そのファッションセンスでも世間の注目を集めた、亡きダイアナ元妃。ブロンドヘアとアイコニックなヘアスタイルは、多くの人々の記憶に残っています。

そしてダイアナ妃は、完璧なルックを常に維持するためにかなりの努力をしていたもよう。<ニューヨーク・ポスト>紙のゴシップコラム、<Page Six>に掲載された記事によると、ダイアナ妃は公務でヘリコプターに搭乗する際、“ヘリコプター・ヘア”になるのを避けるため、特別なヘアスプレーを使用していたといいます。

ヘアスタイルへのこだわり

化粧品の契約製造を行うラドーヴ・インク社のトップ、化粧品化学者のシェリー・ラドーヴ・ファンシュさんは、「ヘリコプターから降りるときは、プロペラから吹き下ろしてくる風で髪がひどく乱れてしまいます」と説明。そしてそれを避けるため、ダイアナ妃と当時の専属ヘアスタイリスト、リチャード・ダルトンさんは、ともに「ヘリコプター・ヘアスプレー」を開発したそう。

当時のダイアナ妃は、エレガントなフェザーカットのヘアスタイルを自然に見せ、整った状態に保つための特別な製品を求めていたといいます。

「(当時)とても若く、とても美しかったダイアナ妃ですから、髪をなでつけたように見えるスタイルは嫌がっていました。(髪が頭に張り付いた)“ヘルメット・ヘッド”のような見た目にはしたくなかったのでしょう」
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Princess Diana Archive//Getty Images
ヘリコプターから降りるダイアナ妃

研究の末に完成した“特注スプレー”

ラドーヴ・ファンシュさんは、ダイアナ妃にふさわしい原料を探そうと、何度も外国に行き、森林の中や様々な場所を歩きまわったとのこと。その末に見つけたものについて、次のように語っています。

「私たちは、ある樹木から採取できる樹脂を見つけました。そして、(ダイアナ妃のための)フォーミュラを作成することができたのです」
「私は実際に(研究室で)開発を行いました。この樹脂の融点は何度なのか、どうすれば髪のベタつきや品のない見た目になることを避けられるのか、そしてどのようにしたら髪を固めすぎないようにできるのかについて、検討しました」

この結果、ダイアナ妃は完成したスプレーをとても気に入ったそう。そしてラドーヴ・ファンシュさんは、さらに別の種類のヘアスプレーの開発も依頼されたのだとか。

それは、ティアラを着用するときに使用できるもの。ティアラに使われている宝石に影響を与えない成分で作らなければいけないことから、このスプレーを開発するのは「さらに難しいことだった」と言います。

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Tim Graham//Getty Images
ティアラをつけたダイアナ妃

こうして開発された2種類のヘアスプレーですが、一般向けに発売されることはありませんでした。ラドーヴ・ファンシュさんは、「最終的に、発売する可能性がなかったわけではありません」と述べており、ダイアナ妃がそれをビジネスにする可能性もゼロではなかったとの見方を示しています。

ですが、これらは「ビジネスをするために作られたものではない」とのこと。「ただ(ダイアナ妃のために)、素晴らしいものを作り出そう、ということだったのです」と語っています。

From: ELLE JP