時や場所を選ばずに襲ってくる「デリケートゾーンのかゆみ」。状況によってはかゆみに耐え続けなくてはならず、悩んでいる人も少なくないはず。これらの症状は、デリケートゾーンの乾燥が原因であることが多いようです。
そこで本記事では「デリケートゾーンが乾燥する原因と対処法」を、<セブンティーン>と<ネットドクター>からお届け。原因を理解し、適切な予防や対処法を学びましょう。
【INDEX】
- デリケートゾーンの乾燥の原因とは?
- そもそも「デリケートゾーンの乾燥」とは?
- 腟の乾燥による代表的な症状
- 腟の乾燥を防ぐ方法は?
- どんな治療があるの?
- 腟が乾燥しているときにセックスしても大丈夫?
- どのタイミングで医師に相談すべき?
そもそも「膣の乾燥」とは?
膣は、自然に排出される潤滑液によって、常に湿っている状態が自然です。子宮頸部の表面と膣壁の腺から分泌される自然の潤滑液には、腟カンジダ症を防いだり、死んだ細胞を取り除いたりするなど、膣内を清潔に保つ役割があります。
また、モートン医師によると、性的興奮が高まることで膣口の側方にあるバルトリン腺からも潤滑液が分泌されるそう。これは性交時に必要な粘液で、膣壁がさらに湿り、スムーズなセックスが可能になると言われています。
これらの自然な潤滑液の分泌量が減ると、膣壁の乾燥や弾力性の低下、不快感を引き起こすんだとか。
ブヤン医師によれば、あの“独特なかゆみ”もその症状の一つとのこと。
「膣の乾燥を経験している人たちは、“骨盤まわりの不快感”と表現することが多いですね。膣壁が薄くなるにつれて、ヒリヒリしたほてりや、かゆみを感じるのです。また、痛みやチクチクした感触、通常よりもトイレが近くなるなどの症状もみられます」
デリケートゾーンの乾燥の原因とは?
まずは、デリケートゾーンが乾燥する原因について、プライマリ・ケア(総合診察)を提供する<One Medical>のナターシャ・ブヤン医師と婦人科・産科医のカレン・モートン医師が解説。
更年期
ブヤン医師によると、デリケートゾーンの乾燥を引き起こす最も一般的な原因は、女性ホルモンの一種である「エストロゲンレベルの低下」とのこと。
そのため、閉経周辺期または閉経後の女性によく起こるのだとか。膣壁が薄くなり、弾力性や感度が低下するほか、粘液産生細胞が減少して膣内の潤いが減少すると言われています。
また、モートン医師いわく、閉経後は膣組織が変色し、ピンク色から手の甲の皮膚のような色へと変わるんだとか。
「膣内の水分量が減ると、性交時にこすれて痛くなってしまうこともあります」
妊娠と母乳育児
妊娠や授乳中のホルモンの変化も、膣内の水分量の減少を引き起こす可能性があるよう。
「膣内の水分量が不足していると、細菌の異常増殖を引き起こし、細菌性腟症やカンジダ症、尿路感染症などに感染しやすくなります」と、モートン医師。
ストレスとうつ病
心理的ストレスはエストロゲンレベルの低下を促し、デリケートゾーンの乾燥を招いてしまうことも懸念されています。そのうえ、ストレスやうつが性欲を低下させたり、性的興奮を妨げたりすることも相乗効果となってしまう可能性が。
喫煙
喫煙する女性はそうでない人よりも、エストロゲンレベルが低くなるそう。従ってデリケートゾーンが乾燥しやすく、感染症を引き起こしやすいという実験結果も。
病気
デリケートゾーンの乾燥は病気の症状である可能性も。
たとえば、全身の様々な分泌腺を破壊し、眼乾燥症(ドライアイ)や口腔乾燥症(ドライマウス)などの症状を引き起こす「シェーグレン症候群」がデリケートゾーンの乾燥を招くことも十分にあり得るということ。
そのほか、「糖尿病」も膣内の水分量に影響を与え、再発性の膣感染症や頻尿などの症状を招くと言われています。
薬による影響
抗アレルギー薬、抗うつ剤、抗ヒスタミン薬などの一部の薬の服用が、乾燥の原因になることも。
もしいずれかの薬を服用し、デリケートゾーンの乾燥にも悩んでいるという場合は、まずは医師に相談を。医師が症状を考慮した上で、適切な処方に変更してくれるはず。
香料入りのデリケートゾーン製品
香料入りのフェミニンウォッシュやデオドラントなどを使いすぎると、デリケートゾーンの自然な水分を取り除いてしまうことも。その結果、膣のpHバランスが崩れ、カンジダ症や細菌性腟症などの発症リスクが高まることも。
アルコール
乾燥の要因となる特定の食品はないものの、ブヤン医師は「アルコール摂取による脱水症状には気をつけましょう」と警告。
皮膚の保湿レベルが下がり、デリケートゾーンの乾燥にも繋がる可能性があるのだとか。同じように、水分摂取不足も乾燥の原因に。水分をたっぷり、そしてこまめに補給することを心がけて。
膣の乾燥による代表的な症状
- 性交時の痛みや不快感
- 膣のかゆみ
- 膣出血
- タンポンの挿入または取り外しがしずらい
- (ランニングなどの)反復運動時の膣の痛み
- 着席時の膣の不快感
- 頻尿
- 反復性尿路感染症
- (細菌性腟症などの)腟感染症
腟の乾燥を防ぐ方法は?
ブヤン医師は「膣の乾燥が原因と思われる症状がある場合、まずは医師に相談してください」とアドバイス。
それに加えて、喫煙も膣の乾燥の原因になるそうなので、喫煙者であれば禁煙を考えてみて。服用している薬があれば医師に相談し、また水分補給を欠かさないことも大切です。
どんな治療があるの?
まずは「原因を突き止めることが肝心」と、ブヤン医師。薬や喫煙が原因であれば、服用・喫煙をやめるだけで症状が改善する場合も。
「治療法はさまざまです。(乾燥による痛みを和らげるため)性交時に潤滑油を使用する人もいれば、また乾燥部分にエストロゲンクリームを塗る、ピルを服用する、膣リングが効果的な場合もあります」
しかし、同時に「膣洗浄やローションを使用するのは絶対にやめてください。状態の悪化につながってしまう場合もあります。治療法は、まずは医師の診断をあおぐのがベストです」という警告も。
膣が乾燥しているときにセックスしても大丈夫?
乾燥の症状が強いときにセックスをすると、膣の摩擦により症状が悪化するのではと不安に感じてしまうはず。ところが、本人が不快でなければ、セックスそのものには問題ないのだとか。
ただし、「ローションなどををたっぷり使用した方が良いでしょう」と、ブヤン医師。
どのタイミングで医師に相談すべき?
「ヒリヒリした痛みや不快感を感じたら、すぐに病院を受診しましょう。それが原因究明と治療法をもっとも早く見つける方法です」と、ブヤン医師。
デリケートゾーンの悩みだから…と躊躇せず、症状がある人はまず医師に相談し、いち早く解決を目指して!
※この翻訳は、抄訳です。
Translation: 宮田華子、YUUMI IKEUCHI
SEVENTEEN、netdoctor