多くの女性たちを悩ませる「便秘」。でもその症状は、人によって実に様々。便秘ってなんでなるの? 今の状態は便秘? 身近なことだけど、本当のところがわからない…。

そんなあなたのために、便秘外来の診療も行っている小林メディカルクリニック東京の院長・小林暁子先生に、便秘の基礎知識と、便秘になったときの解消法を教わりました。


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便秘ってどんな状態のこと?

教科書的には便秘は3日以上便が出ていない状態を指しますが、腸内環境専門のドクターは、2日を目安に便秘か否かを診断しています。けれど、毎日便通があっても、少量であったり硬すぎたりなど質の悪い便の状態が続いている場合は、便秘と診断することも。

ただ、普通に腸内環境が良ければ最低でも2日に1回は便通がありますので、便秘の目安は2日で考えると良いですね。

便秘はどうしてなるの?

便秘は大腸がんでなることもありますし、甲状腺ホルモンの低下、女性ホルモンの低下などでも起こり得るため、一概には言えません。

けれど一般的にはライフスタイル、食生活が原因と考えられています。過激なダイエットで食事の量が激減するとか、運動不足やストレスなどで腸の環境や動きが鈍ることでも便秘になると考えられています。

特に夏は暑く、汗と一緒に水分が排出されるため、脱水傾向になり便秘になることもあります。

便秘解消に必要なことは?

便秘解消を目指す方には、必要な3本柱をまずお伝えしています。

  1. 食事
  2. 運動
  3. ストレス解消

この3つを上手に組み合わせることで、便秘は解消可能です。それでは詳しくお話ししますね。

食事

腸の働きを活性させる乳酸菌の餌となる、食物繊維をバランス良く摂ることから始めましょう。

野菜(特に根菜)、海藻、キノコ類、穀物など様々なグループから食物繊維を摂ることをおすすめしています。また納豆や味噌、ぬか漬けなど発酵食品を摂ることも大切。

食事は完璧なのに、便秘になってしまう…そんな方は水分不足かもしれません。水分が足りないと便秘になりがちですので、1日1.5〜2Lは摂取しましょう。また、朝食が腸の働きを活性化してくれますので、朝食は必須です。

運動

食事と同様、運動も多様性があるほうが腸には◎。有酸素運動と筋肉を作るトレーニングは両方行いたいですね。有酸素運動は可能なら毎日、筋トレは週2~3回を目安に行うことを推奨しています。ただ、ハードな運動は体にも負担がかかります。ストレスを抱えることになりますので、マイルドで長く続けられる運動を心がけてください。

軽いランニングや階段をリズミカルに上り下りする運動、縄跳びは腸が揺れて活性化するのでぜひ取り入れてみてください。また筋トレでは、お腹の筋力アップの重視を! 腹部に筋肉がつくことで、冷えを緩和させ温まりやすい体になりますので、便秘解消につながります。

ストレス解消

好きなことでストレス解消するのが一番ですが、やはりスマホやPC、テレビの寝る前の利用は控えたいところです。

夜は本来リラックスして、副交感神経を優位にしておきたい時間。スマホやPCなどの見過ぎで1日中スイッチがオンの状態では、ストレスを回避するどころか身体の負担になりますのでご注意を。

リラックス方法はなんでもOKですが、確実なのは39〜40度のお風呂に15分以上浸かる、ゆったりとした音楽を聞く、アロマでリラックスするなどです。お好きなものを試してみてください。

医師直伝のツボ押し&ストレッチ

「天枢(てんすう)」のツボ押しで便秘改善!

おへその周りをくるくる「の」の字にマッサージするのも良いのですが、なかなかポイントをおさえるのが難しいので、診療ではツボ押しをおすすめしています。なかでも「天枢」は排便を促進する効果があります。やさしく刺激してみてください。

HOW TO

おへそを中心に指幅3本分横にあるツボが「天枢」です。中3本の指でツボを捕らえて、やさしく押しましょう。仰向けに寝て行うとツボが押しやすいです。

医師が教える便秘解消法
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お尻上げストレッチで便秘改善!

アジア人はもともと腸が長くて下垂している人が多く、便秘になりやすい傾向が。腰を上げるお尻上げストレッチを行うと、腸の位置が移動します。併せて便やガスも移動しますので、排便につながりやすくなりますよ。

HOW TO

  1. 仰向けになり、足を肩幅に広げて膝を立てます。
  2. 膝が元の位置以上に開かないように注意しながら、お尻に軽く力を入れて、ゆっくり上に引き上げ5秒間キープ。このとき、肩から膝までが一直線になるように意識しましょう。
  3. 腰がドスンと床に落ちないように、ゆっくりと息を吸いながら下ろします。①~③を10セット程度行ってみてください。
    医師が教える便秘解消ストレッチ
    SrdjanPav//Getty Images

教えてくれたのは…

医師が教える便秘解消法
小林メディカルクリニック東京

医療法人社団 順幸会
小林メディカルクリニック東京
 理事長・院長、医学博士
小林暁子先生

順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学総合診療科を経て、2005年にクリニックを開業。内科、皮膚科のほか、便秘外来や女性専門外来を併設し、全身の不調に対応する。なかでも便秘外来では15万人以上の便秘患者の治療に携わり、高い実績を上げている。また、様々な業界とコラボし、美腸メニューを提供。テレビ出演、講演でも活躍中。『医者が教える最高の美肌術』(アスコム)、『女性の自律神経の乱れは「腸」で整える』(PHP研究所)、『免疫力を上げる健美腸ルール ウイルスや菌に負けない体をつくる』(講談社)など著書多数。