に明確な診断をしてもらうのがベストです。

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RUNSTUDIO//Getty Images

無香料コスメのメリット&デメリット

肌荒れに悩みはじめたときは、香料が原因だとは思ってもみませんでした。しかし、スキンケアから香料を完全に取り除いた後、私の肌は以前よりも健康を取り戻したように感じています。

私にとって「無香料のスキンケア製品を使うこと」のマイナス面は、たった一つだけでした。それは、以前までお手入れの際に感じていた、まるでスパにいるような「うっとり感」がなくなったこと。無香料の製品は悪い匂いがするわけではありませんが、スキンケアが少し退屈になったのは確かです。

でも、それは価値ある代償。私にとっては、健康的な肌を手に入れることのほうが大事だったのです。

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。

Translation: 宮田華子
COSMOPOLITAN US